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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

悪戦苦闘中⑤ ~初期トラブル編~

2012年06月08日
阿寒湖
久々のAR日記ですが、お約束のEMC水槽展示におけるトラブルです。

①水温上昇によるグッピー雌雄分離

保護官事務所で飼育している間は、オスメスを混泳させていました。
もともと水温の低い水槽で予定外に孵化したグッピーだったので、そのまま低水温で飼育し、孵化後数ヶ月の間、繁殖も病気もせず育っていました。
しかし、阿寒湖畔エコミュージアムセンター(EMC)の展示スペースは冬の間温泉暖房が入っており、24時間室内は暖か、水温も適温に保たれてしまいます。
繁殖してしまうのは間違いなさそうなので、止むを得ず水槽セパレーター(仕切り板)でオスメスを分けました。
(水槽が狭く感じられ、見栄えも悪くなるので使いたくなかったのですが…。)

②それでも稚魚生まれる

保護官事務所生まれとは別に、ティラピア捕獲時にオンネトー湯の滝育ちのグッピー数匹を持ち帰りました。
この中のメスがすでに受精していたようで、ある朝稚魚が数匹泳いでいました…。
グッピーメスは、一度受精すると数回稚魚を生むことが出来るそうです。
この先何匹生まれてくることやら…。



③病気

グッピー飼育で最も多い「白点病」と「カラムナリス病(尾グサレ病)」が発生しました。幸い、塩水の中に暫く入れてやる塩水浴で回復しました。

④藻発生

グッピー水槽に緑色の藻が、ティラピア水槽に茶色の藻が急激に発生。原因は、EMC展示開始の際に、照明タイマーを開館時間に合わせて再設定した時のミスでした。開館直前に点灯するはずが、深夜から点灯していました。魚たちも寝不足だったかもしれません。点灯時間を正常に戻したところ、藻の成長は鈍くなりました。



⑤ティラピアのいじめ

今まで小さな個体を無視してきたティラピア(大)ですが、ある日ティラピア(小)の隠れ家の石を突き倒して追っかけ回していました。ティラピア(小)は鱗がボロボロになり、隔離して治療を試みましたが残念ながら死亡してしまいました。

⑥産卵床

ティラピアオスは成熟すると、「産卵床」と呼ばれるすり鉢状の穴を水底に掘り、そこでメスの産卵を待ち受けます。水槽で単独の飼育をしていても、底砂を掘り返していました。待っても誰も来てくれませんが…。
エアーストーンやヒーターを埋めてしまいますが、大きな問題は無く、ティラピアの生態を見てもらうという事で、このままにします。



いろいろ大変な生体展示ですが、パークボランティアの方が館内ガイドで利用してくれたり、湯の滝記載のオンネトーパンフレットを持ち帰る方が増えたりするなど、有効利用はされているようです。

今回で「悪戦苦闘中」の連載は終わりますが、これからも外来魚問題について随時報告はしていきます。次の報告をお待ちください。