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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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えりも自然保護官事務所

45件の記事があります。

2021年12月24日赤潮の海

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

当事務所ではおなじみ。

今年も、秋サケ定置網漁に同行してのゼニガタアザラシによる漁業被害調査を実施しました。

9月頭から11月20日の最終日まで、途中天候不良や時化に見舞われながらも無事に終えることが出来ました。

漁獲については、数年前から記録的不漁が続いていますが今年も低迷しています。日高管内では統計が残る1989年以降最低の漁獲量を記録し、漁業関係者は肩を落とす事態となりました。

そんな中、9月下旬に道東で大規模な「赤潮」が発生したことで多くの魚が死亡するなどしたため、少ない漁獲にさらに追い打ちをかける大打撃となりました。

「赤潮」とは、プランクトンが大量発生している状況をいい、大量に浮遊していることで海が茶褐色となり、普段より赤く見えるものです。赤潮の状況が一番深刻な時、定置網で沖に出てみると海水がまるでコーヒーのような色をしており、"いつもとは違う、海中で色んな影響が出ているに違いない" そう感じたことをよく覚えています。

 

港の中までプランクトンが大量に入ってきているため、海水が茶色く見えています。

特に右の写真は船から出ている水の勢いで周りの海水が動き、濁り具合が分かり易いです。

いざ外海へ船を出してみると...

 

 

茶色い海が続くばかり...

私が乗船しているのはサケの定置網漁船。この場所へ回遊してやってくるサケにも影響を及ぼしました。

エラ呼吸をしているサケのそのエラに付着し、多くを窒息死させてしまいました。通常、活きのよいサケのエラは血が通っていて濃い赤色ですが、窒息死したサケのエラは白くなります。


▲活きの良いサケ。ハリがあり、エラをめくるのも硬くて大変です

▲赤潮被害で死亡したサケ。

隣の船でも。その隣の船でも...同様の被害が見られました。

 

無傷であっても死亡していれば出荷することは出来ず、売ることが出来ないサケを回収する手間ばかりが増えていく状況です。

この「赤潮」はサケ以外にも、えりも町ではウニが全滅、ツブもほとんどが死亡しているなど多くの生物に影響を及ぼしました。

現場は初めての状況に戸惑い、この影響がいつまで続くのか懸念しています。

しかし!本日、12月24日のニュースや新聞では、今月15日までに赤潮は収束を迎えたようだと発表されていました。約3ヵ月間と長く続いた状況が解消されたことは、良いことです。

 9月下旬、赤潮の海

 11月20日、赤潮が治収まってきている海

ただ、ウニは漁獲できる大きさに育つまで4~5年、ツブに至っては6~7年かかるとされているため、赤潮が引いたこれから先も影響が長引くこと必須。少しずつ快方に向かうことを願います。

このように、赤潮は北海道の広い範囲で影響を及ぼしました。

赤潮が発生した地域を生活圏とするゼニガタアザラシ。アザラシへはどんな影響が考えられるのか、そのことに注視しています。

■海上から

・赤潮の海を泳いでいるアザラシ、サケのようにプランクトンが直接影響し死亡した個体は確認していない

・乗船調査中、普段なら定置網に入る魚を追い侵入してくるアザラシが今年はほとんど見かけない

...どこで過ごしているのでしょうか。

■上空から

・日常的にドローンを用いた個体数調査を実施していますが、映像を見ていても個体が減った様子がない

・見えている限り、変わった動きがない

これらから、今のところアザラシが赤潮の状況下でも生活できていることは確認できました。

しかし、アザラシのエサとなる生物がほとんど死亡してしまっています。今後アザラシはどういった動きをみせるのか、引き続き注視していこうと思っています。

(おまけ)

えりもは1年を通じて気温差の少ない地域と言われていますが、猛烈な風が吹くことで体感温度は一気に下がり、寒さ厳しい地域でもあります。乗船中は早朝という時間帯もあって特に寒いですが...とにかく美しい日の出・朝焼けが見られます。3ヵ月に及ぶ調査期間中、私の活力になりました〇 

 

 

 

 

お疲れさまでした!

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2021年11月10日アザラシの衣替え...??

