ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2020年12月25日

4件の記事があります。

2020年12月25日固有種リシリヒナゲシ②

利尻礼文サロベツ国立公園 室田 雄飛

こんにちは、利尻島AR室田です。前回の続き「栽培ヒナゲシ」「野生(wild)ヒナゲシ」の比較、2種のなかで起きている問題・影響についてお伝えします。

・栽培ヒナゲシの播種

 前回の投稿で「利尻山の土壌侵食」による個体数の減少を話しましたが、もうひとつの問題として、「栽培ヒナゲシ」の播種(はしゅ:種をまくこと)があります。1980年代から2000年までに、何度か平地で栽培されていたヒナゲシの種子が利尻山の高山帯に播種されました。利尻山高山帯のリシリヒナゲシが少なくなったのを憂いて、善意で行ったとはいえ、高山帯にいるリシリヒナゲシと異なる種を播いてしまったのです。播種されたヒナゲシはDNA検査の結果、チシマヒナゲシ由来のヒナゲシと推測され、自生種とは別種と判断されました。固有種リシリヒナゲシをほかの種との交雑による「遺伝子の攪乱」土壌浸食による「生育環境の変化」などから守るための活動が現在も続けられています。

 

・富良野岳にリシリヒナゲシ?

 実はリシリヒナゲシが大雪山国立公園の富良野岳の登山道横に花を咲かせていたことがあります。なぜ、何百キロと離れた地に咲いているのか?と話題になったそうですが、結果はもちろん、栽培ヒナゲシです。自然公園法に基づき採取されDNAの検査が行われました。その結果チシマヒナゲシに由来する個体、栽培ヒナゲシとして判断され除去が行われました。

・リシリヒナゲシを守るために

 2008年から環境省事業で利尻島情報センターと北海道大学の協力の下、利尻山の自生地にある全ての個体をDNA解析し、種の識別をするとともに、栽培ヒナゲシの除去を行ってきました。現在まで多くの方々の協力により栽培ヒナゲシの除去は続き、確認される数も減ってきました。持ち込まれるときは一瞬、元の環境に戻すには数十年単位でかかります。二度と同じ過ちを繰り返してはいけません。

 

◇除去作業に尽力された地元の方々

 利尻山は多彩な高山植物が生育する秀峰です。変わらぬ魅力を後世に楽しんでもらうため、登山の際は植生を踏み込まない、携帯トイレを使用するなど自分たちが出来る範囲で保全に協力しましょう^^

ページ先頭へ↑

2020年12月25日空の広さを実感

支笏洞爺国立公園 當山真貴子

みなさん、こんにちは。支笏湖アクティブ・レンジャーの當山です。

 

さて、支笏湖商店街周辺の「電線の地中化」の工事が完了しましたので、その様子をご報告します。

電線が埋設されたことにより、今まで遮られていた景色が一気に開き「空はこんなにも広かったのか!」と実感しました。

 

今年の支笏湖園地は、電線の地中化を含めて、展望デッキの新設やアスファルト舗装、街路灯のLED化、側溝の整備などなど・・・大規模な整備の一年でした。

来年以降も一部の整備は続きますが、地元の方々や来訪者が快適に利用できるように取り組んでいきたいと思います。

ページ先頭へ↑

2020年12月25日オオワシの保護

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

12月に入り雪が平地にも積もり始めました。

北海道を越冬地としている渡り鳥達も、冬の訪れと共に海を越えて北海道へやってきています。

1210日道北地域で傷病鳥獣ありとの報告があり、収容に行ってきた時の様子をお伝えしようと思います。

大雪山国立公園管理事務所に連絡が入ったのは、午前11時頃でした。

事務所がある上川町から約100km程離れた線路付近で、怪我をした猛禽類が見つかったということでした。

事故現場付近までは車や徒歩では行けないので、JRの職員さんの協力を得て最寄り駅からは線路保守用の軌道自転車を使って現場まで移動します。

列車の通る前に個体を回収し、安全な場所まで待避しなければいけません。

事故報告があってからすでに数時間が経過していて、安否が心配されます。

現場から10mほど離れた場所まで、辺りに点々と血の跡がついていた先に、ワシと思われる塊を見つけましたが、見たところ動かないので、もしや・・・と思いましたが、近づくと頭をこちらに向けて威嚇してきました。まだ息があったことに胸をなでおろしました。

