2016年10月12日
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2016年10月12日黒岳バイオトイレの冬支度
大雪山国立公園 岩城大洋
こんにちは。上川自然保護官事務所の岩城です。
今回は黒岳石室の隣にある黒岳バイオトイレのくみ取り作業に行って来ましたので、
その様子をお伝えします。
上川総合振興局では、短い大雪山の山シーズンの間に6回のくみ取り作業を実施しています。
今年度最後のくみ取りは、10月3日に上川総合振興局、上川町、山のトイレを考える会、
上川自然保護官事務所で行いました。
天気はあいにくの雨模様。
時折吹きつける突風が体を冷やします。
雨具のフードをしっかり被り、15分ほどリフトに揺られると7合目に着きました。
7合目より登り始め、マネキ岩が見えてきました。もう少しで山頂です。
すっかり紅葉も終わり、あたりはさみしい景色になっていて、それはまるで
雪を待っているかのよう。でもそんなさみしい景色も僕は好きです。
山頂に到着です。リフトでは強風にあおられたので、山頂もさぞ風が強いと危惧していましたが、
心配するほどではありませんでした。
黒岳トイレまであと少しです。先を急ぎます。
山頂より20分ほど歩いて現場にたどり着きました。
作業は2班に分かれます。
トイレで実際にくみ取りをする班と、シーズン中に保管していたくみ取り済みの糞尿を
広いスペースへと運び、ヘリコプターでつるし上げられる状態にパッキングする班に分かれます。
私はくみ取り班で作業にあたりました。
まずは汚れたもいいように、白い作業服に着替えます。
くみ取りが始まりました。糞尿は、二重にした厚手のビニール袋に入れていきます。臭いとの戦いです。
一袋の半分ほどくみ取ると、中側の袋を縛り、外側の袋は結束バンドできつく縛ります。万が一でも漏れないようにするためです。それから重さを量ります。1袋平均約20kgでした。
黒岳バイオトイレはA、B、C、Dと4つのトイレがあり、それぞれくみ取った量を算出します。
今回は Aトイレ 350kg
Bトイレ 340kg
Cトイレ 170kg
Dトイレ 130kg でした。
総くみ取り量は990kgになります。くみ取りはこれで終了です。
すべてくみ取るまで2時間ほどかかりました。
パッキング班も作業が終わったようです。約20個にパッキングされた糞尿は、10月13日の予定で
ヘリコプターにより上川町に運ばれ、その後適切に処理されます。
順調に作業が終わったので、トイレの冬囲いを行いました。
厳しい冬を越え、来年の6月まで約9ヶ月間の冬眠に入ります。
もともと黒岳のバイオトイレは、おがくずに付着している微生物の分解能力によって糞尿を分解処理
する予定でした。
トイレは1日あたり最大200人の利用を想定し設計されましたが、利用者数が想定以上だったため、
トイレを維持するには、くみ取り作業を導入するしかありませんでした。
またこのバイオトイレは高山帯に位置するため、低温により微生物が予想より活発には働かない点も
くみ取りが必要な原因のひとつになっています。
トイレがオープンしている期間(6月中旬~10月初旬)の間に合計6回のくみ取り作業を行ってトイレを
維持しています。
少しでもくみ取りの量を減らすためにも、各登山者の携帯トイレの持参をお願いします。
登山者の1割が携帯トイレを持参することによって、くみ取り量は年間で約600kgの減少になります。
今まで黒岳バイオトイレを使用した方たち、これから使用するかもしれない方たちにも、
このような作業が行われて、はじめてトイレが維持されているのを記憶にとどめて頂ければと思います。
今回のAR日記はここまでです。
また次回をお楽しみに。
えりものアクティブ・レンジャー近藤です。みなさん、いかがお過ごしですか?
えりも町も肌寒い日が増えてきました。ストーブの恋しい季節です。
豊似岳の山肌も、冬に備えて紅葉が始まりました。
さて、9月のことになりますが、えりも町の東洋小学校の児童3名に出張授業を行いました。
テーマは「ゼニガタアザラシの分類と生態」です。
当日は新聞社の取材も入ってやや緊張したスタートでしたが、クイズを出題すると児童(先生も含めて)が積極的にリアクションしてくれたので、しだいに和やかな雰囲気になりました。難しい問題もありましたが、しっかりと理解してくれたようで、スムーズに進みました。
ゼニガタアザラシの性別の見分け方を、本物の剥製を使って説明しました。特別ゲストの登場に興味津々です。ちなみに、ゼニガタアザラシはおなかの穴(生殖孔)の位置で性別を見分けることができます。
10月には、第二弾「ゼニガタアザラシと漁業の関わり」のテーマで授業を行う予定です。
AR日記でもご紹介したいと思いますので、お楽しみに。