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

グッと冷え込む日が増えてきましたね。

北海道各地では先月頃から雪虫(トドノネオオワタムシ)が飛び、この雪虫が飛び始めると2週間程度で雪の便りが届くと言われています。えりもにまだ雪は降っていませんが、キレイに紅葉していた木々の葉が落ちるその様やハクチョウが南下していく様子を見て、冬が近づいているんだな、と実感します。

私は関東出身のため、冬にはどうしてもこたつが恋しくなり今年も準備を整え暖かく過ごしています。

そこで、そういえば...と。北海道は冬が長いので、今でこそ大それた"それ"は実施していませんが、学生時代「夏服」「冬服」と、季節に応じて"衣替え"があったことを思い出しました。

人間であれば、暑い時は薄着・寒い時は厚着をしてその時々で快適に過ごせるよう、主に衣服で調整しますよね。動物の場合は、爬虫類に多いように周りの環境に合わせ体温を調整して過ごすものもいれば、哺乳類では季節によって毛や羽が生え変わり人間の様に"衣替え"をしているものもいます。

えりもの岩礁を棲み処としている「ゼニガタアザラシ」はどうでしょうか...?

ゼニガタアザラシは人間でいう衣替え、"換毛(かんもう)"をする動物です。

換毛する動物の多くは、夏には涼しく生息環境に溶け込むような色の毛や羽になるため褐色であることが多いように思います。また冬には暖かく特に北国では雪の期間が長いので、白い体毛であることが多いです。

このように、多くの動物が体毛や羽によって暑さ寒さに適応するのに対し、ゼニガタアザラシの換毛の目的は少し違っているようです。

▼6月に撮影したゼニガタアザラシ

▼9月に撮影したゼニガタアザラシ

上記の写真を見て、アザラシの様子の違いに気付きませんか。

もう少しアザラシに寄ってみます

▼6月に撮影したゼニガタアザラシ´

▼9月に撮影したゼニガタアザラシ´

アザラシの"体毛"に注目してみると、6月にはやや茶色っぽく、9月には黒っぽく見えます。これは、夏(7~8月)の間に「換毛」したためです。他の動物に多い夏毛/冬毛として換毛するのではなく、年に一度、夏にだけ体毛を新しくすることを目的として換毛します。

ゼニガタアザラシは、ゴツゴツした岩礁への上陸と海へ入っての遊泳を繰り返して過ごしています。夏に新しくなった体毛も、徐々に消耗しメスであれば春の出産を終える頃には色褪せツヤがなく、パサパサとしてきます。この状態が6月の写真の頃です。その後、新しくなった体毛は本来の色を取り戻し、水も良くはじいてツヤツヤ、ゼニガタ(銭型)柄もよく映えます◎

アザラシの"衣替え"="換毛"の仕方が分かったところで...

これから凍てつく冬を迎えます。ゼニガタアザラシの好む「岩礁」は雨風凌げるような場所ではありません。

寒さ対策はどうしているのでしょうか...?

こちらは次回のアクティブ・レンジャー日記にて。お楽しみに~!

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2021年10月25日森の生き物~10月、紅葉盛る豊似湖~

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

グッと冷えてきましたね。

そろそろ紅葉も見ごろかなと楽しみにしていましたが、先日の雨風で「天馬街道」の一部はいくらか散ってしまったようでした。しかし、ハート♥の湖として有名な「豊似湖」やその周辺ではまだまだ楽しめそうです。

えりもにお越しの機会があれば是非足を伸ばしてみてください。

ただし足元はぬかるんでいることもありますので長靴があると安心。また、山に入れば気温が低いことが多いです。風を避けられるは織物をお忘れなく!

普段、魚やアザラシと海の生き物の話題をお届けすることが多い"えりも"から、今が紅葉真っ盛りの豊似湖への道中、森で出会った生き物をご紹介します。

...この日、私は数年越しの存在に出会いました!!

その正体は「ナキウサギ」。

日本では北海道のみで確認されており、標高1,500m付近の冷涼で石や岩のある場所に生息するとされています。これに比べ豊似湖は標高約260mととても低い場所に位置していますが、ここにもナキウサギが生息しています。これまで豊似湖にナキウサギがいることは把握しており、行く度に鳴き声は聞けるものの姿が見れない...という日々を過ごしていました。

しかし、この日は違ったんです!

