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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

旧釧北峠

2010年02月17日
阿寒湖
 皆さんこんにちは。

 今回の日記は、先日出かけた阿寒湖の西に位置する『旧釧北峠』周辺の自然の様子を紹介したいと思います。

 その日は、雲一つない晴天…とまではいきませんでしたが、青空のもと、保護官事務所2名、パークボランティア2名の合計4名で山行しました。
 まず、国道241号線沿いの釧北峠に一番近い駐車場から、スノーシューを履いて阿寒湖方面へ向けて出発。林の中に入ると、エゾマツやトドマツ主体の針広混交林が広がっていて、足下には、雪の上にテンやエゾリス、ネズミの小さな足跡があちこちにあり、『彼らの生活圏にお邪魔しているのだなあ』と感じさせられました。東へしばらく進んだ辺りで、
「あれ、違うか?見間違いか?」
と、神妙な面持ちで呼び止められ、その視線の先を見てみると、そこにはエゾフクロウがいました。身動きひとつせず、傾いた古木の樹洞の中から眠たそうな目でこちらを見ています。半分目が閉じているので、もしかしたら居眠りの真っ最中だったのかもしれません。いずれにせよ、寝ぼけ顔のエゾフクロウは、私たちに驚きと感動を与えてくれました。
 

『エゾフクロウ』

 それからまたしばらく進むと、穴だらけのエゾマツを発見。アカゲラかクマゲラが餌を捕るために開けたものですが、これほど綺麗に並んでいる食痕はなかなか珍しいのではないでしょうか。これはお見事です。できた穴は、エゾモモンガの休憩所など他の生き物にも利用されることでしょう。



『穴だらけのエゾマツ』


 尾根沿いを更に進むと、送電線のルートにぶつかります。そこで今度は、今まで見た物とは遙かに異なる大きな足跡を発見。足跡が、周りの雪面よりも盛り上がっているのがわかりますか?聞くところに因ると、柔らかい雪の上を動物が歩いて雪が硬く押し固められたあと、その周りの雪が強風に吹き飛ばされると、踏み固められた雪が表面に現れて写真のようになるそうです。手の平程の大きさもあるこの足跡を残していったのは、きっとヒグマでしょうね。。雪が降り始めたら、ヒグマはみんな冬眠する……とは限らず、冬でも餌が豊富にあるうちは冬眠しないヒグマもいますので、注意しましょう。



『盛り上がっているヒグマの足跡』


 ヒグマの足跡から少し離れたところで昼食をとり、その後無事に帰路に着きました。

 阿寒湖の冬は、スノーシューハイキングやアニマルトラッキングなど、雪国ならではの楽しみ方がたくさんあります。みなさんもぜひ、足を運んでみて下さい。呉々も、防寒着や暖かい飲み物など、寒さ対策はしっかりとしましょう。また、土地勘のない場所では、必ず地図を用意しましょう。

注意:森の中に入るときは、野生動物を驚かしたり、ゴミを捨てたりするようなルール違反はやめましょう。特に、阿寒に棲むフクロウの仲間の中で、1月頃から繁殖期に入る種類がいます。その大事な時期に営巣木の周りで騒ぐと、その場所に居着かなくなってしまいます。マナーを守り、怪我のないよう、楽しく自然を満喫しましょう。


(写真撮影日:2010年2月11日)