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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「雌阿寒岳エゾシカ痕跡調査」

2023年08月09日
阿寒湖 森竹祐
こんにちは!阿寒湖アクティブ・レンジャーの森竹です。
 
環境省が生態系維持回復事業の一環で実施している「雌阿寒岳エゾシカ痕跡調査」を7月に行いました。
 
※生態系維持回復事業については下記の環境省ホームページをご覧ください。
  https://www.env.go.jp/park/about/protect/ecosystem.html
 
この調査は、エゾシカの高山帯への侵入状況を把握することが目的で、痕跡(足跡・糞・植物の食痕など)を
確認した位置情報をGPSで落としながら野帳に記録していきます。
 
当日は、雌阿寒温泉登山口からオンネトー登山口までの登山道約7.7kmを踏査しました。
 
雌阿寒岳登山口をスタートして100mほどの場所で、早速ミズバショウの葉を食べるエゾシカ1頭を確認しました。
周りのミズバショウの葉にも食痕が見られたので、日頃から餌場として利用しているようでした。
代替テキスト
「調査開始まもなく発見したミズバショウを食べる個体」
すぐ近くの樹上でクマゲラの鳴き声がしたので探したところ、親子がいました。
代替テキスト
「木々の隙間からかろうじて確認したクマゲラの親子」
3合目に向かう途中には、1輪のギンリョウソウが咲いていました。
一般的な草本植物とは異なり、光合成をせずに菌類から栄養分を得ています。
代替テキスト
「葉緑体をもたないギンリョウソウ」
過年度の調査で痕跡が少なかった1合目から3合目間で、植物の食痕が目立ちました。
1つ1つの痕跡を記録したため、頂上には当初の予定より2時間遅れて到着しました。
頂上から望む景色はいつ見ても最高です!
代替テキスト
「頂上から望む、中マチネシリ火口と阿寒湖」
さすがに植物も少ない標高1,499mの頂上には、エゾシカの痕跡はないだろうと思っていた矢先、
前を歩いていた調査員の1人が突然「アッ!!」と声を上げました。
 
下の写真がそのときに見つけたものです。
代替テキスト
「頂上で確認したエゾシカの足跡(赤丸内)」
一瞬目を疑いましたが、そこにあったのは紛れもなくエゾシカの足跡でした。
こんなところまで登って来ていたとは…。
 
このあと、オンネトー登山口に向けてオンネトールートで下山を開始しましたが、8合目から7合目の間で
イワブクロの食痕が目立ちました。
代替テキスト
「イワブクロ」 
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「花びらと茎の上部が食べられたイワブクロ」
近くの斜面には、シカの足跡が続いていました。
代替テキスト
「シカの足跡が見られたほとんど裸地の斜面」
これまでは登山目的で行くことがほとんどだった雌阿寒岳ですが、今回のようにエゾシカの痕跡を探しながら登ってみると
予想以上に痕跡がありました。また、頂上1,499m付近にまでエゾシカが来ていることにはとても驚きました。
 
今後も本モニタリングを実施していく予定です。
みなさんも雌阿寒岳や道内の山に登られる機会がありましたら、エゾシカの痕跡を気にしてみてください。