2019年10月11日
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2019年10月11日サロベツを海から望む
利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 青山留美子
利尻礼文サロベツ国立公園のサロベツ部分は、海岸に沿って広がる砂丘林が国立公園に指定されているため、それに沿うように海域部分も国立公園の普通地域として指定されています。
普段は砂丘林に沿って続く道路を行ったり来たりするのみで、海も国立公園だと認識する機会はほとんどありませんでした。
それが今年は、国立公園の見直しを検討しているため、自然保護官による現地調査が行われることになり、私も同行させてもらいました。
地元の漁師さんにお願いし、秋サケ漁のお仕事の合間に船を出してもらいました。
海から見る利尻・礼文は一段と近く見えました。
利尻に渡ったヒグマも、この景色を見て「近いから泳いで行ける」と思ったかもしれないと感じました。
陸からではあまり見かけない、アジサシに出会ったり、魚群に集まるカモメたちの姿が所々にあったりと、海の上ならでは出会いもありました。
また、日頃使う海岸線の道路を走っている車が見えると、少し不思議な気分になりました。
海の上から見たサロベツは、道路から見るより何倍も、人工物がないと感じました。
稚内の町が見えてくると、大都会のように建物がいっぱいあるように見えた反面、豊富町側では、道路の看板や橋くらいしかありませんでした。
砂浜に打ち上がっているゴミも目に入りません。
自然の大きさを感じた一時でした。
人工物のない景色が広がるサロベツ。
その価値をどう考え、どう残していくのか?
ここは渡り鳥の往来があり、それこそヒグマも活動する場所です。
人からの目線だけでなく、様々な目線になって、角度を変えて見ることも重要だなと感じた船の旅でした。
こんにちは、野生生物課の大久保です。
農業が盛んな美唄市宮島沼には、稲刈りが終わる頃、極東ロシアからマガンが渡ってきます。
宮島沼は、長い渡りの途中で羽休めをし、栄養を補給するための大切な中継地です。
鳴き声がする空を見上げるとV字編隊を組んでいます。
宮島沼で滞在中のマガンの1日の行動は、
朝、宮島沼を飛びたち、採食地へ向かうことから始まります。
田んぼで落ち穂などをお腹いっぱいになるまで食べます。
その後、午前中のうちに一度宮島沼に戻ってきて休息し、午後にはまた田んぼで採食する生活が基本です。
日中は、採食と休息の繰り返しです。ただ、天気が悪いときや、田んぼに十分な飲み水があるような時は、わざわざ沼に戻ってこないで、田んぼで休息することも多くなります。
夕方、日没前後になると、採食地に散らばっていたマガンは、編隊を組んで一斉に宮島沼に戻ってきます。
いわゆるねぐら入りです。キツネなどの天敵が活発になる夜間を、安全な沼で過ごしています。
先日訪ねた時には、天気が悪かったため、マガンはお出かけ中でした。
宮島沼にマガンが集まるのは、安心して休める沼とエネルギーを蓄える餌場があるからです。
田んぼで落ちモミを食べることを理解してくれる近隣農家さんの理解もあって、渡り鳥との共生が成り立っているところです。
マガンに安心して沼で過ごしてもらうために、宮島沼友の会通称ミヤトモで観察のコツやマナーを紹介していますので是非ご覧ください。
https://miyajimanuma.wixsite.com/miyatomo/geesewatch
宮島沼でのマガンの観察は、「早朝のねぐら立ち」「夕方のねぐら入り」がおすすめです。
「早朝のねぐら立ち」は朝5時半前後が目安で、「夕方のねぐら入り」は夕方5時前後です。渡り鳥の群れが一斉に飛び立つ様子はかなりの迫力があります。是非この感動を体験してみませんか?