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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

世界湿地の日 ウトナイ湖編 「冬のウトナイ湖を観察しよう」

2023年02月15日
苫小牧 大久保 智子
2月2日は世界湿地の日
ラムサール条約が採択された日を記念して定められました。

 
先日2月4日に世界湿地の日を記念したイベント「冬のウトナイ湖を観察しよう」を環境省と苫小牧市、日本野鳥の会で開催しました。
もっとウトナイ湖のことを知ってもらおうという企画。
参加者15名。本州の方から地元苫小牧市民、子供から大人まで幅広い方にご参加いただきました。

 
まずは、北海道地方環境事務所の草留係員から鳥獣保護区とラムサール条約についての話。

6,000年前はウトナイ湖やその周辺は海だったけれど、3,000年前から海岸線が後退し、一帯は広い砂浜となり、その後草が生い茂り、美々川の水がたまって、ウトナイ湖ができました。現在、ウトナイ湖では270種の鳥類が確認され、野鳥の楽園といわれるようになりました。



続いて、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターの取り組みについて草留係員からの説明のあとに、センターで勤務する獣医師の山田先生から活動のご紹介。

山田先生から、希少種および鳥獣保護区内や苫小牧市内で発見され、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターで保護収容した傷病鳥獣の事例などのお話。


オオセグロカモメの嘴に絡まったに釣り糸 オオハクチョウに絡まったルアー
 
写真:ウトナイ湖野生鳥獣保護センター提供


センターの活動として、苫小牧市内の小学校での「心の授業」の紹介。

山田先生が休日に取り組んでいる「地球お守りチーム」による苫小牧市の海岸の清掃活動も紹介していただきました。
 
 

野生鳥獣がケガをする原因の多くは私たちの生活が深く関係しています。山田先生からも草留係員からも、私たちが取り組めることなどについてお話がありました。
 
 

雪の散策路を歩く前に私からは、雪の結晶の切り絵をご紹介しつつ雪についてお話しさせていただきました。
 



後半は、野鳥の会の和歌月レンジャーの案内のもと、冬のウトナイ湖で野鳥観察や冬芽観察、途中で雪の結晶観察などを行いました。
湖が結氷していたので、水鳥は遠くの川が注ぐところにわずかにいる程度でしたが、上空にオジロワシとオオワシが現れて観察会も盛り上がりました。



和歌月レンジャーは、野鳥の他にも樹木の凍裂や冬芽のお話をしてくれました。



途中で雪の結晶観察。晴れていたので積もった雪をすくって結晶観察。



上空にオオワシがやってきました。



世界湿地の日の記念イベントなので、よりウトナイ湖の冬を知ってもらうため、凍った湖の上を歩きました。ふだんは立ち入り禁止なので観察会限定で湖の上を歩いています(午前中に氷が割れないか安全を確認しています)。



都市化などの影響を受けて急速に失われていく湿地。ウトナイ湖は渡り鳥の重要な休息場所であり、湿地が汚れていたり、失われたりしてしまうと渡り鳥にも影響があります。また、湿地にゴミがあると、野鳥が誤って口にしたり、口や足に絡まったりして、生きていくのに影響が出ます。野鳥が安心して健康に過ごせるように、私たちが身近に取り組めることは、ごみを落とさないようにすることです。




これをきっかけに湿地に興味を持ってくれたら嬉しいです。