アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
アカエゾマツの森に歩きに来ませんか?
2024年01月25日
川湯
こんにちは。
阿寒摩周国立公園管理事務所の伊藤です。
川湯ビジターセンターの裏にはアカエゾマツの森の探勝路という、アカエゾマツの純林の中を歩ける歩道があります。
ゴゼンタチバナコースとアカゲラコースの2つがあり、それぞれ0.8 km と2.2 kmです。
この森の近くには、現在も硫黄分を含んだ噴気をあげている活火山である硫黄山があります。
その影響で一帯は酸性土壌となっており、他のトドマツやエゾマツの生育が難しいためアカエゾマツの純林が形成されました。
今回は私が巡視を通して感じた、アカエゾマツの森探勝路の魅力についてお話しします。
まずは森の時間を体感できることです。
倒木を栄養分として幼樹が成長する、倒木更新をいたる所で確認できます。
また、アカエゾマツが倒れてできた隙間には日が当たるようになり、コシアブラやホオノキやなどの広葉樹が伸びてきているのが見て取れます。
【倒木更新】
【倒木でできた隙間に広葉樹が生えてきている様子】
昔から森を歩いているビジターセンター職員やパークボランティアの方から、「このアカエゾマツの幼樹もずいぶん伸びたね」や「あのホオノキも何年か前はもっと小さかったのに、もうこんなに大きくなった」などと聞くことがあります。
一見、実感しがたい時間の流れですが、確かに森は少しずつ変動しているようです。
森の変化を緩やかに体感できることが、魅力的だと思います。
次に四季の移ろいについてです。
アカエゾマツの森は遷移が進んだ森のためバランスの取れた安定的な生物相ですが、四季によって見せる様相は異なります。
春、林床にはゴゼンタチバナの花の絨毯ができます。
一面に花が咲き誇る様子は圧巻で、これだけ大きな群落はあまりないのではないでしょうか。
また、ゴゼンタチバナは四国の高山帯や中部以北の亜高山帯で確認される種ですが、北海道では標高の低い土地でも確認することができます。
本州では山の上に生育するような植物を手軽に観察できるのもこの森の魅力です。
【ゴゼンタチバナの群落】
夏にはゴゼンタチバナが赤い実を付け、彩りのある森に変貌します。
【ゴゼンタチバナの赤い実】
秋にはコシアブラが紅葉し、針葉樹の深い緑と対照的な白い葉が出現します。
晴れの日には日の光がコシアブラの葉を透けて美しいです。
また、エゾリスが活発に活動するようになり、アカエゾマツの球果をくわえたリスを発見することもあります。
【球果を加えたエゾリス】
冬はアカエゾマツに積もった雪が日の光を反射しながらゆっくりと降り落ち、幻想的です。
【冬のアカエゾマツの森】
この森は地形的に強い風が入らず、針葉樹林帯のため光が入りにくく、雪が溶けづらいため、動物の足跡が綺麗に残ります。
軽いネズミやトガリネズミの足跡は消えてしまいがちですが、アカエゾマツの森では綺麗な足跡を見かけることが多いです。
しっかり尻尾を引きずった跡も残っています。
跡をたどると直径3 cmほどの穴が下へ掘られていました。
冬は雪とササの間の隙間を利用して移動しているようです。
探勝路の部分は雪が踏み固められ隙間がなかったのか、探勝路を横断するときだけ上に出てきていました。
【ネズミの足跡】
最後に、この探勝路の管理にはパークボランティアにご協力いただいています。
看板作成もパークボランティアで行っており、印字が薄れてくると焼き直ししています。
できるだけ自然らしい看板づくりを目指しました。
興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
アカエゾマツの森探勝路 | 北海道地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)
また、パークボランティアと一緒に巡視も行い、その際にササ刈りをお願いしています。
ササ刈りは探勝路にかかったササのみを手鎌で刈っており、必要以上に植物を傷つけないよう配慮しています。
ぜひ探勝路を歩く際は自然に近い探勝路とパークボランティアの方の思いを感じつつ、歩いて見てください。
【パークボランティアによるササ刈りの様子】
ここまでアカエゾマツの森の魅力を紹介しましたが、ちょっと歩いてみたい気持ちになったでしょうか。
ぜひ自分だけの発見・魅力を探してみてください。
川湯に立ち寄った際はビジターセンターで解説を聞いた後に、アカエゾマツの森を歩いてはいかがでしょうか。
アカエゾマツの森のガイドウォークも行っているので、興味のある方はリンク先から詳細をご覧ください。
