アクティブ・レンジャー北海道地区

釧路湿原らしさを楽しんでもらうために

2024年08月07日
釧路湿原 石下亜衣紗
こんにちは。釧路湿原自然保護官事務所の石下です。
北海道でも夏休み期間に入り、釧路湿原でもご旅行に訪れる家族連れが目立ってきました。
道内でも特に涼しい釧路。夏を過ごすにはもってこいの場所です。
 
釧路湿原国立公園パークボランティアのみなさんには、いつも釧路湿原の生き物たちを守るため、訪れる人たちに楽しんでもらうための活動に取り組んでいただいています。
夏は生き物の動きが活発で、観光シーズンでもあり、特に活動が多いのですが、特定外来種オオハンゴンソウの防除活動が正念場を迎えています。
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特定外来種オオハンゴンソウ
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大きくなると2mも越え、時には3mにもなるような植物です。
良好な湿原環境に侵入してきます。
種ではもちろん、根っこが残るとそこからも増えていってしまうので、草刈りではなく、根っこからの抜き取りを行なっています。
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根っこが大きいので、
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残さないように抜くのも簡単ではありません。
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最盛期の作業はオオハンゴンソウの中に埋もれてしまいます。
外来種は在来の生き物の捕食、生息場所の競合、交雑など本来の生態系を壊してしまう問題が起きています。
一番の対策は入れない事、そして野外に放さないことですが、入って来てしまっているものに対しては増やさない・拡げないことが大切です。
 
本来の生態系・生き物を守る上でも大事な活動ですが、オオハンゴンソウ防除活動に取り組むのにはもう一つ理由があります。
 
オオハンゴンソウのお花畑に感動して帰ってもらわないため!
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オオハンゴンソウの大群落地では
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見事な黄色い花畑となってしまっています。
これを見た観光客の方々に

「さすが北海道の大自然!」

「なんて釧路湿原は美しいんだ!」

と間違った感動・印象をもって帰っていただかないようにするためにも、パークボランティアみなさんは、
暑い中、頑張って下さっています。
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2時間で抜き取ったオオハンゴンソウ。
手間のかかる作業なんです!
 
まだまだお花畑が無くなるまではいきませんが、活動を続けている場所では、年々、回収する量が減り、他の場所に比べて咲いている花が少なくなってきたことを実感できています。
 
ぜひ「本来の釧路湿原らしい」景色や、この生態系だからこそ生きてきた動植物を堪能して、思い出を作っていってください。
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シンプルに水と緑の美しい釧路湿原