北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

阿寒湖の氷上をゆく

2007年02月19日
阿寒湖
2月13日(火)

 2月18日(日)に予定している阿寒湖畔エコミュージアムセンター主催の自然ふれあい行事「エゾシカ観察ハイキング」のコースの下見と巡視のため、阿寒湖を見下ろす展望地、阿寒湖の氷上、ボッケ(湖畔の地熱地帯)、大島等へ「歩くスキー」を履いて行ってきました。
 
 阿寒湖湖畔南部の森林内をスキーを履いて登り始めてから2時間、ようやく白く結氷した阿寒湖、雄大で今にも動き出しそうな雄阿寒岳、そして大島全体がはっきり見えてきた。特に名前のないこの展望台。これだけ迫力ある雄阿寒岳を間近で、しかも同じくらいの目線でみられる場所はそうないだろうと実感。空を見上げると、ゾッとするような青さだった。雪の斜面と周辺のシラカンバ、そして雲の白さがその空の色と見事にマッチしていた。

 絶景を前にして展望台で昼食をとり30分程休んだ後、阿寒湖の大島へと湖岸側の雪の斜面を滑り下りた。雪の上は、太陽の光がキラキラ反射してダイアモンドが散りばめられたよう。人の足跡がない雪の斜面をスキーで滑るのは、また格別。あるのは、エゾリス、エゾシカ等の足跡だけ。決して他では味わうことのできない「特別な場所」ならではのぜいたくな冬の楽しみのひとつだ。

 阿寒湖の氷上に出ると、目の間に広がるのは一面、白、白、白一色・・・。ひとまず真正面にある大島へと向った。岸のあたりを見ると何か様子が違っていた。大島に生えていた木、特に、トドマツなどの針葉樹が風で倒れていたのだ。年末年始の低気圧の影響による爪あとを目の当たりにし、自然のすさまじさを改めて感じさせられた。

 阿寒湖の湖岸に沿って歩いていくと、氷上を歩いているエゾシカを発見。またしばらく歩くとエゾシカの親子が小島の上でこちらの様子をじっと伺っていた。そして突然我に返ったかのように、「ピヤァッ」と警戒音を発した途端、サッと一目散に森の中へと姿をくらました。冬の森を歩いていてエゾシカに出会った時、しばらく時間(とき)が止まったかのような場面(エゾシカが警戒音を発し逃げるまでの時間)がある。そのわずかな間に、私は度々不思議な時間が流れているように感じる。

 ふと後ろを振り返ると、薄く白い雲のヴェールに包まれた雄阿寒岳が見えた。すっかり夕暮れ時となり、淡いピンク、紫と柔らかい色に包まれた小島は、まるで異国の地のように見えた。


展望台からの眺め(見えるのは大島、阿寒湖、雄阿寒岳)


低気圧の影響による風倒木


阿寒湖の氷上にたたずむエゾシカ