アカエゾマツの森ガイドウォーク | 川湯ビジターセンター (kawayu-eco-museum.com)
阿寒摩周国立公園管理事務所の伊藤です。
川湯ビジターセンターの裏にはアカエゾマツの森の探勝路という、アカエゾマツの純林の中を歩ける歩道があります。
ゴゼンタチバナコースとアカゲラコースの2つがあり、それぞれ0.8 km と2.2 kmです。
この森の近くには、現在も硫黄分を含んだ噴気をあげている活火山である硫黄山があります。
その影響で一帯は酸性土壌となっており、他のトドマツやエゾマツの生育が難しいためアカエゾマツの純林が形成されました。
今回は私が巡視を通して感じた、アカエゾマツの森探勝路の魅力についてお話しします。
まずは森の時間を体感できることです。
倒木を栄養分として幼樹が成長する、倒木更新をいたる所で確認できます。
また、アカエゾマツが倒れてできた隙間には日が当たるようになり、コシアブラやホオノキやなどの広葉樹が伸びてきているのが見て取れます。
【倒木更新】
【倒木でできた隙間に広葉樹が生えてきている様子】
昔から森を歩いているビジターセンター職員やパークボランティアの方から、「このアカエゾマツの幼樹もずいぶん伸びたね」や「あのホオノキも何年か前はもっと小さかったのに、もうこんなに大きくなった」などと聞くことがあります。
一見、実感しがたい時間の流れですが、確かに森は少しずつ変動しているようです。
森の変化を緩やかに体感できることが、魅力的だと思います。
次に四季の移ろいについてです。
アカエゾマツの森は遷移が進んだ森のためバランスの取れた安定的な生物相ですが、四季によって見せる様相は異なります。
春、林床にはゴゼンタチバナの花の絨毯ができます。
一面に花が咲き誇る様子は圧巻で、これだけ大きな群落はあまりないのではないでしょうか。
また、ゴゼンタチバナは四国の高山帯や中部以北の亜高山帯で確認される種ですが、北海道では標高の低い土地でも確認することができます。
本州では山の上に生育するような植物を手軽に観察できるのもこの森の魅力です。
【ゴゼンタチバナの群落】
夏にはゴゼンタチバナが赤い実を付け、彩りのある森に変貌します。
【ゴゼンタチバナの赤い実】
秋にはコシアブラが紅葉し、針葉樹の深い緑と対照的な白い葉が出現します。
晴れの日には日の光がコシアブラの葉を透けて美しいです。
また、エゾリスが活発に活動するようになり、アカエゾマツの球果をくわえたリスを発見することもあります。
【球果を加えたエゾリス】
冬はアカエゾマツに積もった雪が日の光を反射しながらゆっくりと降り落ち、幻想的です。
【冬のアカエゾマツの森】
この森は地形的に強い風が入らず、針葉樹林帯のため光が入りにくく、雪が溶けづらいため、動物の足跡が綺麗に残ります。
軽いネズミやトガリネズミの足跡は消えてしまいがちですが、アカエゾマツの森では綺麗な足跡を見かけることが多いです。
しっかり尻尾を引きずった跡も残っています。
跡をたどると直径3 cmほどの穴が下へ掘られていました。
冬は雪とササの間の隙間を利用して移動しているようです。
探勝路の部分は雪が踏み固められ隙間がなかったのか、探勝路を横断するときだけ上に出てきていました。
【ネズミの足跡】
最後に、この探勝路の管理にはパークボランティアにご協力いただいています。
看板作成もパークボランティアで行っており、印字が薄れてくると焼き直ししています。
できるだけ自然らしい看板づくりを目指しました。
興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
アカエゾマツの森探勝路 | 北海道地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)
また、パークボランティアと一緒に巡視も行い、その際にササ刈りをお願いしています。
ササ刈りは探勝路にかかったササのみを手鎌で刈っており、必要以上に植物を傷つけないよう配慮しています。
ぜひ探勝路を歩く際は自然に近い探勝路とパークボランティアの方の思いを感じつつ、歩いて見てください。
【パークボランティアによるササ刈りの様子】
ここまでアカエゾマツの森の魅力を紹介しましたが、ちょっと歩いてみたい気持ちになったでしょうか。
ぜひ自分だけの発見・魅力を探してみてください。
川湯に立ち寄った際はビジターセンターで解説を聞いた後に、アカエゾマツの森を歩いてはいかがでしょうか。
アカエゾマツの森のガイドウォークも行っているので、興味のある方はリンク先から詳細をご覧ください。
アカエゾマツの森ガイドウォーク | 川湯ビジターセンター (kawayu-eco-museum.com)