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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「阿寒の森の魅力再発見!」

2023年04月07日
阿寒湖 森竹祐
こんにちは!阿寒湖アクティブ・レンジャーの森竹です。
阿寒湖畔も暖かい日が続き、少しずつ春を感じる景色になってきました。
今回は3月8日に前田一歩園の森を歩いてきたので、レポートします!
(前田一歩園財団については3月13日の阿寒湖アクティブ・レンジャー日記をご覧ください!)
 
阿寒湖の周りに広がる前田一歩園の森は、約3900haもあります。
今回はその中で、阿寒湖南部の私がまだ歩いたことのない場所に入林許可を得て行ってきました。
 
スタートして、まず登場したのはこちらです↓
ある動物に樹皮を食べられた跡なのですが、いったい何の動物かわかるでしょうか?
代替テキスト
樹皮を剥がされたオヒョウ
正解は「エゾシカ」です!阿寒湖周辺には1年を通してエゾシカが生息しています。
 
食糧が少ない冬の間、彼らは「木の皮」などを食べています。これを「樹皮剥ぎ」といい、
森を歩くと至る所で見られます。一見すると、すべての樹種が樹皮剥ぎされているようにも見えるのですが
じつはそうではありません!シカの前歯は下にしか生えていないため、樹皮は下から上に向かって剥がします。
そのため、できるだけ剥がしやすい樹種を選んでおり、「オヒョウ」や「イチイ(別名:オンコ)」を好んでいます。
 
一般的に木は、樹皮を1周すべて剥がされてしまうと水分供給がうまくいかなくなり枯死してしまいます。
それを防ぐために湖畔の森では、長年樹皮剥ぎ対策も行われています。
これについては、また改めて紹介させていただきたいと思います!
 
環境省では、昨年度に阿寒湖周辺で8頭のエゾシカにGPS首輪を装着し、季節移動や利用場所について行動追跡調査を行っています。
これらの調査結果は、周辺地域の関係機関等と連携したエゾシカ対策に役立てられます。
 
下記の環境省サイトで阿寒摩周国立公園のエゾシカ対策についての取り組みをご覧いただけます↓
阿寒摩周国立公園エゾシカ対策協議会
https://hokkaido.env.go.jp/kushiro/nature/akan-mashu_deer/index.html
 
こちらについても、また改めて紹介させていただきたいと思います!

 
続いては、こちらです。ある小動物の糞なのですが、何の動物のものかわかるでしょうか?
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幹下周りに広がる大量の糞
正解は「エゾモモンガ」です!小さな縦長の糞をするのですが、こんなに大量の糞を阿寒の野外で見たのは初でした。
 
エゾモモンガの好物はトドマツの葉で、これらの糞もトドマツの下に落ちていました。
おそらく夜にここで食事をし、昼間は近くの樹洞に入っているのでしょう。

最後は、今回のメインでもあった壮大なダケカンバの森です。幹の大きさは大人が両腕で囲えるくらいで、樹齢は100年くらい。
ダケカンバの寿命は250年くらいなので、あと150年はこの光景が見られるということになります!
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斜面に広がるダケカンバの森
シラカンバに似ていますが、「樹皮が剥がれている」のがダケカンバの特徴です!
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樹皮が剥がれているのがダケカンバ
ここで豆知識のご紹介です。じつはこの樹皮は、あるものに使うことができます!
それは、「着火剤」です!油分を含むため火がつきやすく、キャンプなどで焚き火をするときなどに使えます。
 
ちなみに、シラカンバやウダイカンバの樹皮も着火剤として使えるようです。
ぜひ今年焚き火をする際には、天然の着火剤を拾い集めて使ってみてください!!
(注意)特別保護地区内では植物の損傷や落葉・落枝の採取は要許可行為となります。
    このため、特別保護地区内で上記行為は許可が必要となるので、ご注意ください。
 
今回の現地ウォークを通して、阿寒の森の魅力を再発見できました!
ぜひ、阿寒にお越しの際は、遊歩道などを歩いて阿寒の自然を感じていただけたらと思います!