苫小牧
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2020年11月16日高病原性鳥インフルエンザ感染拡大防止のために気をつけること
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、大久保です。
札幌でも初雪が降りました。毎年初雪をみると雪だぁって言わずにはいられないほどウキウキします。
冬を日本で過ごし、春になると繁殖地に渡って行く鳥を冬鳥といいます。
その冬鳥が飛来し、いよいよ本格的な冬を迎えます。
冬鳥が集まり始めると心配なのは、高病原性鳥インフルエンザです。
国際的に、野鳥の渡りと関連が疑われているため、環境省では、渡り鳥の飛来経路の解明や渡り鳥の飛来状況調査などを実施し、高病原性鳥インフルエンザの発生抑制と被害の最小化に努めています。
オオバン ダイサギ 羽を休めるカモ達
よっぽどのことがない限り、人へ感染はしないと考えられており、高病原性鳥インフルエンザをむやみに恐れる必要はありませんが、感染拡大の防止のために、私たちができる野鳥との正しい接し方をお伝えします。
◆野鳥や野生動物への安易な餌付けはやめましょう。
・・・人が与える食物に依存することで、個体間の接触が高まり、感染症拡大を招くおそれがあります。
◆衰弱していたり、死亡している野鳥や野生動物には素手で直接触らないように。
◆野鳥や野生動物の排泄物にも素手で触らないこと。
・・・野生動物は高病原性インフルエンザ以外にも、様々な感染症をもっている可能性があります。
◆野鳥や野生動物の排泄物を靴で踏まないように気をつける。
・・・ウイルスが他の地域へ運ばれるおそれがあります。万が一踏んでしまったら、靴底を消毒しましょう。
インフルエンザウイルスは壊れやすい膜で覆われているので、広く普及している消毒液で十分効果が期待できます。正しい情報に基づいた、冷静な行動をお願いします。
11月5日ウトナイ湖
2020年11月12日高病原性鳥インフルエンザ 職員研修
苫小牧 大久保 智子
こんにちは。野生生物課の大久保です。
今年も北海道地方環境事務所では、11月6日に高病原性鳥インフルエンザ対応の職員研修を行いました。
気温が低くなり空気が乾燥してくると、人間の世界でもインフルエンザ対策が求められるように、野鳥の世界でも、高病原性鳥インフルエンザウイルスが野鳥から家きんへ感染拡大しないための細心の注意が必要です。
高病原性鳥インフルエンザは伝染力が強く、特にニワトリに対しては高致死性のウイルスなので、感染鳥類の早期発見、早期回収がとても重要になってきます。
高病原性鳥インフルエンザの職員研修では、札幌管内の各事務所の保護官やアクティブレンジャーに対して、野鳥の死亡個体や衰弱個体の情報の受付からそれらを回収、検査材料を採取し、検査機関への送付などの一連の対応が迅速にできるように、毎年実施しています。今年は大勢集まれないので、研修を受けたことがない最小限の職員を対象としました。
みんな真剣に実習に取り組みました。
なお、鳥インフルエンザウイルスは、野鳥観察など通常の接し方では、ヒトに感染しないと考えられています。正しい情報に基づいた冷静な行動をお願いいたします。
2020年10月23日落雁
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、野生生物課の大久保です。
季節が巡り札幌周辺は秋本番、紅葉が見頃になり、雪虫も飛び始めました。
市内や近隣市町村でもハクチョウの群れが飛んでいるのを見かけるようになり、多くの渡り鳥たちは本州へと向かっています。
宮島沼では、10月4日に55,000羽のマガンを確認した後、沼に滞在するマガンは少しずつ減ってきていて、今は、コハクチョウの滞在が目立つようです。ウトナイ湖でも、マガン、ヒシクイ、カモたちに混ざってオオハクチョウ、コハクチョウが集まってきています。
渡り鳥が多く立ち寄る沼や湖では、時期によって羽を休める鳥種が変わるのがおもしろいところです。
9/30宮島沼 沼いっぱいのマガン
10/14ウトナイ湖 ハクチョウとガンカモ類
10/14ウトナイ湖 湖面を飛ぶヒシクイ
10/14ウトナイ湖道の駅展望台 ウトナイ湖対岸に集まるガンカモ類。
沼に集まるマガンたちを見ていたら、周辺の安全を確認して、体を左右に振りながら着水していることに気がつきました。空から木の葉が落ちるように降りてきて着水するので、その様子が「落雁」と言われているそうです。
9/30宮島沼
時期的に渡り鳥の数は少なくなりつつありますが、この時期にしか見られない水鳥たちをじっくり観察できます。
宮島沼やウトナイ湖に足を運んでいただき、マガンがはらはらと舞いながら着水する姿を是非ご覧下さい。
すごい技に感心します!!
