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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

トッカリ防除網

2016年06月06日
えりも自然保護官事務所 近藤武

 

アザラシのことを、アイヌの言葉で「トッカリ」と呼びます。

えりも町の漁師さんも、ゼニガタアザラシのことを「トッカリ」と呼びます。

 

かつて、ゼニガタアザラシは生息数を減らしました。

しかし現在のえりも岬では、ゼニガタアザラシの生息数は増えています。

  

 

↑アザラシの捕食跡。「トッカリ食い」と呼ばれる。

 

ゼニガタアザラシの生息数が増えたため、サケ定置網に侵入する個体も増えており、

ゼニガタアザラシによる、漁業被害は深刻な問題となっております。

 

えりも自然保護官事務所では、漁業被害を減らすために、

定置網にゼニガタアザラシの侵入を防ぐ防除網を設置しました。

 

前回のAR日記で紹介した水中カメラは、この防除網の効果を確認するためのものでした。

 

 

 ↑網の中に侵入しようとするゼニガタアザラシ。防除網に塞がれて侵入できない。

 

網の中の魚を求め、ゼニガタアザラシが網の中に侵入しようとしています。

ですが、肩がつかえて侵入できず、ゼニガタアザラシは魚をあきらめて帰って行きました。

 

防除網は、ゼニガタアザラシの防除に効果があることが確認できました。

ですが、防除網をつけていても「トッカリ食い」は生じています。

 

ゼニガタアザラシと漁業の共存のためには、より効果的な被害を減らす方法を開発する必要があります。