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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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阿寒摩周国立公園

27件の記事があります。

2021年12月20日マリモ、救出作戦

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 鉾之原頌吾

 みなさまはじめまして。12月から阿寒湖管理官事務所に着任しました、鉾之原(ほこのはら)と申します。

生まれも育ちも鹿児島県。春までは奄美群島の徳之島で、特別天然記念物アマミノクロウサギや1トン近い牛同士が戦う「闘牛」を見て過ごしていました。今まで雪国に住んだことがない、"北国初心者"です。

 少しでも早く北海道の自然を理解していけたらと思います。よろしくお願いします。

さて、みなさまは各種報道でご存じかもしれませんが、先日、阿寒湖のチュウルイ湾に打ち上げられたマリモの移動作業があり、環境省も地域の方と協力して作業を実施しました。

【経緯】

 12月1日に起きた強風により、チュウルイ湾の東側から中央にかけて約150メートルにマリモが打ち上げられているのを、釧路市教育委員会のマリモ研究室が2日に確認しました。地元関係者に報告し、7日に関係者で現場を見て検討会を実施した結果、「すぐに対応すべき」という結論に至り、9日に救出作業の実施が決定しました。   

              

    強風で打ち上げられたマリモ            打ち上げの様子を確認する地元関係者

【なぜやるの?】

 マリモ研究室の尾山洋一氏によると、「本来、マリモの打ち上げは、大きなマリモが湖岸で砕けてばらばらになることで再び湖に戻るプロセスの一つ」で、マリモが増える上で必要な現象なのだそう。しかし、今回の強風では、高波により普段は波が届く距離を超えた位置まで打ち上がってしまいました。そのため、湖に戻ることができない高さまで打ち上がったマリモを湖に返すための作業が必要になります。

 「自然の摂理なのだから放っておけば?」という疑問もあるかもしれませんが、元々球形のマリモが減少しているのは私たち人間の生活が原因の一つともされており、マリモの数をこれ以上減少させない観点からも、人の手で保護しようと救出作戦を決行するに至ったそうです。

【決行日】

 当日は地元有志の呼びかけで約50人が参加しました。

 マリモ研究室の指導のもと、地元漁協などから借りたポンプを使い、水流で湖岸のマリモを湖へ。水の中へ戻ったマリモがより効率的に沖に運ばれるよう、スコップやレーキなどを使ってかき出していきました。

 当日の最高気温は5度。吐く息も白い中、皆さま胴長を着込んで水と泥にまみれながら作業に没頭し、約6時間かけて無事作業を終えました。

              

    ポンプでマリモを押し流す作業              流したマリモを沖にかき出す作業

                   

          作業前                          作業後

【マリモ漂着の裏で・・・】

 ちなみに、マリモ漂着と同時に大量の水草(マツモ)も漂着していて、漁船1隻を使って回収作業も行いました。近年、球形のマリモの確認面積は減少傾向となっている一方、水草の繁殖範囲が増加してきています。水草が増えることでマリモが回転する波の動きが制限されるなどの影響もあるようで、水草がなくなることで、マリモの生育環境の改善が期待されているようです。

 今回の強風が阿寒湖のマリモにとってどのような結果をもたらすのか、注目です。

   

                   漂着した水草の回収作業

【作業を終えて・・・】

 アクティブレンジャーとして、初めて地域の方々と合同での保全作業となりました。現状確認から1週間。地元関係者に報告してからわずか2日間という迅速な対応となりました。湖面凍結前で急いでいたとはいえ、即座に対応した住民の方々のフットワークの軽さには頭が下がるばかりです。

 作業後には、阿寒湖観光協会の松岡尚幸理事長が「特別天然記念物のマリモは、地元にとっては"国宝"に近い。みなさんは"国宝"を守ったと思って胸を張ってほしい」と一言。

私も皆さんの"地元の宝"を守る手伝いができたでしょうか。全身に筋肉痛を感じつつ、少しだけ胸を張って帰途につきました。

今後も、このページを読まれる方々に喜ばれるようなアクティブレンジャー日記を投稿できるよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いします。

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2021年10月27日ペンケトー・パンケトー自然探勝会

阿寒摩周国立公園 鈴木達郎

 こんにちは。阿寒湖アクティブレンジャーの鈴木です。

 今回は、10月10日に開催された自然ふれあい行事「ペンケトー・パンケトー自然探勝会」についてご紹介します。

●ペンケトー・パンケトーとは

 ペンケトーとパンケトーは、阿寒湖の北東に位置する2つの湖で、それぞれアイヌ語でペンケトーは「上の沼」、パンケトーは「下の沼」を意味する言葉です。二つの沼に至る林道は私有地であるため、普段は一般の方の立ち入りが禁止されています。