2020年09月17日宮島沼での初雁(はつかり)
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、野生生物課の大久保です。
札幌は9月に入ってからも蒸し暑さが続いていますが、宮島沼へ行くと、沼の周りは一面稲穂が黄金色に染まってきていて、確実に季節が巡っていることに気がつきました。
9月に入ると宮島沼ファン、渡り鳥ファンの皆さんは、そろそろかな?と気になる季節。
9月中旬になり宮島沼のブログのアクセスも増え始めたそうです。
そろそろ・・・とういうのは、秋になると渡り鳥のマガンが越冬地に移動する途中で宮島沼に集まるので、その渡り鳥が来始めただろうかと気になること。
本日9月17日に行った際には、まだ沼は静かで、数匹のカモたちが伸びやかに優雅に沼を縦横無尽に泳いでいました。
カルガモ アカエリカイツブリ
マガンはいつ頃に渡り始めてくるのかというと、
不思議なことに宮島沼での初雁は2017年、2018年、2019年と9月15日でした。
「初雁(はつかり)」というのは、その夏に産まれた幼鳥を含む群れを初めて確認した日のことをいいます。
では、今年はどうだったでしょうか?
なんと!!
今年も15日に初雁を確認しました。
それにしてもなんで毎年同じ日なんだろう?
渡り鳥には解明されていない不思議なことがまだたくさんあります。
今回は謎も魅力の一つとしておきましょう。
昨年11月13日のマガンのV字飛行
9月15日に初雁確認後、例年9月下旬から10月上旬に飛来数は最大になり、沼が氷結する前にはマガンはいなくなります。
宮島沼では、近況をブログ(ミヤログ)でお知らせしていますので、マガンの最大飛来日や飛来数なども予想しながらぜひご覧ください。
宮島沼水鳥・湿地センター内にある、自然観察ニュースも日々更新しています。
宮島沼の周りでも鳥の観察ができ、9月10日にはチュウヒやダイサギ、アカゲラが観察でき、モズの幼鳥がとても賑やかに鳴いていました。
チュウヒ ダイサギ アカゲラ
なお、宮島沼水鳥・湿地センターでは、9月1日よりAR写真展を開催しています。
宮島沼にお越しの際には是非お立ち寄り下さい。
9月27日まで開催しています☺!!
2020年08月07日アクティブ・レンジャー写真展2020~北の自然の舞台裏~ inウトナイ湖
苫小牧 大久保 智子
引き続き野生生物課の大久保です。
散策、鳥観察、ドライブなどでウトナイ湖にお越しの際には、是非ウトナイ湖野生鳥獣保護センターにお立ち寄りください。
センター2階では、7月4日から「アクティブ・レンジャー写真展2020~北の自然の舞台裏~」を開催しています。この写真展で展示している写真は、私たちアクティブレンジャー・希少種保護増殖等専門員12名が国立公園や鳥獣保護区等で撮影した、風景と生きもののとっておきの写真ばかりです。
野生生物課の私の写真の1枚は、キンメフクロウです。
昨年、道北のとある町で何かに衝突して衰弱しているキンメフクロウが保護されました。獣医師に診察してもらったところ、軽い顔面打撲が疑われたものの野外で十分に生活できる状態とのこと。数日で保護された地域に放鳥することができました。そのとき、自力で飛んでいくのを見守ったのですが、木の上に乗せて放した後、慎重に周りの環境を確認していたので、その様子を撮影したのがこの写真です。慣れ親しんだ森で今も元気に生きていてくれると嬉しいな、との思いも込めて選びました。
北海道地方環境事務所では、希少鳥獣や国指定鳥獣保護区内で怪我や病気などで衰弱した野生動物を収容し鳥獣保護センターなどに搬送して、獣医師による治療やリハビリを経て野生に戻す活動を行っています。しかし残念ながら、現実は野生に戻すことができる個体はそう多くはありません。
私にとって、キンメフクロウの放鳥は野生生物課に勤務してから初めての放鳥だったので、森に返したときに感慨深いものがありました。
安全な環境かどうか周りを確認しているキンメフクロウ。
北海道の景色や動植物の写真をみて、次の旅先の候補としてくれたら幸いです。
ウトナイ湖では、7月27日まで写真展を開催しています。
2020年08月07日ウトナイ湖の夏2020
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、野生生物課の大久保です。
夏のお出かけに、ウトナイ湖はいかがですか?
