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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

およそ4年ぶり!小学校での出前授業

2022年12月20日
えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵
みなさんこんにちは。えりも自然保護官事務所の熊谷です。

冷え込む日が増えてきましたね。12月の3週目に入った頃から、えりもは一気に冬景色となりました。
ここはミツイシコンブ(= 日高昆布)漁が盛んな町。最盛期の夏から秋にかけては昆布を干す用に敷かれた砂利の上に広げていきますが、寒くなってから採れた昆布は最盛期のものよりも短く量も少ないため、各々作成した支柱に干して風に晒します。
この“はせがけ昆布”を町のあちこちで見かけるようになったとき、えりもも冬が始まったんだな…と実感します。
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はせがけ昆布
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寒風にさらされ、キュッと引き締まります
そんな風景を横目に、なんとおよそ4年ぶり!町内の小学校へ出前授業に行ってきました。
今回は5・6年生の生徒さんを対象に次の内容をお話させていただきました。
□えりも町に棲むゼニガタアザラシとはどんな生き物なのか
□えりも町で盛んな漁業とアザラシにはどんな関わりがあるのか
□我々環境省の職員はえりも町でどんな仕事をしているのか

私自身、生まれ育ったその土地の良さや、毎日当たり前に食べていたものが実は特産品だったなど、大人になり地元を離れて初めて分かる気づきが沢山ありました。
このことは、地元を離れ生活する際、時に力になったりもします(私の場合、獲れたてのしらすが食べたい…次に帰省する時に食べるのを楽しみに頑張ろう!や、実際に帰省した際には、かつて乗り慣れた乗り物に揺られた時間から仕事にも活きる閃きが生まれたり…といった具合です)。
小学生のみなさんにも、普段考えることなどないほど当たり前に過ごしている環境が他から見たらそうじゃない。こんなにも近くに野生のアザラシが棲んでいること、海産物がたくさん獲れることを知り、誇らしく思ってもらいたい。そんな思いで準備しました。
今回は二部構成。

<5時間目>
スライドを用いて「ゼニガタアザラシってどんな生き物?」「なんでえりもにいるの?」といったことから、環境省の取り組みを紹介しました。
事務所から剥製を持参し、実際に触ってもらいながら身体の構造をお話ししました。

※写真は、主にお顔部分に加工を施しています。
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剥製を使って身体のしくみをお話しします
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みんなも触ってみます
 ・フワフワ!
 ・しっぽがかわいい
 ・ヒゲってこんなに固いの?!
 ・鼻が思った形と違ったー!
 ・本当に銭の模様あった!
 (ゼニガタアザラシの名前の由来は、身体の模様が昔のお金「銭」に似ていることから)
 ・アザラシの脳みそってどれくらいの大きさ?

など反応は様々で、小学生の瑞々しい感性が見られました。

<6時間目>
個体数調査のデモンストレーション。
当初校庭を予定していましたが、雪のため体育館に変更し、ドローンを飛ばす様子を間近に見ていただきました。
みんなでドローンのカメラに写ってみたり、以前高いところに乗せてしまったバトミントンの羽根を探してみたり。中々見る機会のないドローンに興味を持ってくれたようでした。
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ドローンの作動確認をして…
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高いところに乗ったままになっている羽根を探してみます
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ドローンのカメラに写ってみたい!とみんなで移動
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ドローンからはこんな風に見えていました
 ・初めて見た!
 ・すごい風(=風圧)がくる
 ・高価そう…
 ・どこまで飛んでいけるの?

5時間目とは違い、実際の調査と同じように操縦するところを見て大盛り上がり!

教室に戻り、5時間目に勉強した「えりもに生息するゼニガタアザラシ」を、それぞれが缶バッジに表現しました。

絵を描く際、「トッカリ食い(と呼ばれるアザラシによる漁業被害)にする!」と言っていた生徒さんが、自分のお土産にしていいものだと知って写真を参考にアザラシを描き始めた姿は小学生らしく可愛らしかったです。
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まずは絵を描いて…
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用紙をくりぬきます。このレバーを持ってね!
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くりぬいた用紙を機械にセットして、レバーを引けば完成です
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楽しそうに作ってくれた皆さんが印象的で、後日私も作成しました。当日お休みだった生徒さんにプレゼント
 ・うまく描けない~
 ・アザラシの顔、もっとよく見てみよっと!
 ・(嬉しそうに)できた♪ここにつける~(とすぐに衣服に付けてくれていました)

ゼニガタアザラシは、えりも町のキャラクターになっているほか交通安全の旗やマンホールに描かれています。えりも町のみなさんにとって、ゼニガタアザラシという生き物が近くに棲んでいることは何となく知ってはいても、アザラシの生活圏が海や岩礁帯であることから見る機会の少ない生き物です。漁師をされているなど直接的に生活に関係する人でなければ関心を持つ機会のない人もいるでしょう。
今回の授業では、興味を持っていただけそうなポイントに絞ってお話ししました。
帰る頃には「今度○○に行って見てみよ~っと!」「動物大好き!今勉強しているところで、アザラシのことが気になるようになった」など話す生徒さんを見て、何らか興味を持つきっかけとなれたかもしれない期待感を得られ、やりがいに繋がりました。
小学生のみなさん、そして先生方にもアザラシのことを知っていただけよかったと感じています。

授業の最後には、生徒さんから感想と御礼の発表がありました。
こちらこそ、機会を作っていただきありがとうございました!