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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

摩周湖水質調査

2022年10月17日
川湯 栗原詩
こんにちは。
阿寒摩周国立公園管理事務所の栗原です。
 
 今回ご紹介する摩周湖は、世界有数の透明度を誇るカルデラ湖であり、阿寒摩周国立公園の見どころの1つです。美しい青に染まる湖面は「摩周ブルー」と呼ばれ、風のない日は鏡のように空や外輪山を映し出し、いっそう美しさが際立ちます。また、摩周湖には出入りする川が1本もありません。そのため、有機物が運び込まれにくく、プランクトンなどの浮遊物が極めて少ないきれいな水なのです。このことから、大気を通じて汚染物質が混入した場合、すぐにその変化を見つけることができ、地球環境の異変を察知する重要な役割を担っています。摩周湖の美しさを守るため、そして地球規模の環境変動を知るために、摩周湖周辺地域の5町(清里町、別海町、中標津町、標茶町、弟子屈町)と関係機関から構成される「摩周湖環境保全連絡協議会」は毎年水質調査を実施しています。
                   山と湖の風景

自動的に生成された説明
摩周岳山頂から見た摩周湖

 今回は、8月24日に行われた水質調査に同行しましたので、その様子を紹介します。
 現在、摩周湖はその原生的な自然環境を守るために立入りが制限されており、普段は踏み入ることができません。そのため、摩周湖までの道のりを紹介することができませんが、笹が生い茂るワイルドな道でした。
 参加者は、力を合わせて摩周湖まで必要な道具を運びます。湖畔に到着したら調査員は船に乗り込み、水質調査のポイントまで移動し、透明度を測るために直径30㎝の白い円盤を湖に沈め、目視できる水深を測定します。今年は、20.2mと昨年の25.8mを下回りました。過去最高値は41.6mで、世界一透明度が高い湖でした。水質調査については、湖の水をボトルに入れて持ち帰り、研究機関が調査します。
                    
          背負子で必要な道具を運びました                    船で調査地点まで移動しました
 
 私は湖畔で待機して湖畔清掃を行いました。現在、摩周湖は人の立入りが制限されていますが、昔は人が利用しており、その時代のゴミが湖畔で度々見られます。また、近年、公園内で拡大している外来種のアメリカオニアザミも発見されました。昔のゴミが長い間残っているのを見て、生活の中で毎日発生するゴミを、今後も適切に処理していこうと改めて思いました。
       屋外, 水, 自然, 木 が含まれている画像

自動的に生成された説明              
             湖畔清掃の様子                            湖畔で回収したゴミ
 
 これらの調査資金の調達には苦慮しており、摩周湖環境保全連絡協議会はクラウドファンディングを実施しています。支援金額によっては、返礼品として摩周湖の水質調査に同行できる権利を得ることができ、今回、クラウドファンディングで2名の方が調査に参加されていました。(今年度のクラウドファンディングは3月2日に終了しました。)
 最後に、摩周湖に関する耳寄り情報です。摩周湖を眺望できる摩周湖レストハウスは今年の夏に「摩周湖カムイテラス」としてリニューアルオープンし、賑わいを見せています。屋上がウッドデッキとなり、ソファでくつろぎながらゆっくりと摩周湖を楽しむことが出来ます。天候によっては、早朝には雲海、夜は天然のプラネタリウムを楽しむことができます。摩周ブルーをイメージしたソフトクリームなどのグルメも充実していますので、皆様も是非一度お立ち寄りください!
                 
                             摩周湖カムイテラスと摩周湖