視界の片隅で、なにかが動いた気がしました。

しばらく同じ方向を見ていると、また動いた!これを数回繰り返し、やっと肉眼で捉えることが出来ました。

昨年か今年生まれでしょう、まだ幼いナキウサギがせっせと巣穴に葉っぱを運び、行ったり来たり。

私は海の生き物や環境に目が行きがちで、こんなに近くにナキウサギが生息していると聞いた時にも特にピンときていませんでした。しかし、何度行っても鳴き声しか聞こえないナキウサギに会いたい気持ちが募ります。数年越しの思いが届いたようで、また自分で見つけることが出来た喜びも相まって嬉しかったです。

▼まだまだ小さなナキウサギ

    

別の場所でカサカサと何かが素早く動く様子を察知。ナキウサギが動いたときの音と少し違っています。でもその正体はすぐに見つけられません。そっと前へ歩みを進めると、目の前に何かが飛び出してきたその正体は...大事そうにナナカマドの赤い実を持った「シマリス」でした。ちょうど私の足元付近にナナカマドの実が落ちており、次々拾って忙しそう。フワフワで可愛らしい。

▼シマリス

この日出会ったのはこの2種だけではありません。

もう一度ナキウサギを見ようと先ほどいた場所に目を向けると、シマリスの様に素早く動くものを発見。カメラをできるいっぱいまで望遠してみると、今度はふっくらかわいい「エゾリス」。

木の皮を剥いでみたり、エサを探しているようでした。

▼エゾリス

そして豊似湖から山を下りていると、今度は大物に出会いました、「エゾシカ」です。

この時期オスは大きな角を携えています。色は森に溶け込んでいるため、近くまで来てやっと存在に気付くことが多いほか、ジャンプ力の優れたエゾシカです。急に飛び出してくることもありますので運転時はスピードを出しすぎないよう注意が必要です。

北海道ではよく出くわすエゾシカ。たまにはと思いカメラを向けると、なんだか雰囲気のある写真が撮れました◎このまま森に導いてくれそうな、そんな感じがしました。

▼エゾシカ

 

この日だけで複数種の野生生物に出会えました。

今回は森ですが、空に目を向ければ多くの種類の鳥が生息または飛来してきていることにも気づきます。冬は鳥が沢山見られる楽しみにしている季節です。

えりも自然保護官事務所の業務の多くは「ゼニガタアザラシ」に係るもののため、どうしても海関連の内容が多くなりますが、その他にも、えりも町には沢山の野生生物が暮らせる豊かな環境があることも知っていただけたら嬉しいです。

季節に合わせ、ご紹介の予定です。お楽しみに!

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2021年09月29日見えるかクイズ

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

ゼニガタアザラシの調査は、サケ定置網での漁業被害やアザラシの動きを確認したり漁網の改良を施している乗船調査のほか、ドローンを用いた個体数調査を実施しています。

ゼニガタアザラシは海で泳ぐだけでなく、岩礁に上陸する習性を持っているためいくつかのアザラシが岩礁に上陸しやすい条件を満たした日時を見極めドローンを飛ばしています。

アザラシが上陸場としている岩礁は、日高山脈の最南端。山脈の端が海に沈んでいく場所です。

キレイ~!

えりもで風速10m/s 以上の日は年間260日以上と言われており、ドローンを飛ばせる条件の日はとても少ないです。強風の中無理に飛ばせば墜落の可能性があり、海に落ちてしまっては回収も出来ない上とても危険なため細心の注意を払っています。

風が強いことに加え、霧がかかりやすのも えりも の特徴です。

↓濃霧の日に撮影した写真がこちら

写真の左側、白っぽい米粒のような楕円形のもの。アザラシが上陸している様子が分かります。しかしこれだけ霧が濃ければ見落としも多くなり、よいデータとは言えません。

快晴かつ風が弱い日時。これがドローン撮影には適した条件と言えます。

えりもではこれらを満たす日が少ないので、アザラシが岩礁に上陸しやすい条件のほか普段から天気予報や風向きを気にして少しでも撮影によいとあらばドローン撮影を試みています。

↓よい条件で撮影できた日

アザラシを驚かさないよう、海面から60mの高さを保っています。

アザラシには上陸しやすい場所があるようで、写真のように多く上陸している岩礁もあれば1頭も上陸しない岩礁もあります。

個体数調査で撮影した写真の中から「アザラシ見えるかクイズ」。

次の写真には、何頭のアザラシが上陸しているでしょうか...!