 「ペンケトー・パンケトー自然探勝会」は、そんな手つかずの自然が残る阿寒の森の奥深くに特別に許可を得て入ることができる、年に一度きりの非常に貴重な機会でもあります。

 阿寒湖の北側を通る林道を1時間ほど車で移動すると、ササ原の中にペンケトーへと続く道が見えてきます。

 森の中では、倒れた木の上に美しく並んで生えるエゾマツ・トドマツの稚樹(倒木更新)や、葉の裏に神秘的な模様を描く粘菌の仲間、オシロイシメジ・ホコリタケ・ボリボリ(ナラタケ)といった多種多様なキノコなど...原生的な森の住人たちが私たちを出迎えてくれました。

自然公園財団スタッフによる自然解説 一列にならんだトドマツ・エゾマツの倒木更新

▲スタッフによる自然解説      ▲一列に並んだ倒木更新

 ガイドスタッフによる自然解説をはさみながら、森の中をのんびり一時間ほど歩くと、目的のペンケトー湖畔が見えてきました。

 この時期のペンケトーは、エメラルドグリーンの湖面と対岸に並ぶ針葉樹の緑、広葉樹の赤や黄色が美しいコントラストを形成します。辺りはわずかに木々のさざめきが聞こえるだけで、皆さん静かで穏やかな水面を眺めてゆったりとした時間を過ごしていました。

エメラルドグリーンのペンケトー湖面と紅葉 湖畔を歩く参加者のみなさん

▲ペンケトー湖畔          ▲湖畔を歩く参加者の皆さん

 滅多に来ることのできないペンケトーに後ろ髪を引かれる思いですが、林道を戻って次の目的地のパンケトーへと向かいます。

 パンケトーは、ペンケトーの下流に位置する大きな湖です。湖畔からは、晴れていると森の向こうに雄阿寒岳が見えるのですが...。この日はお昼前頃から流れてきた雲で、すっぽり隠れてしまっていました。

 パンケトーからは、阿寒湖へ向かって「イベシベツ川」と呼ばれる川が流れ出ています。川沿いの林道を少し歩いたところには、阿寒でも有数の紅葉の名所である「乙女の滝」もあります。

 乙女の滝から川の底を覗くと、大きな黒い塊のようなアメマスの群れのほか、冷たく綺麗な水でしか生息できない様々な生き物の姿も見られました。

 続いて訪れたのは、イベシベツ川河口にある阿寒湖漁協の養魚場です。

 養魚場では、ちょうど産卵の時期を迎えたアメマスが、急流を次々に遡上していく様子が間近で観察できました。なかなか他では見られない迫力満点の姿に、参加者のみなさん大興奮でした!

乙女の滝の紅葉風景 遡上するアメマス

▲乙女の滝             ▲遡上するアメマス

 最後に、マリモの生育地であるチュウルイ湾を訪れました。ここでは、釧路市教育委員会マリモ研究室の職員の方に、マリモの解説をしていただきました。

 ちょうど湖岸に大きなマリモが打ち上げられていたため、まじまじとマリモが観察でき、その不思議な生態について参加者からは、色々な質問が飛び交っていました。

 参加者の中からは、「マリモの中が空洞ということは図鑑的な知識として知っていたが、こうして水槽越しでない生のマリモが打ち上げられて自重でひしゃげている様子を見ると、より実感を持って知識が身についた」などの声も聞こえました。

チュウルイ湾にてマリモ研究室職員によるマリモ生態解説 マリモ

▲マリモ研究室職員による解説    ▲打ち上げられたマリモ

 普段は立ち入ることのできないペンケトー・パンケトーで、阿寒の秋の美しい自然が堪能でき、参加された皆さん大満足のご様子でした。

 ペンケトー・パンケトー自然探勝会は毎年紅葉が一番美しい10月頃に開催されます。阿寒湖畔エコミュージアムセンターの公式HP・SNS等で募集していますので、ご興味を持たれましたら、来年是非ご参加ください。

 阿寒湖地域での次の自然ふれあいイベントは、来年1月にひょうたん沼のスノーシューハイキングが予定されています。積雪期のイベントは10月までとはガラリと変わって、厳しい冬の森に息づく自然の営みが楽しめます。こちらも是非ご参加ください。

■阿寒湖畔エコミュージアムセンター

HP:http://business4.plala.or.jp/akan-eco/index.html

Facebook:https://m.facebook.com/pg/AKankohanekomyujiamusenta/posts/?__nodl&ref=external%3Awww.bing.com

