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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

オンネトー湯の滝の生態系維持回復事業

2015年02月20日
阿寒湖 北川 栄司

皆様、お久しぶりです。

阿寒湖の北川です。

久々のAR日記は、以前にもお伝えした「オンネトー湯の滝」の状況についてお伝えします。


以前から駆除を実施していましたが、なかなか根絶に至らなかったオンネトー湯の滝の外来魚。

実は、平成25年から「生態系維持回復事業」として、本格的な駆除作業を実施しています。

生態系維持回復事業についてはこちら。↓

http://www.env.go.jp/park/system/kanri10.html


平成25年は、事前調査を行い、外来魚の生息する池に流入する滝からの温泉水を、堰を設けて下流へ迂回させる対策を実施しました。

滝の下に設けられた堰
「滝の下に設けられた堰」


この対策により、小型のポンプで水抜き駆除が可能となり、頻繁に水抜き駆除が実施できるようになりました。

小型ポンプによる池の水抜き
「小型ポンプによる池の水抜き」


池の中からも温泉が湧出しているため、水が無くなったり、水温が大幅に低下する事はありませんでしたが、水量が減り水抜き駆除も頻繁に行った事により、生息数は大きく低下しました。


まずは、この対策による効果を確認していたのですが、やはり事前に予想されていた通り、岩の隙間や泥の中に逃げ込んで生き延びた個体が駆除しきれず、この対策だけでは根絶には至りませんでした。


そこで予定通り、次の対策として、冷たい沢水を池に引き込む作業を昨年末に行いました。

池の下流で合流している冷たい沢があるのですが、その沢水を源流に近い少し高い位置から、ホースをつないで池に引き込んでいます。

「複数のホースで沢水が引き込まれている池(水抜き状態)」
「複数のホースで沢水が引き込まれている池(水抜き状態)」


この冬の大雪の影響や水量調整等でまだ作業中ですが、すでに池で泳ぐ外来魚の姿は見られなくなってきています。

今後、取水による沢への影響を確認しながら、更に池に引き込む沢水を増やしていき根絶を目指していきます。