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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

テントウムシ

2011年09月28日
阿寒湖
昨日、窓を開けて車を運転中、何か昆虫が顔にぶつかりました。
落っこちた虫を見てみると、テントウムシ。
その時は特別気にも留めなかったのですが・・・。



本日の、保護官事務所近くの道路標識です。
標識についている小さな塊は、全てテントウムシ!
辺り一面、テントウムシが飛び交っています。



どうやら、「ナミテントウ」と呼ばれる最も良く見られるテントウムシのようです。
個体によって翅の色や「ホシ」の色、数が様々で、同じ種とは思えないほどバリエーション豊かな模様をしています。
先週から急激に気温が低くなったので、集団で越冬する為に集まって来たのでしょうか?

このナミテントウ、日本全国で普通に見られ、アブラムシを食べてくれる益虫となっています。
ところが国際自然保護連合(IUCN)では、生物の多様性を減少させる恐れのある侵入生物として「グローバル侵入種データベース」に記載されています。

実はこのナミテントウ、農薬にかわって農作物の害虫駆除をしてくれるということで、過去にアジアから欧米に持ち込まれました。
その結果、欧米各地でナミテントウが大きく勢力を広げ、競合する在来のテントウムシの数が減少している、との事のようです。

人間の都合で生息地を移され、ある国では「良い生き物」、別の国では「悪い生き物」となってしまっている動植物たち。
身近な小さな虫から、思いがけず考えさせられた一日でした。