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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

日本に棲むのは〇〇アザラシ!春だけの光景って??

2019年05月22日
えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所 熊谷です。

えりもも木々や草花が彩り、風や凪が穏やかな日が増えてきました。

今回は、GWが終わったばかりで大分気が早いですが...

小中学生の皆さんには夏休みの自由研究に!大人の皆さんにはプチ自慢に!なるかもしれないお話です。

ここで早速、問題です!

日本にいるのは「何アザラシ」でしょうか?

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...思い浮かんだのは何アザラシでしたか?

多くの方の答えは、真っ白でフワフワな赤ちゃんで有名な「ゴマフアザラシ」だったのではないでしょうか。ゴマフアザラシは日本の多くの水族館や動物園で飼育され、目にする機会の多いアザラシかと思います。

このゴマフアザラシ、日本にいるといえばいるけれど、いないといえばいないんです。

どういうことでしょうか...??

アザラシは、世界中に19種類が生息しています。

そのうち日本で見ることが出来るのは5種類。

そして、北海道で見ることが出来るのも5種類。

日本で野生のアザラシを見られるのは「北海道」だけなんです!

(たまーに「たまちゃん」と呼ばれたアザラシのように本州に迷い込んでしまう場合も。。)

その5種類のアザラシを生活様式ごとにご紹介します。

【回遊性のアザラシ】

決まった場所に棲みつかず、時期によってその時最適な場所を移動しながら生活します。流氷のくる冬の時期、子育ての為に北海道へやってきて、暖かくなると元いた場所や過ごしやすい環境を求め、北海道を去ります。このスタイルをとっているアザラシは...

●ゴマフアザラシ

白地に黒いゴマをふりかけたような模様をしています。流氷に溶け込む色、白くてフワフワの赤ちゃんは有名ですね。その白さ、たったの2~3週間!

(北海道の居心地が相当良いのか、日本海側にはほぼ周年いる個体もいるようです)

●クラカケアザラシ

黒い体に白い鞍(くら)をかけたような模様から、日本名が付けられました。大抵の生き物は、棲む場所に似た模様や色をしていて外敵に見つかりづらい保護色となっていますが、クラカケアザラシは、本当に保護色になってる?!と思う程はっきりと濃淡のある白黒模様です。

●アゴヒゲアザラシ

からだは茶色、大型のアザラシです。名前の通り立派なひげの持ち主ですが、よく見るとひげはあごからでなく口の周りに生えています。

●ワモンアザラシ

世界で最も小さなアザラシ。それでも成獣(おとな)は約50㎏にもなります。白っぽい黄なりのような地に同系色の輪紋模様からワモンアザラシの日本名が付けられています。

【定着性のアザラシ】

回遊はせず、周年決まった範囲内で過ごします。北海道で見られるアザラシで唯一の定着性のアザラシは...

●ゼニガタアザラシ

昔のお金「銭(ぜに)」のような模様をしていることから名前が付きました。北海道の太平洋側に生息していて、中でも襟裳岬には多くのゼニガタアザラシがおり、国内最大の生息地および繁殖地となっています。

ここまでで、北海道では、回遊性のアザラシは冬の決まった時期だけに姿を見せ、定着性のゼニガタアザラシのみ一年中見られることが分かります。

ゴマフアザラシなど回遊性のアザラシたちを、北海道に"棲む"ではなく"いる"と表現するのはそのためです。

ということで、クイズの正解は...

ゴマフアザラシ、クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシ、ワモンアザラシ、ゼニガタアザラシ...紹介したすべてのアザラシが正解です。複数答えられた方はアザラシ通!

いかがでしたか?えりもに生息しているゼニガタアザラシ、名前を聞く機会は少ないかもしれません。ですが、日本に暮らす私たちに一番関係が深いアザラシともいえるのではないかと感じます。

今時期(5月末ごろまで)はゼニガタアザラシの出産シーズン!!

写真は「ノーズ・トゥ・ノーズ」と呼ばれる行動です。

親子は時折、鼻と鼻を近づけてお互いの匂いで親子であることを確認し合います。今時期だから見ることのできる微笑ましい姿。

母アザラシが子どもを背中に乗せて泳ぐ姿も見ることが出来ますよ♪

子どもは、牛乳の10倍ともいわれる栄養たっぷりの母乳を飲んで成長します。生まれたときは10㎏に満たなかったアザラシは1ヵ月半ほどで約30㎏に。あっという間に大きくなってしまいます。

このように、誕生から独り立ちまでの様子を見守ることが出来るのも、定着性のアザラシだからこそ。

時折波にさらわれそうになったりと、ちょっと危なっかしくも逞しく、そして微笑ましく成長する姿を見届けられることはとても貴重なことです。

出産・子育ての今時期や、一年に一度全身の毛が生え変わる"換毛期"の夏。これらの時期は、天候に恵まれる日が多くアザラシを観察しやすい時期です。

みなさんも、ご自身の目でえりもに暮らすゼニガタアザラシの日常を覗いてみてはいかがでしょうか?