ウトナイ湖には、湖畔沿いと林内に散策路があり、風が涼しく過ごしやすい場所です。
湖では、羽を休めているカモやハクチョウを、林内では、小鳥や小動物を観察できます。
湖畔沿いの散策路では、もっとウトナイ湖を気持ちよく散策してもらえるように、
繁茂していたヨシ等の刈り払い作業を行いました。
これでより一層ウトナイ湖に親しんでもらえたらいいなと思います。
あずまや ハンノキのテラス 鳥獣保護区看板も取り替えました
作業を終え、テラスで休んでいると、上空にオジロワシが旋回していて、作業を労ってくれているかのようでした。今の散策路は、ピンクの穂先が散策路を華やかにしてくれるホザキシモツケが見頃です。
ハンノキのテラス上空のオジロワシ ホザキシモツケ
ウトナイ湖野生鳥獣保護センターではFacebookで自然情報をお伝えしています。ぜひご覧ください。
2020年07月20日ヒナの巣立ち
苫小牧 大久保 智子
苫小牧は夏の陽気になってきました。
先日、散策路脇の植物が繁茂している場所を刈り払っていたら、茂みの中に15センチくらいの鳥の巣を見つけました。枯れ葉で編んだような丸い形の巣の家主はシジュウカラのようですが、その一家は巣立って空き屋でした。
シジュウカラの巣 シジュウカラ
鳥たちは春に繁殖シーズンを迎え、相手を見つけ巣を作ります。
そして卵を産み子育てをし、子ども達を巣立たせます。
産卵後、親鳥はじっと抱卵し、孵化したら餌をあげるなど頑張って子育てします。
ハクセキレイの親鳥が抱卵中 → 数日後孵化した元気な幼鳥が、親からの給餌を待ってるところ
ウトナイ湖の散策路の森では、あちこちで幼鳥たちが、巣を出て飛べることを喜んでいるかのように賑やかです。
アオジの幼鳥
キバシリの幼鳥
コゲラの幼鳥 兄弟と一緒 コゲラの幼鳥 兄弟と騒ぐ
コゲラの幼鳥 横になる。疲れちゃったかな。
幼鳥は、巣立ちをしてもすぐにはあまり上手に飛べません。親鳥たちに促され、見守られながら成長していくのは人間と同じです。たまに、巣や枝から落下して、地面でじっと動かないでいるヒナもいますが、必ず近くで親鳥が見守っています。
また、弱っていると思い、一度人間が保護をして親鳥から離してしまうと、親鳥が見放してしまうこともあります。
なので、動かないでじっとしているヒナをみつけても、そのままそっとしておいてください。
餌をくわえたクロツグミ
ウトナイ湖の夏の爽やかな気候の中で、鳥の鳴き声を聞きながら散策路を歩きませんか。
幼鳥たちが頑張って鳴く練習をしているのを聞けるかもしれませんよ。
2020年06月05日ウトナイ湖の生き物 ハクチョウ
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、野生生物課の大久保です。
早速ですが、皆さんは、住んでいる市町村のシンボルを知っていますか?
ウトナイ湖のある苫小牧市のシンボル、市の鳥はハクチョウです。
市の公式キャラクターの一つが、ハクチョウをモデルにした「とまチョップ」だったり、
ウトナイ湖野生鳥獣保護センターのマスコットキャラクターもハクチョウをモデルにした「ラムート君」だったりして、市とハクチョウとの関わりは深いです。
ラムート君
とまチョップについては、こちらの「とまチョップの部屋」をご覧ください。
ウトナイ湖では、オオハクチョウやコハクチョウ、外来種のコブハクチョウを見ることができます。
オオハクチョウ
その3種の特徴は、
コブハクチョウは、名前の通り額の前に黒いこぶがあります。
オオハクチョウは、コハクチョウよりも大きく、顎が長いのが特徴です。上くちばしの付け根(上嘴基部)の黄色は先端へ長く伸び先がとがっています。
コハクチョウは、オオハクチョウよりも小さく、顎が太く短くなっています。上嘴基部の黄色はとがっていません。
遠くにいるのを見分けるのは、難しいですが、よく観察するとだんだんと識別できるようになってきます。
すぐに見分けられるようになると、そんな自分がちょっと誇らしくなります。
コブハクチョウ
ぼやけていますが、コブがあるのがわかりますか?
