アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
空からアザラシを見ています!
2019年12月24日みなさんこんにちは。えりも自然保護官事務所の熊谷です。
早いもので年の瀬ですね。。みなさんにとってどんな一年でしたか?
今年度の初めに私が立てた目標は「今年は、ドローンを飛ばせるだけ飛ばすこと!」でした。
えりも自然保護官事務所では、えりも地域に生息するゼニガタアザラシの個体数調査にドローンを使用しています。ゼニガタアザラシは襟裳岬の先に約2km連なる岩礁で休息をとるため、この岩礁一帯の上空にドローンを飛ばしアザラシを撮影します。
岬の突端から望遠鏡を覗き数える場合、岩の裏側までは見えず...そんな時に真上から撮影できるドローンが活躍します!
岬の突端から岩礁を見ると...
今日は見晴らしも良く風も弱くてドローン日和!いいものが撮れそうな予感がして気分が高まります!
目が慣れてくると、肉眼でも、アザラシの顔までは見えなくともいることは分かりますよ♪
まずは風速を測って飛行準備を整えて...
※ちょっと寒い日だったので、あるだけの防寒をしています
準備出来たら飛行開始!
アザラシが上陸している岩礁の上空に差し掛かりました。
海面から約60m程の高さを確保して飛行しているためか、さほどこちらを気にする様子はありません。
この岩礁はアザラシが沢山上陸していて混雑気味。
米粒のような形に見えているものは全てアザラシ。日向ぼっこをしています。
この時、撮影している側はというと、、ドローンに不備が起きていないか、飛行中に受けている風の具合を見ながらこのまま続行しても安全かどうか、また、アザラシがドローンに驚いていないかなどを気にしています。
この場所、風を避けるものがなにもないのでとっても寒い。。
飛行経路は事前にドローンに登録してあり、いつ飛ばしても同じ場所を自動で撮影できるようにしてあります○
この岩礁一帯を静止画で撮影すると約1時間を要します。静止画の撮影はアザラシが上陸しやすい干潮時刻を挟んで3~4回行います。次に、干潮時刻に近いところで動画撮影を行います。こちらは約10分と短時間で終了です。
という流れで今年度 条件よくスムーズに調査出来たのは、当初私が見込んでいたよりもとても少ない回数でした...
アザラシの上陸は月の満ち欠けや潮の満ち引きと関わりがあり、上陸しやすいおおよその日や時間帯を把握することが出来ます。今年は絶対に機会を逃すまい!と張り切っていた私は「潮汐表」を肌身離さず持ち歩き気にしていましたが、今年は天候不良に阻まれました。。
ドローンは便利でもありますが荒天の中飛ばす事は出来ません。
◆襟裳岬は国内屈指の強風地帯
えりもに住んでいれば強風には慣れっこな上、飛ばせる風速であることの方が珍しいことも想定内。ただ、撮影したい!と思う時に強風(いや、暴風)なことが多く残念でした。。
◆8月のほとんどが荒天
この時期アザラシは全身の毛が生え変わる「換毛期」、上陸しやすい時期でもあります。撮影にはもってこいですが、10m先も見えない濃霧&土砂降りの日がほとんどでやる気を持て余しました。
◆9月以降の台風
今年は台風の影響で強風や高波となることが多かったです。ドローンを飛ばせないだけでなく、強い波しぶきを浴びるのはアザラシにとっても過酷なようで、上陸する個体は少なくみんな泳いでいるようでした。
(おまけ)ひどく時化た数日間必死に泳ぎ続けたアザラシは、相当に疲れていたようで時化明けの日の岩礁にはいつもより長い時間「寝ぼけ眼のアザラシ」がゴロゴロしていました。それはそれでかわいらしい○
えりも地域に生息するゼニガタアザラシの推定個体数を出すためには、まずドローンの撮影結果から得られる「上陸個体数」を出すことが必須事項です。
中々天候には恵まれませんでしたが、そんな中で機会を逃さぬよう努めたということでは及第点でしょうか。季節柄、これからの時期は強風が続くためドローンでの調査は見込めません。次年度も引き続き"目標"のひとつに定め取り組みます!
※参考※
国立/国定公園内でのドローン使用には配慮が必要です。使用にあたっては、環境省/都道府県の担当部署に事前にご相談ください。