アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
「川湯エコミュージアムセンター発 総合学習で学ぶ」
2018年03月06日阿寒摩周国立公園管理事務所、岡西です。
早春から陽春へとむかう季節、皆様いかがお過ごしでしょうか。
川湯は3月に入ってもシバレル日が続いております。摩周湖、屈斜路湖共に全面結氷したのは5年ぶりのことみたいで、今年は雪が少なく低温で推移する、そのような特徴の冬でありました。
「川湯エコミュージアムセンター」
阿寒摩周国立公園摩周地域の自然環境情報発信基地。小さな博物館的な施設として地元の児童や生徒の教育の場としても利用されており、子供達が地域の自然を通して健やかに、環境教育、地域理解、そして郷土愛を育む一助となっています。小中学校の総合学習にも利用されており、今回は冬の総合学習について紹介したいと思います。
2月5日 川湯小学校(1~3年生)24名。テーマ「冬にしか見られないものを見に行こう」
屈斜路湖にて(砂湯)。スタッフの説明よりもオオハクチョウが気にかかるのかな?
温度計を使用しての調査。温泉が湧出しているため20度を超えています。オオハクチョウ、マガモ、オジロワシなどが観察できました。
エコミュージアムセンターに戻り、まとめの時間。案の定オオハクチョウに質問が集中。私も必死に説明しました。
2月8日。川湯小学校(4~6年生)17名。テーマ「冬の屈斜路湖でしか見られない物を見つける」
カウンターを使用して確認したオオハクチョウは40羽。温泉湧出付近温度52度。地面50.9度。温泉ph7.6。高学年になると計測器を使用して正確な数値を記録します。その他、御神渡り現象について氷に触れてみたり、発生の仕組みをみんなで考えたり、砂湯温泉と川湯温泉の泉質の違いを数値で比較することも。さすが高学年!の内容です。
クマゲラの食痕を観察。細長いのが特徴。クマゲラは確認できませんでしたが、間近でオジロワシを観察することができました。
2月22日。川湯中学校(1年生)6名。テーマ「自然環境を主体的に観察し、ふるさとの自然を理解する。」
小学生は午前中授業ですが、中学生は一日校外授業。量、内容ともに難易度が上がります。場所も和琴半島と砂湯付近の二カ所。
エコミュージアムセンターのスタッフから「凍裂」についてレクチャーを受ける。
「和琴半島ではトドマツによくこの現象がみられます。カエデの仲間多いですが、彼らは樹液に糖分を蓄えることで凍らない工夫をしています。シラカンバもそうです。なので甘いシロップが採れます。」とても解りやすい説明に私までひきこまれてしまいました。
オヤコツ付近は地熱の影響で雪がなく、「マダラスズ」というコオロギの仲間の姿が1年を通して観察できます。必死で探す生徒達。
昼食後、場所を砂湯付近に移動して御神渡り現象の観察。
時々近くでバリバリと氷の割れる音がし御神渡り現象の発生を耳で聞くこともできました。
ドリルを使用して氷に穴をあけて、メジャーで厚さを測るとなんと38㎝!。
この後、学校に戻り今日のまとめと資料作りを行いました。この資料は今年の夏、川湯エコミュージアムセンターで観光客を対象にボランティアガイドとして説明する際の資料となります。地域の子供達が地元の自然を学び、自分の言葉でふるさとを紹介する。すばらしい循環ですね。
実は今回のスタッフは川湯中学校の大先輩です。同じ学校で同じように授業を受け、そして地元の後輩に伝える仕事に就きました。これもすばらしい循環ですね。
地球というひとつの家族。自然から学ぶ物は何でしょう。命、神秘、驚異、感謝。たくさんありそうですね。