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正解は「13頭」。

岩礁とアザラシの体毛はとても似ていて、岩礁が濡れている時はアザラシの体毛も濡れていて同じような色をしています。また、日向ぼっこの後、体毛が乾くころには岩礁も乾いてこちらもまた同じような色になるため見分けが難しいのです。

私は、色だけでなく、頭部や尾部、ヒレのバランスを見ながら判断しています。みなさんもぜひ、アザラシの形をイメージしながらもう一度見てみてください♪アザラシの見分けが上手くなるかも?!

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2021年09月27日漁業とアザラシの関係

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

前回の日記で、えりも町で秋サケ定置網漁が解禁になったとお知らせしました。

始まったばかりの水揚げ内容は、サケよりもブリが上回っていましたが、漁が始まり約1ヵ月。日を追うごとにサケが増えてきました。これは喜ばしいことですが、サケと同時に増えてくるのが「トッカリ喰い」。

アイヌ言葉でアザラシのことをトッカリと呼び、えりも地域に生息しているゼニガタアザラシによる漁業被害を「トッカリ喰い」と呼んでいます。

多くが漁業関係者であるえりも町民にとって、漁業被害は生活に直結する問題且つ近年の不漁にあっては気にせざるを得ない問題です。

▼数年前までのトッカリ喰い(ほとんどは頭部がない状態です)

▼近年のトッカリ喰い(胴部分が喰われボロボロ...サケもブリも被害を受けています)

 

被害の様子に変化が見られます。

サケの頭部がなくなる被害がほとんどだった数年前に比べ、ここ2年で頭部のみの被害は減り胴部分への被害が増えました。また、ブリへの被害が目立つようになったのもこの2年。

知能の高いアザラシがサケもブリも上手く捕まえられるようになったのか、海況が変化していることでアザラシの餌となる資源が減り定置網に執着しているのか...下記のお話からも、後者の理由が有力ではないかと考えています。

漁師のみなさんが言います。「すっかり海が変わってしまった」

これはサケが獲れなくなったことを総じて言っているものですが、その背景には

◆本来、秋定置網漁の前半(9月)に最盛期を迎える地域だけれど、9月後半になっても気温

水温共に高い状態で、サケが来遊する適温に定まらない

◆水温上昇に伴い、獲れる魚種が変化している。(昔は獲れなかったブリがここ3年でサケより目立つ漁獲量に。今年にいたっては暖かい海域にいるはずのカジキがかかることも...)

◆かつては海をみれば魚が跳ねていたけれど、そもそも魚を見かけない

記録的不漁!と言われた年から5年が経ちますが、今も不漁が続いています。

このような状況で、上記写真のように毎日ゼニガタアザラシが被害をもたらしているとなれば漁師の気持ちも昂りません。

えりも自然保護官事務所の業務としては、えりも地域に棲むゼニガタアザラシがもたらす漁業被害軽減を目指しています。漁業とアザラシがどんな状態であることが望ましいのか、取り巻く環境が変化する中で対応していくことには難しさもありますが、冷静に状況を把握することも必要で毎日の乗船調査で魚・海・アザラシの状況の把握、漁網の改良に取り組んでいます。

休んでいる野生のゼニガタアザラシをすぐ近くに見られるのは珍しく、少し観察していると、動きには個体差がありとても可愛らしいです。日本一の生息地・繁殖地という環境があることも、誇らしいことだと感じます。

引き続き、漁業にもアザラシにもよい状況とはどう在ることなのか、考えながら取り組みたいです。

漁業が盛んで野生動物の生息地でもある地域にはこのような課題があることを、まずはみなさんにも知っていただけたらと思います。

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2021年09月14日乗船調査、キックオフ!