ハクチョウは、優雅でしなやかで真っ白な姿が美しく、バレエの演目の主人公や、アンデルセン童話のモデルにピッタリですが、その一方で、春には田んぼで泥まみれになって採餌する野生のたくましさも見せてくれます。ウトナイ湖では春と秋に見ることができ、わずかに越冬個体も見られます。夏はサハリンやカムチャツカ方面で繁殖活動しています。
どのハクチョウも餌は、湖の水生植物の茎や根、種子を採食します。
たまに湖にパンが落ちていることがありますが、パンは人間の食べ物です。
野生動物の健康のために、そして湖の水質悪化防止と衛生のために、さらに、湖とそこで生息するすべての生き物の生態系のバランスを保持するためにも、餌をあげないでください。
ウトナイ湖の"自然食"で生きるハクチョウや水鳥、野生動物の本来の姿を楽しんでください。
ウトナイ湖野生鳥獣保護センターでは、フェイスブックで自然情報をお伝えしています。
ウトナイ湖Facebook ぜひご覧ください☺
2020年05月16日5月10日~16日 愛鳥週間
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、野鳥に魅せられている大久保です。
愛鳥週間は、1894年にアメリカで小鳥を守る「バードデー」を定めたのが始まりです。日本では1947年に「バードデー」が4月10日に定められましたが、北国にはまだ雪が多く残るとして、1950年から5月10から16日までの1週間を愛鳥週間として定められました。
生態系の食物連鎖の頂点にいる鳥類は、鳥を取り巻く生態系の変化が人間生活に影響を及ぼす環境変化の指針になるのではないかと考えられており、愛鳥週間は、野鳥の活動が活発になるこの時期に野鳥を通してそれを取り巻く環境の自然保護の大切さを知り広めていくことを目的としています。
近年では、地球温暖化や外来生物の侵入といった野鳥の生存を脅かす新たな問題も生じており、そのため鳥が置かれている現状や保護の必要性など幅広い情報を発信し、愛鳥思想の普及啓発を充実していくことが一層重要になっています。
とにかく人間生活の身近にいる野生動物である野鳥は、美しい羽色、美しい鳴き声など魅力的な一方で、その生態は謎が多く、生き物としての興味は尽きません。
四季を感じさせてくれる野鳥は、特に春は季節移動や繁殖の時期でもあり、身近なところで鳴き声を奏でているので、外の空気を吸うタイミングで、鳥の声に耳を傾けてはいかがでしょうか。
こんにちは、野生生物課の大久保です。
札幌でも本格的に雪の季節になりました。しんしんと雪が降る静寂な空気が気持ちよいです。
さて、環境省北海道地方環境事務所では現在、アクティブレンジャー(AR)の募集を行っています。
この日記でも度々、北海道各地で様々な業務に奮闘しているARの活動報告を日記としてお伝えしていますが、全国の国立公園等で、国立公園の保護管理や野生生物の保全に自然保護官とともに取り組んでいるのが、私たちARです。
事務所によって行う業務は様々ですが、植物が好き、動物が好き、だからより生き物たちが暮らしやすい自然環境を守りたい、より多くの人に国立公園の素晴らしさや自然環境の大切さを広めたいという思いで活動しているところは共通しています。
具体的な業務としては、たとえば、管内の国立公園の自然環境や利用状況の把握、利用者指導やビジターセンターなどの維持管理、自然観察会や環境教育の企画・運営、動植物の保護活動や、外来生物対策など、屋外作業からデスクワークまで多岐にわたります。
北海道の自然を未来へ引き継ぐためにも、ARに応募しませんか?
詳細は募集要項の募集している勤務地ごとの業務内容をご覧ください。
http://hokkaido.env.go.jp/pre_2020/post_136.html
また現在、オンラインでAR写真展を開催しています!!
活動時に撮影した写真と業務内容を紹介していますので、是非参考にして下さい。
令和2年度環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~
◎環境省北海道地方環境事務所HP http://hokkaido.env.go.jp/post_92.html
◎Instagram https://www.instagram.com/hokkaido_active/