怪我をしたのはオオワシの幼鳥で、初めて北海道へ渡ってきたと思われる個体でした。

線路の近くで鹿の死肉を夢中で食べていたところ、電車の接近に気づくのが遅れて接触してしまったようです。

保護した後は獣医さんに診察をしてもらい、応急処置を受けました。

猛禽類医学研究所(Institute for Raptor Biomedicine Japan)のドクター齋藤さんが診てくれています。はるばる釧路からドクターカーに乗って駆けつけてくれました。

見たところ左の翼が折れているようです。

炎症を抑える薬や血止めの薬を投与され、折れた翼は包帯を巻いて固定します。

一見たいした怪我ではなく、元気そうに見えても、頭を強く打っていたり内蔵に深刻なダメージがあった場合、様態が急変して助からないことがあるとのことでした。

応急処置を施した後、人間の赤ちゃんが使う保育器で酸素を吸入しながら釧路湿原野生生物保護センターに輸送され、内臓や脳など見えない場所に怪我がないか、さらに詳しい検査を受けます。


これからこの幼鳥は野性に帰るための訓練を受けることになるのでしょう。

また海を渡って北へ帰れる日は来るのでしょうか。

齋藤先生によると、このような列車への接触事故は年に50回ほど起きているとのことでした。また、道北地区では鹿の死体があると、猛禽類もいる可能性が高いので列車にも徐行運転をお願いしているとのことです。

折れた翼が回復して無事にまた空を飛べるようになることを祈るばかりです。

ドクター齋藤さんとオオワシ

猛禽類医学研究所(IRBJ 

希少猛禽類の保護、治療、リハビリテーションを行っている機関です。

今、猛禽類に起きている現状を知ることが出来ます。

オオワシ

国の天然記念物に指定される日本最大級のワシで、アイヌ語では「カパッチリカムイ(ワシの神)」といいます。

カムチャッカ半島、アムール川下流域、サハリン北部で繁殖し、冬の渡り鳥として主に北海道東部、知床半島や根室半島にやってきます。

世界的に見ても希少な鳥ですが、交通事故による近年猟銃の鉛弾を要因とした鉛中毒、風力発電施設へのバードストライクによって個体数を減らしています。

ページ先頭へ↑

2020年12月25日世界一の雪質、旭岳。

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

 旭岳スキーコースは、大雪山国立公園の中にあり、スキーコースの下地は、夏は高山植物が咲いていたり、"天女ヶ原湿原"という高層湿原の一体となっており、それらの希少な自然環境が圧雪車やスキーヤーによって損なわれないよう、一定以上の積雪がなければオープンできません。

 

 【積雪量検査中】

 今年は順調に雪が降り積もり、昨日、東川町・北海道上川総合振興局南部森林室・旭岳ロープウェイを運行するワカサリゾートと環境省で積雪量チェックを行い、無事に本日12月25日(金)にオープンすることとなりました。

 

 旭岳は「雪質世界一」と呼ばれるパウダースノー。近年では、その雪を求めて、日本中はもとより、欧米からもたくさんのスキーヤー、スノーボーダーが訪れ、冬の観光資源ともなっていますが、今年は新型コロナウィルスのため、欧米からのお客様がほとんどおらず、観光業の方にとって大打撃となります。

 「雪質世界一」と呼ばれる理由は、日本海の湿った空気を含んだ雪雲が日本海沿岸の山にあたると日本海地方は豪雪となり、その雲は水分を落としながら移動し、大雪山に到着する頃には、雲に水分はなくなり、乾燥した空気と寒冷な気温がぶつかり、大雪山にとても乾いた雪(結晶)を降らせます。

 旭岳はロープウェイで一気に標高1600mまで上がることができるので、大雪山の中でも最も身近に、

超!軽い雪に出会うことができます。

 その雪はまるでホイップクリームの上を滑り降りているかのような浮遊感を味わえる、とても珍しく希少な雪質で、はじめて滑ったときの感覚、驚きは今も覚えています。

 東川町が誇る、世界一の雪質旭岳。国内・道内の方、感染状況が落ち着いたら滑りに来てください。

 

 美しい冬山の側面には、厳しい自然環境があります。

 大雪山は毎冬、雪崩事故や、視界不良・悪天候による道迷いが多発しています。

 自分の身を守るのはもちろん、仲間を守るための装備、知識、経験をフルに活用し、長いようで短い冬山を満喫しましょう。

 良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします!

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