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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

アザラシの衣替え...??

2021年11月10日
えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

グッと冷え込む日が増えてきましたね。

北海道各地では先月頃から雪虫(トドノネオオワタムシ)が飛び、この雪虫が飛び始めると2週間程度で雪の便りが届くと言われています。えりもにまだ雪は降っていませんが、キレイに紅葉していた木々の葉が落ちるその様やハクチョウが南下していく様子を見て、冬が近づいているんだな、と実感します。

私は関東出身のため、冬にはどうしてもこたつが恋しくなり今年も準備を整え暖かく過ごしています。

そこで、そういえば...と。北海道は冬が長いので、今でこそ大それた"それ"は実施していませんが、学生時代「夏服」「冬服」と、季節に応じて"衣替え"があったことを思い出しました。

人間であれば、暑い時は薄着・寒い時は厚着をしてその時々で快適に過ごせるよう、主に衣服で調整しますよね。動物の場合は、爬虫類に多いように周りの環境に合わせ体温を調整して過ごすものもいれば、哺乳類では季節によって毛や羽が生え変わり人間の様に"衣替え"をしているものもいます。

えりもの岩礁を棲み処としている「ゼニガタアザラシ」はどうでしょうか...?

ゼニガタアザラシは人間でいう衣替え、"換毛(かんもう)"をする動物です。

換毛する動物の多くは、夏には涼しく生息環境に溶け込むような色の毛や羽になるため褐色であることが多いように思います。また冬には暖かく特に北国では雪の期間が長いので、白い体毛であることが多いです。

このように、多くの動物が体毛や羽によって暑さ寒さに適応するのに対し、ゼニガタアザラシの換毛の目的は少し違っているようです。

▼6月に撮影したゼニガタアザラシ

▼9月に撮影したゼニガタアザラシ

上記の写真を見て、アザラシの様子の違いに気付きませんか。

もう少しアザラシに寄ってみます

▼6月に撮影したゼニガタアザラシ´

▼9月に撮影したゼニガタアザラシ´

アザラシの"体毛"に注目してみると、6月にはやや茶色っぽく、9月には黒っぽく見えます。これは、夏(7~8月)の間に「換毛」したためです。他の動物に多い夏毛/冬毛として換毛するのではなく、年に一度、夏にだけ体毛を新しくすることを目的として換毛します。

ゼニガタアザラシは、ゴツゴツした岩礁への上陸と海へ入っての遊泳を繰り返して過ごしています。夏に新しくなった体毛も、徐々に消耗しメスであれば春の出産を終える頃には色褪せツヤがなく、パサパサとしてきます。この状態が6月の写真の頃です。その後、新しくなった体毛は本来の色を取り戻し、水も良くはじいてツヤツヤ、ゼニガタ(銭型)柄もよく映えます◎

アザラシの"衣替え"="換毛"の仕方が分かったところで...

これから凍てつく冬を迎えます。ゼニガタアザラシの好む「岩礁」は雨風凌げるような場所ではありません。

寒さ対策はどうしているのでしょうか...?

こちらは次回のアクティブ・レンジャー日記にて。お楽しみに~!