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさん、こんにちは。

最近のえりもは、各地でススキがそよそよと揺れていて紅葉も始まりました。風もひんやり、すっかり秋になりました。

こんな風に季節の移り変わりを感じたとき、えりものアクティブ・レンジャーならではの職業病でしょうか。私の中でどこかソワソワし始めます。

それは、秋サケ定置網漁が解禁するから〇 春に続き、秋にも定置網漁が行われているえりも町。

立派なサケを期待したいところですが、水揚げ初日となった9月2日、そのほとんどはサケではなく、立派なブリでした。その後も、サケよりブリが多く水揚げされています。要因の一つとして、近海の水温が高く推移しているためと考えられます。

ブリは成長過程によって名前が変わる「出世魚」として有名です。ここ3~4年、えりもでもブリがあがるようになりましたが、9月中旬ごろまでフクラギ(~40㎝程度)がほとんどでしたが今年は立派なブリ(60㎝以上)且つずっしりと重さもある特大サイズばかりです‼

漁が開始される季節は毎年同じです。

魚の種類は同じでも、獲れる時の成長過程に変化が見られました。何が影響しているのでしょうか。今後、水温や他の魚の漁獲状況を見守りながら考えてみたいと思います。

▼網のあるポイントに移動中   朝陽がキレイ~!

現状はサケよりもブリが多く揚がっている状況ですが、秋サケ定置網漁は11月20日までと約3ヵ月続きます。この間、さらに季節が進み水温が下がったこの海に多くの秋サケが来遊してくれることを願います。

私たちえりも自然保護官事務所の職員は、この定置網漁の期間中、襟裳岬周辺海域に生息するゼニガタアザラシとそのアザラシがもたらす漁業被害調査のため、地元漁師みなさんの協力を得て乗船調査を実施します。

今はまだ、穏やかな海況が続いているえりもですが、この先はそうも言っていられません。10月になれば猛烈な突風や高波も増えます。

 ■危険と隣り合わせということをよく理解する

 ■必要な準備はぬかりなく

 ■"慣れ"を理由に気を抜かず、緊張感を持って長期戦の調査に臨む

これらを改めて意識し、気持ちを整えたところです。

 

映したいところをしっかりと捉えられるよう、紐の長さや結び方を整えます。

結び方には「こういう状況や場所にはこの結び方がよい」という適性があります。私たち職員がこれでいいかな、と思うものでやったとしても海中でのうねりが強かったり潮の流れが早かったりで解けてしまうこともあるので、漁師さんに良き結び方を教わります。

このように、準備に不足はないか、今期の業務が上手く進むか...

今年は豊漁となるのか、水温や潮の流れはどうか、いつ頃から気をつけなければいけない風が吹き始めるか(秋ごろから、下からかと思えば上から...複雑かつ突風が吹き始めます)...これら自然環境は私にコントロール出来なるものではありませんが、業務の進捗に大きく関わります。これから起きる色んな場面を想定してソワソワソワソワ。

長い漁期、またタイミングを見て経過報告等ご紹介します!

この季節の楽しみはコレ!早起きしていてよかったと思える瞬間です。

美しい朝焼けは絶景✨

 

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2021年07月07日カルマン渦?!

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさん、こんにちは。

おそらく 日本一 風の強い事務所、えりも自然保護官事務所の熊谷です。

突然ですが、「カルマン渦」をご存知ですか?

細い円柱状のもの(枝など)に強い風があたったとき、風下側にできる規則的な空気の流れのことを「カルマン渦」といいます。風の渦が目に見えることは少ないですが、川などに枝を入れたとき川下にできる渦はカルマン渦と同じパターンをとるのだそうです。

この"カルマン渦"をイメージして建てられた「襟裳岬 風の館」にて、現在「2021 環境省 アクティブ・レンジャー写真展」を開催中です。

この写真展は、普段あまり業務で関わることがない皆さんにもアクティブ・レンジャー(以下、AR)の仕事を知っていただく機会になり得ると考えています。

北海道札幌管内各地で勤務するARが、それぞれの場所で業務に取り組みながら、ARだから見られる一瞬を収めた写真を展示しています。気軽には登れない山の頂からの景色、中々出会えない野生生物...ぜひ見ていただきたい写真ばかりです。

私からは、もちろん"えりもらしい"1枚を。春にだけ見られる様子を収めた写真を出展しました。

えりも以外にも道内各地を巡回します。下記スケジュールをご確認いただいた上、会場まで足を運んでくだされば幸いです。まだ人の多そうな場所へ行くのが心配な方にも安心です、今年はオンライン会場でも写真展を開催します!

この、アクティブ・レンジャー日記でも12月から開催予定。いやいや、今すぐ見てみたい!と思ってくださった方、Instagramの「hokkaido_active」で検索してみてください! 順次公開中です!