Instagram:https://www.instagram.com/p/CEfnTAlnuRs/

■(過去記事)アクティブレンジャー日記『ひょうたん沼スノーシュー』

http://hokkaido.env.go.jp/blog/2021/02/post-587.html

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2021年10月08日今が狙い目!川湯の森散策のススメ

阿寒摩周国立公園 川湯 武山栞

阿寒摩周国立公園管理事務所の武山です。

「川湯の森ナイトミュージアム」が今年も始まっています。

ライトアップによって「夜ならではの森の観察体験」を楽しめるイベントです。

入口でヒグマがお出迎え。

川湯の森が立体図鑑に変身した「図鑑の森」は、一部の木々がライトアップされると共に、シマフクロウなどの彫刻の野鳥たちを見ることができます。道中には、スマートフォンと連動する解説板が至る所に設置してあり、川湯の森や生き物たちへの知識をさらに深めることもできます。

普段は気にとめないような切り株が......


夜の明かりの下では、いつもより神秘的で、より生命力を感じます。

また、109()17:0021:00は関連イベントとして「森のマルシェ」も同時開催。川湯周辺のお店が大集合し、美味しい料理や飲み物を楽しむことができます。

※イベントによって開催期間や時間が異なるので、事前に確認することをおすすめします。

特設HP(各種関連イベントの詳細あり)

https://www.kawayunomori.com/

☆消毒液の設置など、感染対策を行って開催しています。

「レプリカもいいけど、やっぱり本物の動物が見たい!」

そう思われる方もいると思います。道東を巡ると様々な動物たちに出会えますが、お昼の川湯の森も実は穴場。私が巡視していて、よく見かけるのはキツツキの仲間です。

↳キツツキの仲間の中では比較的よく見かける「アカゲラ」


↳アカゲラより一回り大きく、おなかの赤い部分の範囲も広い「オオアカゲラ」

↳キツツキたちに混じって一緒に木をつついていたのは「キバシリ」。

スズメよりも小さい鳥で、キツツキのように木の幹に縦にとまり、隠れている虫を探します。

川湯の森のふかふかの苔の道を踏みしめながら(雨の日などは滑りやすくなるので要注意!)、のんびり鳥の声を聞き、緑に包まれてみてはいかがでしょうか。紅葉も進んできており、きれいですよ。

夜の川湯の森を楽しめるのは今だけですのでぜひこの機会にお越しください。

最近はかなり気温が下がってきているので、防寒対策はしっかりしてきてくださいね。

川湯の森から歩いてすぐの足湯や温泉で暖まっていくのもおすすめです。

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2021年09月01日「ボッケクリーンウォーク」

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 鈴木達郎

 こんにちは、阿寒湖管理官事務所の鈴木です。

 9月にさしかかり、阿寒湖では既に若干肌寒さを感じる今日この頃。いかがお過ごしでしょうか。

 今回は8月1日(日)に開催された「ボッケクリーンウォーク」について、ご紹介させていただきます。

 ボッケクリーンウォークは、8月第一日曜日の「自然公園クリーンデー」に毎年開催している恒例の行事で、パークボランティアや一般参加の方々のご協力のもと、阿寒湖畔園地にあるボッケ遊歩道の清掃や外来植物の駆除活動を行うイベントです。

 今年も、小さなお子さんからベテランの自然愛好家まで、総勢26名の幅広い方々にご参加いただきました。

 参加者の皆さんには、まず阿寒湖畔エコミュージアムセンターに集まっていただき、スタッフから今回の活動内容についてレクチャーを受けてもらいます。

阿寒湖畔EMCにて外来種の解説 外来植物の実物

 外来種とは、人間の活動などによって元々生息・生育していなかった場所へはいってきた生物全般のことを指します。

 外来種が定着することで、元からその地域に生息していた在来種が食べられてしまったり、生息地を奪われたりすることで、生態系のバランスが崩れてしまうことがあります。

 セイヨウタンポポやアライグマなど、国外由来の外来種が有名ですが、北海道におけるカブトムシのように国内の他の地域から移動させられてきた外来種もいます。このような国内外来種も国外外来種と同じように、地域の生態系に悪影響を及ぼすケースが報告されています。

外来種除去作業の様子1 駆除対象となる外来種の冊子

 レクチャーを終えると、いよいよ阿寒の森に向けて出発です!手元の冊子と見比べながら、外来植物を取り除いていきます。

 今回のターゲットは、ヒメジョオン、セイヨウノコギリソウ、エゾノギシギシ、ヒメムカシヨモギ、オオアワダチソウなどなど...。

 いずれも様々な土地で生きていくことができる適応力の高い植物で、放っておくと生育範囲をどんどん広げて、阿寒湖畔に自生している在来植物を駆逐してしまうことになりかねません。

阿寒の森を守るため、参加者の皆さんには奮って活動にご協力いただきました。

藪の中にも外来植物が! 小さなお子さんもがんばってくれました!

