アクティブ・レンジャー北海道地区

然別湖生物多様性保全協議会が行うウチダザリガニの集中防除に上士幌管理官事務所、大雪山国立公園パークボランティアも協力しています。

然別湖ウチダザリガニ集中防除

2022年07月22日
上士幌 上村 哲也
然別湖は大雪山国立公園の中にある湖。ダムによって造られた大雪湖や糠平湖とは違い、火山活動により川がせき止められて生まれた自然湖です。川と海を行き来していたオショロコマが、湖とその上流の川に閉じ込められミヤベイワナという亜種が生まれました。
そんな希少な自然環境が存在する然別湖ですが、外来種であるウチダザリガニが生息しています。ウチダザリガニは北海道では1930年、摩周湖に食用として移植されたことに始まり、恐らくは人の手により分布を広げました。然別湖でも1993年を最初に生息が確認されています。
水生植物の生育を妨げ、在来種のニホンザリガニに病気をもたらすなど、自然環境への影響が大きいことから、2006年2月、外来生物法により「特定外来生物」に指定、飼育、保管及び運搬することが禁止され、然別湖でも防除活動が始まりました。現在では、鹿追町が7月と9月に1週間ずつ80個余りの籠わなを湖の全周に仕掛け、集中的に防除を続けています。このほかにも学校の環境教育や企業の社会貢献活動など、様々な方々が参加され、合わせて年間に2万匹以上を駆除しています。

然別湖は、面積3.59平方キロメートル、周囲長13.8キロメートルになります。ほとんどの籠わなは、町がボートを駆使して湖岸に設置しています。湖に流入する最も大きい川、ヤンベツ川の河口には浅く砂が堆積しボートが近づけないため、環境省職員と大雪山国立公園パークボランティアが陸上から接近して数籠の設置・回収を作業しています。捕獲したウチダザリガニは、タマネギネットに移して籠ごとの重さを量り、体長を測り、雌雄別に数え、そのほかの観察を記録しています。
7月12日(火)から7月15日(金)までの防除活動には、大雪山国立公園パークボランティアから、延べ28名の御参加をいただきました。東北北部の梅雨明けが足踏みする中、はっきりしないお天気の多い期間でしたが、熱心にテキパキと作業を進めていただき、ありがとうございました。
わな籠の設置#
もんどり籠に餌を仕掛けておびき寄せます。
計測や計数調査#
雄雌を区別して数を数え、体長を測って記録します。
一部を試食#
塩ゆでして少し試食してみました。
ある日の最大#
この日の最大級というも最近小さくなったように感じます。