北海道は広い!全て廻るのは大変です、是非「アクティブ・レンジャー写真展」で北海道の大自然をお楽しみください!

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2021年07月06日今年の春は...

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

今回のタイトルは、「今年の春は...」です。

気温も高くなってきたこの7月に春の話とは少々違和感を感じる方もいるでしょう。

ですが、私にとってはつい数日前まで「春」でした。

えりも自然保護官事務所の業務のほとんどは、えりも町周辺海域に生息しているゼニガタアザラシに関するものです。

 

このゼニガタアザラシは日本に唯一定住するアザラシで、こんなにも近くで野生のアザラシが見られることは珍しく喜ばしい反面、町内で盛んに行われている定置網漁に漁業被害をもたらす一面も持ち合わせています。えりも町民の多くは漁業関係者であり、漁業被害は死活問題と言えます。

 

▲トッカリ食い

アイヌの言葉でアザラシをトッカリと呼びます。トッカリに食われてしまったサケ・マスです。

ゼニガタアザラシがえりもに生息し続けるということは、何らかえりもを選ぶ理由があるはずです。恐らくは岩礁に上陸し休息をとる習性のあるこのアザラシに適した上陸場となる岩礁が多数あること、そして餌となる魚が豊富なこと、外敵となるシャチなどが滅多に来ないことなどが挙げられると思います。

今後もこの場所でゼニガタアザラシに快適に過ごしてもらいながら、漁業被害を減らすにはどうしたらよいか...これこそ、えりも自然保護官事務所が取り組む業務です。

その業務の中のひとつ、年に2シーズンの長期に渡る乗船調査。

5月からつい先日まで実施されていた「春さけ定置網漁」に同行し、ゼニガタアザラシの漁業被害を把握したり、定置網の入口に魚は通れるがアザラシは通れない格子状の網の設置することで獲れた魚は被害を被らないようにすること、またその網の改良などを行いました。

▼今年、定置網で多く獲れた「ニシン」や「サバ」

 

こうして約2カ月の乗船調査を終えたばかり。つい最近、「春さけ定置網漁に同行しての調査」を終え、やっと春が過ぎた気持ち、という訳です。

とはいえ録り溜めた記録のまとめが残っています。これからしばらくは外に出るよりも机に向かう時間が増えます。調査用紙には漁期を思わすウロコが付いていたり海水が乾いて潮が浮いていたり。長いようで短かった調査の日々が思い出されます。

まとめの結果、どんな傾向が見えてくるでしょうか。

今回は、2カ月の漁期を終えたご報告まで。次回は漁期中の工夫をご紹介します〇 お楽しみに!

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2021年04月28日準備着々...

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは、えりも自然保護官事務所の熊谷です。

▼えりも事務所からの景色

 

山道にはまだ雪が残っているものの気温の高い日が続き、えりもではおなじみの強風も柔らかな春の風へと変わってきました。この時期、個人的には冬が終わってしまった寂しさと花粉が飛ぶなぁ...苦手。そんな気持ちが入り混じります。それでも、"春"に気分が高揚することもあるんです。

それはっ!

野生のゼニガタアザラシの赤ちゃんが見られること。

えりも町周辺はゼニガタアザラシの国内最大の繁殖地・生息地となっていますが、そのゼニガタアザラシは4月後半ごろから出産が始まり子育てのシーズンを迎えます。母アザラシから産まれたばかりの赤ちゃんアザラシは毛が新しいのでツヤッツヤ。成獣(おとな)に比べ、黒っぽく見えます。産まれたその時から泳ぐこともできますが、その動きはまだまだ拙く、こどもらしい可愛らしい姿です。

▼アザラシ親子(4月26日撮影)

 

今年初めてこどもの姿を確認しました!

2頭の間に小さな赤ちゃんアザラシがいます。波が打ち寄せる度、おとなのアザラシはシャチホコのように頭部と尾っぽを反るようにして避けますが、赤ちゃんは波を避けきれずにさらわれそう。見ていてハラハラしてしまいます。本日確認できた赤ちゃんは3頭でした。

近くにはお腹の大きな妊娠個体が沢山いたので、これから小さな赤ちゃんアザラシが増えそうです!