歩道のすぐそばにも沢山生えていました! 集めてみるとすごい量です

 毎年の活動の成果もあってか、今年は例年に比べて回収した外来植物はやや少なめでした。

 野外イベントを行うにはあいにくの空模様でしたが、小雨に濡れた葉がつやつやと輝き、しっとりとした阿寒の森の美しさを存分に体感できました。

クリーンウォーク後の集合写真

 阿寒地区でのクリーンデーイベントは、今回ご紹介した「ボッケクリーンウォーク」の他にも雌阿寒岳を清掃登山する「雌阿寒岳クリーン登山」が行われています。

 今年は天候がやや不安定だったため、雌阿寒岳クリーン登山は中止となりましたが、これらのイベントは阿寒湖畔エコミュージアムセンターのFacebookにおいて、毎年7月上旬頃に開催のご案内をしています。

 来年度も開催予定ですので、ぜひご参加ください。

阿寒湖畔エコミュージアムセンターFacebook (リンク先)

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2021年08月13日「アトサヌプリ(硫黄山)」という山

阿寒摩周国立公園 川湯 武山栞

阿寒摩周国立公園管理事務所の武山です。

記録的な暑さの日が続きましたが、今回の記事もあつい話題となっています。川湯温泉の源泉である「アトサヌプリ」(=硫黄山)の調査登山に行ってきましたので、紹介させていただきます。

「アトサヌプリ」はアイヌ語で「裸の山」という意味。山から噴出される火山ガスの影響で、噴気孔の周りでは植物がほとんど生育できません。過去には硫黄採掘も行われていたことがあり、その形跡が今でも確認できます。

↑アトサヌプリの麓の森林内にこんなものが。当時の硫黄採掘時に利用していた鉄道の線路を木が取り込み、そのまま成長しここまで持ち上がったようです。年月の経過が感じられます。

ほぼ平地の森林を抜けると、一気に雰囲気が変わり、登りになります。なんだかとても高い山に来た気分...!でも実際は、写真の場所で標高200mくらいなので驚きです。↓

場所によっては、火山ガスの影響により低標高にも関わらずハイマツが生育していますが、後は岩ばかりです。でも不思議なことに、登山中、新鮮なキツネのフンやシカのフンをいくつも見かけました。彼らは一体ここへ何をしに来るのでしょうね。


↑三角点337mが今回の調査コースの頂上です。(本当の山頂には現在は登ることはできません。)

遠くに川湯温泉街と、それに続く道路が見えます。左奥にちらっと写っているのは屈斜路湖です。低い山なので、広い土地や湖を一望!...とはいきませんが、駅前や温泉街の建物、畑や牧草地が広がっているのを見下ろせます。川湯に住む人々の営みを感じられるスポットです。タイミングが合えば、釧路と網走をつなぐJR釧網本線の気動車が走るのを見られるのだとか。

この調査登山は7月初めでしたので比較的涼しかったですが、日差しを遮るものがない上、アトサヌプリ特有の白い砂からの照り返しもあり、想像以上に暑かったです。すぐにでも温泉に入りたくなりました。

ここまでアトサヌプリ登山の魅力について書かせていただきましたが、危険性についても知っておくことが大切です。アトサヌプリは活火山で、熱い火山ガスが常に噴気孔から吹き出しています。また、過去には落石事故、滑落事故など痛ましい事故も起こりました。そのため、一度は立入り禁止となりました。

ですが、現在では認定ガイド付き限定でトレッキングができるツアーが企画されており、今年度も開始に向けて調整中です。ツアーが開始されたらぜひ挑戦してみてください。ガイドさんの興味深いお話を聞きながら歩くことで、下から眺めるだけでは分からない、硫黄山の魅力をより感じることができると思います。


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2021年05月27日業務開始から3週間、出会った自然

阿寒摩周国立公園 川湯 武山栞

はじめまして、5月に阿寒摩周国立公園管理事務所のアクティブレンジャー(AR)として着任しました、武山栞です!

出身は札幌で、東北の大学に通っていましたが休学し、ここ道東の阿寒摩周国立公園にやってきました。コロナ禍以前は旅行やワークキャンプなどで道東を訪れ、「将来ここで働いてみたいな~」なんて思っていましたが、自分が想像していたよりもずっと早く夢が叶いました!

川湯温泉にある事務所からすぐ近くの硫黄山から流れてくる硫黄のにおいを毎日嗅ぎながら、業務にあたっています。