アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
雌阿寒岳の安全点検
2021年08月13日こんにちは、阿寒湖管理官事務所の鈴木です。
5月26日(水)に足寄町役場・足寄観光協会・足寄山友会・林野庁と合同で雌阿寒岳登山道の安全点検を実施してきました。
今回の点検では利用者が安全に登山出来るように、道迷いや危険防止のための規制テープの張り替えや、火山活動に関する注意看板の立て替えを行いました。
雌阿寒岳には、雌阿寒温泉のそばに登山口がある雌阿寒温泉コース、オンネトー野営場のそばに登山口があるオンネトーコース、阿寒湖温泉街からフレベツ林道を少し上ったところに登山口がある阿寒湖畔コースのあわせて3つの登山道があります。
今回点検したのは、足寄側にある雌阿寒温泉コースとオンネトーコースの2つです。
参加者は2班に分かれそれぞれの登山道を点検していきました。私はオンネトーコースを担当することになりました。
オンネトーコースは、利用者が多い雌阿寒温泉コースに比べるとやや距離が長いものの、比較的勾配が緩やかで、低地では針広混交林の豊かな森を堪能することが出来ます。
登山口に入ってすぐ、エゾオオサクラソウやヒメイチゲなど春先~初夏に見頃を迎える可愛らしい草花が私たちを出迎えてくれました。
▲エゾオオサクラソウ(左)、ヒメイチゲ(右)
まだ本格的な高山植物の季節には少し早かったですが、この時期しか見られない花を存分に愛でながら歩みを進めていきました。
三合目付近には、岩穴の奥で薄緑の神秘的な光を纏うヒカリゴケが自生しているポイントがあります。ヒカリゴケは厳密には発光しているわけではなく、光を反射する特殊な構造の細胞を持つコケ植物です。
岩に差し込む日光を遮るようにすると光がよく見えるので、是非ご観察下さい。
オンネトーコースは、5合目を過ぎてハイマツ帯に入るまで阿寒の深い森の中を歩きます。
今回の点検で、つまずきそうな樹の根や道沿いの枯損木にはテープを巻いています。登山をされる際は景色だけに目を奪われず、周囲をよく注意して歩きましょう。
▲ヒカリゴケ(左)、テープを巻いた枯損木(右)
オンネトーコースの7合目あたりでは、両脇から茂ったハイマツで登山道はトンネルのように様変わりします。このハイマツ帯を抜けると一気に展望が開けます。
前方には雄大な雌阿寒岳がそびえ、右手に美しい円錐状の阿寒富士、振り返ると麓に深い群青色のオンネトーが見えてきます。
風は強かったものの、雲間に青空の映える作業日和の良い天気でした。
▲ハイマツのトンネル (左)、7合目から望むオンネトー(右)
▲阿寒富士(左)、雌阿寒岳山頂(右)。
▲火山防災看板立て替え作業
現在の雌阿寒岳は残雪もすっかりなくなり、非常に歩きやすくなっています。山頂付近では、メアカンキンバイやメアカンフスマ、コケモモにガンコウランといった多様な高山植物が開花結実する登山のハイシーズンを迎えています。
入山される際は十分に注意して、天候・服装・装備等を確認の上、マナーを守って登山を楽しんで頂ければと思います。
今回ご紹介した雌阿寒岳登山道は、環境省Webサイトでも見どころや登山ルートを解説しています。ぜひこちらも合わせてご覧になって下さい。