これらの様子を見られる目安は6月いっぱい。その後、栄養、特に脂肪分の多い母乳をもらっていた赤ちゃんアザラシは独り立ちの時を迎えます。少しだけ沖に出てこども同士で遊んだり魚を捕ったりと泳ぎ回ります。

襟裳岬の突端から双眼鏡で覗けばアザラシの子育ての様子が見られます。町施設の「風の館」には望遠鏡が置かれていますので、皆さんもぜひ!

アザラシの子育て。他では見られないこの光景はえりもの春らしさとも言えますが、アザラシとは別のこの光景も、とてもえりもらしいものです。何をしているところでしょう?

▲これは漁師のみなさんが、定置網を設置する準備をしているところです。

えりも町の襟裳岬以西では春(5月上旬~7月に上旬)に定置網漁が行われていますが、その網は周年海に入っている訳ではありません。シーズンが終われば陸に上げ、清掃や修繕をします。またシーズン開始前には網の状況を確かめたり準備をして、初日に間に合うよう決められた場所に設置します。

えりも自然保護官事務所では、今年度も"春さけ定置網漁"に同行し、アザラシによる被害調査を実施します。船に乗り始めるのはGW後からですが、約2カ月続く調査期間を前に準備の進む現場の様子を見て「この時期が来たんだな、始まる」と、ちょっとした緊張感にも包まれます。

漁師さんがよく言います。「準備は前もって、もうこれで大丈夫と何度も確認するくらいでなければダメだ」。定置網漁の準備をする漁師のみなさんの丁寧かつ確実な仕事ぶりを見ていると「えりもの海を熟知していて、だから突風に吹かれても高波がたっても予想外のことが起きてもケガなく対応できるんだ」と思います。

私も、スムーズに調査に入れるよう、調査用紙・水中カメラ・水産合羽等の準備はぬかりなく!始めることとします。

▼調査用紙と記入ボードの準備

▼水中カメラの準備

▼今年から乗船デビューの黒田保護官

船上では合羽を脱ぎ着している暇はありません。また、大きすぎても小さすぎても動きづらいので、自分に合ったサイズを身につけることも大事な準備のひとつです。

準備着々◎

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2020年10月29日錦秋の豊似湖

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

すっかり寒くなってきましたね。体調崩されていませんか?風邪などひかぬよう、気をつけましょう。

北海道の"秋"はとっても短い!存分に楽しみたいところですが、えりも自然保護官事務所の業務は秋が最繁忙期。11月20日頃までゼニガタアザラシによるサケ被害調査のため、乗船の毎日を過ごしています。そのため事務所と現場の往復になりがちで、知らぬ間に秋が終わってしまう年もあります。今年は秋を満喫したい!と、えりも町が誇る「豊似湖」に行ってきました。

10月27日時点で、豊似湖の紅葉はやや見ごろを過ぎたようでした。

2018年撮影の一枚ですが、一番よいタイミングではこんなにも美しい紅葉を見ることが出来ます。

この写真のタイトルは「錦秋の豊似湖」。まさに燃えるようなエネルギーを感じます。

美しい紅葉にきれいなハート型。なにかいいことでも起きそうな予感がしてきます。

この場所には多くの生物が生息しており、中でもナキウサギが人気です。この日も、カメラを構えタイミングを計っている方々がいました。

私はこれまで何度も通っていますがナキウサギを見れたことはなく、いつも鳴き声を聞いては「いるいる、元気そうだな」と思っています。他にも、気づくと足元にシマリスがいることもあり、ちいさな動物たちが楽しませてくれます。

 

  

豊似湖の紅葉は終わりでしたが、そこまでの森はどこを見ても美しく、鳥がさえずり何ともいい時間が流れます。道中大きな角を携えたオスジカがよく飛び出してきます。シカは1頭いたらそれに続いて複数頭が飛び出してくることもありますので、お越しの際は十分気をつけながら走行してください。

風が強くなる前に秋を感じることが出来ました。中々遠出しづらい今ですが、森はしっかりと季節を進めています。えりもの主要道路から外れた場所なので中々見る機会はないかと思いますが、えりもにもこんな場所があるんです、私の町内お気に入りスポットのひとつ。

これからは強風、いや暴風吹き荒れるえりも。特に12月~2月は本当に強い風が吹きます。風が強まる前に、もう少しだけ秋を楽しみたいです。えりも町にお越しの際は、暖かく、風を避けられる服装を!

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