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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「マリモと人が出会った場所」

2024年04月19日
阿寒湖 森竹祐
こんにちは!阿寒湖管理官事務所の森竹です。
前々回に引き続き、マリモの話題を取り上げていきます!
 
4月5日に阿寒湖西部にあるシュリコマベツ湾の巡視に行ってきました。
前々回のAR日記の冒頭でもさらっとご紹介しましたが、シュリコマベツ湾は1897年にマリモが最初に見つかった場所です。
 
残念ながらシュリコマベツ湾のマリモ群生地は、1940年代までに消滅しました。
その原因として上げられている主な理由は以下の通りです。
 
・売買のための違法な採取
・水力発電による水位の低下
・観光船乗り入れによる攪乱
・シュリコマベツ湾に流れ込むシュリコマベツ川上流域で行われた樹木伐採や、鉄砲流しと呼ばれる川の流れを利用した木材の流送による土砂流入
 
群生地消滅後、シュリコマベツ湾での調査で球状マリモが最後に確認されたのは1972年でした。
 
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シュリコマベツ川
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シュリコマベツ川河口部
そんな歴史があるシュリコマベツ湾を歩くのは、着任後初めての経験でした。
湾には現在も泥が堆積しているためか、岸側に張っていた氷が茶色くなっていました。
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堆積している泥のためか茶色く濁る湖岸側の氷
湾の沖には、シベリアへ渡る途中の2羽のオオハクチョウが飛来していました。
水草が豊富な阿寒湖では、よく探すと様々な水鳥が見られます。
 
湾から勢いよく飛び立ったオシドリのメスは、旋回してシュリコマベツ川上流部へと姿を消しました。
オシドリは、湖南部(温泉街周辺)ではごく稀に見かける程度で、主に北部で見ることが多いです。
 
水中には、アオサギのものと思われる足跡が残っていました。
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湾の沖にいたオオハクチョウ  
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シュリコマベツ湾上空を旋回するオシドリのメス
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アオサギのものと思われる足跡
シュリコマベツ北西岸に流れ込む川では、茶碗のかけらを見つけました。
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川の中にあった茶碗のかけら
「大自然の中になぜ茶碗が?」と思われた方も多いと思いますが、実はかつてシュリコマベツ湾周辺では人が暮らしていました。その時の名残が今も残っているというわけです!

日本で最初期の国立公園

現在、日本全国に34カ所ある国立公園のうち、阿寒摩周国立公園は、大雪山国立公園や中部山岳国立公園、日光国立公園、阿蘇くじゅう国立公園とともに日本で最初期に指定された国立公園になります。
 
国立公園に指定される条件を一部ご紹介すると、
  1. 複数の観点(偉大さ・雄大さ・美しさ・原生性・希少性・特殊性など)から日本を代表し、傑出した(飛び抜けて優れた)自然の風景がある地域である。
  2. 原則として約30,000ha以上の区域がある。
  3. 原生的な景観核心地域が原則として約2,000ha以上の区域面積がある。                                                   
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シュリコマベツ湾から見た雄阿寒岳
1934年に国立公園となった阿寒湖エリア。今回初めてシュリコマベツ湾を訪れて、個人的にNo.1だった風景が上の写真です。
まさに国立公園といえる雄大な風景で、人工物が全く見えない点も魅力の1つに感じました。
 
もし、国立公園指定前の時代に、自分が国立公園指定候補地選定に関わる立場でこの風景を見ていたら、間違いなく自身も阿寒湖エリアを推薦したと思います。
それくらい心を打たれる圧巻の風景でした。

今年のグリーンシーズンも阿寒摩周国立公園内の様々なフィールドを歩いて、シュリコマベツ湾から見た風景のような国立公園に指定されたわけがよくわかる風景をたくさん撮影し、発信していきたいと思います!