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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「アメリカミンクって知っていますか!?」

2023年02月24日
阿寒湖 森竹祐
はじめまして。1月から阿寒湖管理官事務所のアクティブ・レンジャーに着任した森竹です。
これから阿寒湖の自然情報をお伝えしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 
阿寒湖の森を毎日歩いているといろいろな場面に遭遇します。
 
1月11日の朝、阿寒湖南部にあるボッケ(地下から火山性ガスが泥とともに吹き出し、
冬も凍結しない場所)付近で写真を撮っていたところ、黒い小動物が走ってきました。
 
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      「ボッケで出会ったアメリカミンク」
 
正体は、北アメリカ原産の「アメリカミンク」というイタチの仲間でした。
元々北海道にはおらず、道内には毛皮を衣服等に使う目的で1928年(94年前)に初めて輸入されました。
このように「本来生息していない地域へ人間により連れてこられた生き物」を『外来種』といいます。
 
釧路管内にもミンクの養殖場が作られ、1980年代に毛皮生産量がピークとなりました。
しかし、1990年代にかけて次第に衰退し、釧路管内では2001年までに全ての養殖場が閉鎖されました。
 
閉鎖に伴い、事業者が野外へ放したり、養殖場から逃げ出した個体が野生化したりしました。

現在は阿寒湖や釧路湿原を始め、道東一体に生息しており、近年、阿寒湖では数が増えています。
 
また、アメリカミンクによる在来生物や養魚などへの捕食被害も数多く報告されており、生態系や農林水産業に
問題を引き起こす生き物として、外来生物法に基づき「特定外来生物」にも指定されています。

 
外来生物法では、特定外来生物について、

   「飼育・栽培・保管及び運搬の禁止」「日本国内への輸入の禁止」「野外放出の禁止」「引渡しや販売の禁止」
                                                                              
                                                                                                                           という規制を設けており、被害の防止を図っています。

 
身近なところでいえば、特定外来生物に指定されている生き物は、「家に持ち帰って飼育することができません」。
川や湖でよく見られる「ウチダザリガニ」についても同じです。


              「大きなウチダザリガニを捕らえた瞬間!」

私たちにできることは、人間の身勝手な行為によって増えている外来生物について、正しく理解することだと思っています。
正しい知識を持っていなければ、キャンプで捕まえたウチダザリガニを家の近くの川に放し、生息地を新たに増やしてしまうきっかけを
作ってしまう危険もあります。
 
これを機に自分たちが暮らしている地域の外来生物を調べてみてはいかがでしょうか?
 
〇外来生物を調べる際の参考ページ
外来種問題を考える | 日本の外来種対策 | 外来生物法 (env.go.jp)
しってるかな?外来生物(環境省こどものページ) (env.go.jp)