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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「冬のボッケ遊歩道の楽しみ方!」

2024年01月19日
阿寒湖 森竹祐
阿寒湖管理官事務所の森竹です。
今年も阿寒湖の自然情報を発信していきますのでよろしくお願いします。
 
1月9日にボッケ遊歩道と阿寒湖の巡視を実施しました。
冬は利用者が減るボッケ遊歩道ですが、冬ならではの楽しみ方があります。
 
まずは下の写真をご覧ください。ここは、ボッケの近くにあるコオロギの生息エリア付近です。
じつは、このエリア一帯は雪が降っても自然に溶けてしまいます。なぜなら、地熱により地面が温められているからです。
 
実際に、遊歩道沿いにあるコオロギ生息地の囲いの前にある白い岩(下の左写真の赤丸)に触れてみると、
ほどよい温かさを実感できます(やけどするほど熱くはないのでご安心ください!)。

阿寒湖エリアが温泉地であることを身近に感じられるポイントです!
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ボッケ付近の地熱帯
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触れると温かさを感じられる岩
ちなみに、ここのコオロギは1年を通して鳴いています。
寒い冬でも聞こえるので、ちょっと不思議に感じるかもしれません。
また、北海道でのコオロギの繁殖は年に1回なのが一般的なのですが、ここに生息しているコオロギは年に2回繁殖できることがわかっています。

いずれも、地熱の高い温暖な自然環境によるものです。

このすぐ先にあるボッケは、遊歩道の1番の見所でもあります。
ボコボコと聞こえるのは、吹き出した火山性ガスが泥とともに吹き出している音です。
 
ボッケの別名は「泥火山」。字のごとく、泥の火山です。
泥火山は、世界各地・日本各地で見られる火山地形ですが、道内では阿寒湖のほか、新冠などにもあるようです。
 
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遊歩道から見られるボッケの全景
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音を立てて吹き出す泥
阿寒湖エリアでは普通に見られますが、このような火山地形がアクセスしやすい場所で見られることはレアであるともいえます。
まだ見に来たことがない方は、ぜひ見に来てみてください。



 
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全面結氷していない阿寒湖の様子 (1月9日撮影)※現在は氷が張っています
さて、阿寒湖が見渡せる展望台からの景色です。
全面結氷していても良い時期でしたが、今年は1月9日の段階では湖の中心部分が広範囲にわたりまだ凍っていませんでした。
 地元に長くお住まいの方のお話では、年々阿寒湖の全面結氷の時期が遅くなっているとのことで、ここ数年は特に顕著なようです。
 
思い返すと、昨年の1月上旬はこんなに広範囲にわたり凍っていない箇所はなく、
湖岸側の氷上でアイスバブルを撮影しているカメラマンの方々の姿が見られた記憶があります。
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遊歩道から見た湖岸の氷の状況
湖岸も凍っているように見えますが、まだ氷が薄い場所が多く見受けられます。
この日はすでに湖岸を歩いた足跡がありましたが、踏み外して湖に落水する可能性も十分にあり得ます
そのため、湖岸の遊歩道などから阿寒湖の雪景色を眺めるのがおすすめです
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遊歩道から撮影した結氷した阿寒湖と小島
巡視中、鳥の鳴き声は全く聞こえませんでしたが、終盤で腹部の縦線が特徴のオオアカゲラに遭遇しました。
昨年の1月からボッケの森を歩いていますが、希少種でありながら、普通種のアカゲラよりも見る機会が多いです。
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オオアカゲラが逆さの状態で枯木を掘っていた痕
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枯木を掘っていたオオアカゲラのオス
これまでボッケの森で見てきた採食しているオオアカゲラのほとんどは、樹皮が剥がれた枯木を突いていることが多い印象です。
実際に触れてみるとわかるのですが、枯木は腐っていて柔らかくなっているので、そこを中心に突いて中にいる虫を採食しているようです。
 
ボッケ遊歩道沿いでは、倒れた木をよく見てみるとこのようにキツツキたちが採食した痕が見られます。
実際にドラミングしている様子も見られることもあるので、野鳥好きな方は双眼鏡やカメラなどを持って歩いてみてください。

冬はグリーンシーズンよりも歩いている人が少ないので、のんびりとバードウォッチングがしたい方にはベストな環境です。

オオアカゲラは1年を通してみられますが、遮るものが少ない冬は見つけやすいです。
静かな冬のボッケ遊歩道で、鳴き声やドラミングの音が聞こえないか耳を澄ませてみてください!