アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
盗掘防止活動で高山植物を守ろう!
2020年08月27日みなさんこんにちは。
えりも自然保護官事務所の熊谷です。
アザラシ業務の多いえりも事務所ですが、たまには山にも行っています○
8月中旬、振興局主催の『アポイ岳高山植物盗掘防止合同監視』活動に参加しました。
●アポイ岳とは...
北海道様似町に位置しており、標高810.23m。ここの岩石は地球深部にある「マントル」が冷えてできた岩石「かんらん岩」を主とする特殊なものです。
加えて、冬は積雪が少ないことにより地表が凍結、さらには海霧の影響で夏でも低温になるという特異性を有しています。
このような特殊な環境に適応した高山植物には、アポイ岳やその周辺でしか見ることのできない固有種など貴重な植物が沢山あります。しかし、近年ではハイマツやゴヨウマツが分布を広げ、高山植物群落が縮小しており、その希少性から、一部の心ない人による盗掘も見られます。
貴重な高山植物が絶滅の危機に瀕しています。今回参加した盗掘防止活動は、これらの植物を守るためにも、新たな盗掘箇所がないか確認したり、登山を楽しむ皆さんにはルールを守って楽しんでいただけるようお声がけ・注意喚起をするといったものです。
美しい植物を見つけ、"ちょっと写真を撮るだけのつもり"で登山道のロープを越えてしまったら...足元には絶滅の危機に瀕した植物があるかもしれません。気づかぬうちに踏みつけてしまい植物が傷んでいるかもしれません。盗掘をしないことは勿論ですが、植物を傷めないよう、登山道以外には立ち入らない。みんなでルールを守り、美しい環境を維持したいです。
アクティブ・レンジャーをしているくらいです、自然は大好き。ただ、どちらかというと海を得意としている私は登山にはちょっとした苦手意識を持っています。この苦手意識を克服するためにも、登り約3時間、下り約2時間のアポイ岳はチャレンジしやすい山なので、出会える植物や絶景を楽しみに頑張ろう!と意気込んだはずでした...
が、この日はよい天気で気温が高く、日影が少なくなる5合目以降、一気にバテてしまいました。。
頂上に着く頃には、海霧に覆われ周りは真っ白に。下りではいつの間にか霧も晴れ気持ちの良い風も吹いて、海霧と風、よい見晴らしとアポイ岳らしさを感じることが出来ました。
この日の私のお気に入り写真はこちら↓
▲エゾルリムラサキ
強風で上手く撮れませんでした。。ムラサキ科の植物は、紫色の濃いものが多いように感じますがこの花は少し青みがかった美しい瑠璃色です。
▲キンロバイ(金露梅)
様々な植物の緑、かんらん岩の黒色のなかで黄色の花弁をもつこの花は、とても目立ち目に留まります。
花についた露が花色に映えて金色に輝くこと、さらに梅に似た形からついたとされる名前「金露梅」。名前の由来までも好きな花のひとつです。
▲旧幌満お花畑
「旧」となっています。現在も多少の花がありますが、お花畑と呼ぶにはなんとも寂しい場所となってしまっています。かつては沢山の花が風に揺れていたのかと思うと、今ある植物を大切にしないといけないと考えさせられる場所でもあります。
▲眼下に広がる様似市街
霧が晴れ、緑が美しかったです!
今回は盗掘防止を目的とした活動でしたが、多くの方はルールを守り楽しんでおられました。みんなが快適に山を楽しめるよう、盗掘しない、登山道から外れない、どうかご協力ください。
とてもすがすがしい気持ちになれおススメです。みなさんも是非、アポイ岳登山を楽しんでみてはいかがでしょうか。