アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
雌阿寒岳の自然
2007年07月31日
阿寒湖
7月26日(木)。今日は、雌阿寒岳へ巡視に行ってきました。雌阿寒岳へは阿寒湖畔コース、野中温泉コース、オンネトーコースの3つのコースから登山することができます。今回は、阿寒湖畔コースから登山し、野中温泉コースから下山することにしました。
阿寒湖畔コースの登山口からスタートし、しばらくアカエゾマツやササが中心となった森林の中を歩きます。
アカエゾマツの樹林帯をぬけると、イタドリやハイマツ帯が見え始めます。ここには、センダイハギという黄色い花がたくさん咲いていました。また、ハイマツの間に所々に見え隠れするコケモモ。まだ完全に熟していない赤い小さな実でしたが、これから大きくなるのが楽しみです。
センダイハギ
トンネルのようなハイマツ帯をすぎると、しだいにごつごつとした岩場の登山道に変わっていきます。しばらくすると阿寒富士の山頂部分や雌阿寒岳の山頂、「ポンマチネシリ」が見えてきます。植物など育たないまるでどこかの遠い惑星に舞い降りてしまったかのようなこの岩石と砂れき帯を歩けば、メアカンキンバイやメアカンフスマ、イワブクロなど雌阿寒岳の代表する可愛らしい高山植物たちが出迎えてくれます。
イワブクロ
ガンコウラン
メアカンフスマ
やっとの思いで雌阿寒岳の山頂に到着。そこから見る景色がまた格別。スタート地点の阿寒湖畔側を見るとナカマチネシリと遠くの方にうっすらと見える阿寒湖。そして後ろを振り返ると雌阿寒岳の主峰ポンマチネシリの火口と阿寒富士を望むことができます。
阿寒湖とナカマチネシリの火口
ポンマチネシリの火口と阿寒富士
思わず足がすくんでしまいそうな外輪山に立ち勇気を出して(?)雌阿寒岳の火口を覗くと、青く透きとおった「青沼」、そして下山途中で見えた「赤沼」をはっきり見ることができます。その名の通り、「青沼」は青く見え、「赤沼」は赤く見える不思議でいて、とても美しい沼です。いつのまにか登山の疲れを忘れさせてくれる雌阿寒岳の豊富な自然に感謝です。
青沼
赤沼
【雌阿寒岳】
阿寒湖の南西部に位置し、標高1,499mの阿寒山群の主峰。約2万年前に火山活動を開始し、何度も噴火をくり返し複雑な山体をつくっている。主峰のポンマチネシリは、約1万5千年前にでき、南側に位置する標高1,476mの阿寒富士は、約2千年前に誕生した。
【雌阿寒岳登山コース案内】
●阿寒湖畔コース(6.0km)登り3時間・下り2時間
温泉街の西部のフレベツ林道を車で登山口まで向かう。登り時間は3コースの中で一番長いが、ゆるやかな登りが続き、植生の変化も楽しめる登山コースとなっている。
●野中温泉コース(3.3km)登り1時間50分・下り1時間20分
登り時間が3コースの中で、最短で山頂に辿り着ける一般的な登山コース。火山れきがある急な登りがあり、高度が増すにつれオンネトーなどを望むことのできる見晴らしの良いコース。
●オンネトーコース(4.2km)登り2時間20分・下り1時間40分
オンネトー野営場からほど近く、途中から阿寒富士へ登るコースもある。コケモモやガンコウランなどの植物を見ることができ、頂上へは噴煙を上げる雌阿寒岳の火口の外輪を通って登るコースとなっている。