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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

えりもに"春"がやってきた!

2020年05月01日
えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。えりも自然保護官事務所の熊谷です。

最近、道内での桜開花のニュースを耳にして季節の移り変わりを感じたところです。

みなさんはどんなことで春を感じますか?

えりも町の桜はまだ咲いていません。けれどすでに私はアザラシの様子から、"えりもの春"を感じています。

これまでにもご紹介してきた通り、襟裳岬は国内最大のゼニガタアザラシの生息地および繁殖地です。

日本のゼニガタアザラシは、5~6月頃に岩礁(稀に海中)で出産し子育てをします。

えりも自然保護官事務所の業務の多くは、ゼニガタアザラシによる漁業被害の防除と個体群管理に係るもののため、今年はいつ頃から出産が始まったかなど把握できるよう、生息数調査を兼ね観察を行っています。

彼らは人が近づきにくい岩礁を好むことから、出産シーンを見ることは非常に難しいのですが、ドローンで撮影をしていると昨日までいなかった小さな"赤ちゃんアザラシ"を見つけることがあります。

出産直後で神経質になっているだろう母アザラシを驚かさぬよう、高度を保ち、音が響かぬようゆっくりと進めます。そして、「...産まれた~!!」と、気持ちは大きく声は小さく喜びます。

(ドローンは遠隔操作なので、私のいる場所で声を出してもアザラシには届きませんが、カメラ映像を見ながらの操作のため自分も近くまで行った気になり、ついつい声を潜めてしまいます。。)

出産前のお腹の大きなうちから観察をしているためか、生まれたときの喜びはひとしお!

生まれたての赤ちゃんの腹部はシワシワです。これから独り立ちまでの1ヵ月半から2カ月の間に、脂肪分たっぷりの母乳を飲み体重を20㎏も増やし躰はパンパンになります。同時に、母からアザラシ社会での過ごし方や餌の取り方を学んでいきます。

このように、今年もアザラシの出産シーズンが始まり、これこそ"えりもの春"だな~と実感しています。

政府から発出された緊急事態宣言に伴い、えりも町の各施設は現在臨時休館となっています。

そんな中でもゼニガタアザラシの生活スタイルは変わらず季節を進めています。自粛生活が続く中ですが、中々見れない赤ちゃんアザラシの写真を是非楽しんでください。