アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
野生動物と交通事故
2017年10月08日私は、環境省 阿寒摩周国立公園管理事務所に勤務しております、佐々木 亘と申します。今年3月まで、北海道(道東)の高校の実習職員として5校に34年間勤務し、定年退職後、4月から同事務所に勤務しております。
さて、私は、釧路市から環境省の事務所がある弟子屈町川湯温泉までの片道約96㎞をマイカーで通勤しています。(長距離のため、帰りはつらい時もありましたが、今は慣れてドライブを楽しんでいます)
5月頃、通勤途中のある決まった場所で、二匹の親子キツネ(たぶん母と子、どういう訳か子供は1匹)を見かけるようになりました。当所、その子キツネはヨチヨチ歩きで親に着いて行くのに必死の様子でしたが、日を追うごとに活発になり、成長していく様子が分かりました。夜、帰宅途中、親子は道路上でじゃれ合ったりしていることもありました。
ただ、成長とともに道路を横断することも多くなってきました。私は、大体、親子がいる場所を把握していたので、減速をするようにしていましたが、それでもブレーキを踏むくらい急に目の前に飛び出されて、ヒャッとすることがありました。そして、近いうち交通事故に遭うのではないかという不安もよぎりました。
次第に私は、その子キツネの成長を密かに応援するようになっていました。娘の愛犬「マメ」にしぐさが似ていたため、マメと呼ぶようにしました。
・・・マメ、「車に気をつけろよ」と心の中で祈っていました。
ところが、7月6日の朝、いつもの場所に差しかかろうとした時、数羽のカラスが何かの死骸を啄んでいました。徐行をして、その側を通りかかったところ、その死骸は「マメ」だったのです。こうなるのではないかとなぁという不安はありましたが、ついに現実になってしまいました。
ここまで大きくなったのに、あのかわいい仕草、歩き方、親子のスキンシップ等もう見られないと思うと・・
この他にも多くの野生動物が交通事故により命を失っています。場所によっては注意喚起のための標識が設置されているところもありますが、皆様も車の運転にはご注意下さい。
以下に、私が通勤中に遭遇した野生動物の交通事故現場の写真を掲載します。
(苦手な方はご注意ください)。
交通事故あった野生動物
キタキツネ(マメではありません) エゾシカ
エゾタヌキ エゾリス
アオダイショウ ヤマシギ
※ ヒグマは車や列車との接触事故が
時々あります。
カラスのヒナ(巣立ち直後が多い)
北海道にはこのような注意喚起の看板がありますが・・・
『野生動物と交通事故』野生動物との関わりという面で避けて通れない問題ではないでしょうか。
自然の裏にはこのような現実があるのも事実です。