ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2008年12月25日

3件の記事があります。

2008年12月25日雪の上には・・・

釧路湿原国立公園 釧路湿原 本藤 泰朗

皆さんこんにちは。
今年の釧路の冬はなんだか変です。寒くなったと思ったら暖かくなり、ようやく雪が降ったと思ったら今日は大雨です。それでも先週末に10センチほどの雪が積もり、一昨日はマイナス10℃を下回りました。ほんの数日だけの雪景色でしたが、釧路湿原野生生物保護センター裏の池もようやく凍結し、安心して氷の上を歩くことができました。
(今日の大雨でまた歩けなくなりましたが・・・)

そんな池の氷に積もった雪の上に不思議なものを見つけました。


これ何だと思いますか?
雪の上を点々と続いていました。幅は5センチほどです。
この点々をたどっていくと・・・


今度は大きな模様が現れました。
そして・・・


よく見ると血の跡のようなものが散らばっています。

みなさんこれ何だか分りましたか?

実は1番目の写真はネズミの足跡でした。
おそらくヤチネズミです。雪上に残るネズミの足跡は足と足の間にしっぽの跡が残るのが特徴です。

それでは2番目と3番目の写真はというと、わりと大きめの猛禽類(おそらくトビだと思います)が雪上に出てきたヤチネズミを捉えた跡です。よく見ると両翼と尾羽の跡が見えます。

上空で待ち構えていたトビが一気に降下し、獲物を捕える一瞬の場面がはっきりと目に浮かびます。
3番目の写真は哀れトビの朝食になってしまったヤチネズミの血痕でした。

雪が降った次の日、雪上にはいろいろな動物の足跡が残っています。
他にもキタキツネやエゾユキウサギ、エゾシカの足跡がたくさんありました。

動物の足跡を見ることで、その行動を想像するのはとても面白いです。
追いかけてゆくと糞が落ちていたり穴が掘ってあったり、中には足跡の主に出会ってしまったりすることもあります。

私は雪の上ではいつも足跡を見ていろいろなことを想像しながらニヤニヤしています(怪しい奴とは思わないでください)。

今年の冬は皆さんも雪上の動物の痕跡探しをしてみませんか?
雪の上には新たな発見がたくさん隠れています。







ページ先頭へ↑

2008年12月25日2008年12月15日(月) オンネトー湯の滝への巡視

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 阿寒国立公園雌阿寒岳の南西麓に、オンネトー湯の滝と呼ばれる温泉水が流れ落ちる滝があります。湯の滝は、入口の駐車場から、南へ約20分林道を歩いたところにあります。かつては秘湯として入浴が可能でしたが、天然マンガン鉱床の生成が見られ、世界的に希少な場所であることから、2000年に「オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地」として天然記念物に指定されており、現在は入浴することができません。
 湯の滝下の池には、マンガン生成現象を作る藻類が繁茂しています。ところが、その藻類を捕食する2種類の外来魚(ナイルティラピアとグッピー)が生息していることによって、その貴重な生態系の維持が危ぶまれています。常時お湯が沸き、冬も水温が下がらない湯の滝は、熱帯魚である彼らにとって生息や繁殖に大変適した環境と言えます。そこで、湯の滝の貴重な生態系を守るため、環境省と足寄町によって、これまで様々な外来魚防除事業を行ってきました。
 現在、環境省では、国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業を活用して、平成18年度からの3カ年事業で外来魚の防除に向けた取り組みを行っており、今年度は過去の経緯を踏まえた上で、特に外来魚の生態や水質などの調査研究を行いました。足寄町では、10月29~31日に滝下の池の水をポンプで抜くという大々的な駆除事業を行い、約4000匹の成果が得られました。
 足寄町の駆除事業が終了した日から冬期間の雌阿寒温泉地区のゲートが閉鎖になるまでの間、滝下池とその下流の2つの堰(外来魚の他水域への出入りを防止するためのもの)の間に残存する外来魚の状況確認と捕獲作業が、私の業務内容に加わりました。捕獲方法は、主にたも網と釣り竿によるものですが、外来魚もだんだん知恵を付けてきており、釣りでの捕獲は困難になってきました。そこで、最近では主に両手にたも網を持ち、追い込みながら捕獲するような形態を採っています。現在、目視できる範囲での個体数は、滝下の池にナイルティラピア4匹とグッピー数十匹、滝下池の下流に位置する2つの堰の間ではナイルティラピア3匹とグッピー数匹にまで減少しました。
 普段は1人で捕獲作業を行うのですが、この日はボランティアの方3名が駆除作業に加わって下さいました。堰と堰の間での捕獲作業では、2人が下流側で網を構え、残りの2人が上流側から水音を立てながら外来魚を川下へ追いやります。1人では追い込みによる捕獲には限界があるのですが、4人だとやはり作業効率は上がり、いつもより捕獲個体数は多く、ナイルティラピア3匹、グッピー30匹という成果が得られました。
 冬期間は道道オンネトー線のゲート閉鎖により、湯の滝への巡視は難しくなりますが、来春以降も、外来魚駆除に積極的に取り組んでいきたいと思っています。




駆除作業中

岩に咲いた雪の花

捕獲個体の一部(左:ナイルティラピア、右:グッピー)

ページ先頭へ↑

2008年12月25日第3回 体感!!パークレンジャー

支笏洞爺国立公園 支笏湖 西川 裕美子

クリスマスイブだというのに昨夜は雨でした。
ホワイトクリスマスはどこへ・・・

みなさんこんにちは、支笏湖AR西川です。


2008年も残りわずかとなりましたね。
皆さんにとってどんな1年でしたか?


12月12日(金)第3回体感!!パークレンジャーを行いました。
今回は千歳市の北栄小学校6年生47名と一緒に、水質日本一(詳しくは→http://www.env.go.jp/water/suiiki/h19/full.pdf

に輝いた支笏湖の『水』をテーマに活動しました。

まずは、全国から集結した水道水の利き水です。

・沖縄(那覇)
・関西(大阪)
・関東(東京)
・北海道(支笏湖・洞爺湖)

どこの水かわからないようにして、それぞれの水に対する感想を書いていきました。






・ゴムのような味がする
・やわらかい感じ
・プールのようなにおいがする
・いつも飲んでる水と同じ

などなど、それぞれの水に対して色んな意見や感想がありました。
みんなの意見が出たところで答えあわせです。
大半が「おいしい!」「これが支笏湖の水だ!」と言っていたのは、


実は・・・・・・・・



『東京の水』


なのでした。
あれ!?

では、と気を取り直して次こそはと、ほとんどの子ども達が手を挙げた水は・・・・



『那覇の水』

次いで

『大阪の水』


あれれれれ~?


結局最後に残ったのは『支笏・洞爺の水』でした。
私たちが考えるように、 【きれいな水=おいしい】 とはならないのでしょうか?

今回の利き水では
・各水道管の新旧による違い
・水を置いていた場所の温度(暖房に近い・遠い)
など様々な配慮が足りなかったこともひとつの要因かと思います。

しかし最後の感想で、あるグループは「東京都は浄水施設が充実しているのだと思う」と発表してくれました。また、あるグループは「水といっても各地域によって色んな水があることがわかった」と言っていました。
きっと貴重な体験になったことでしょう。

その後は外へ出て、支笏湖の水を見て俳句を詠みました。
これがなかなか面白い作品が出来上がりました。
各グループごとに「水のある風景」を写真に撮り短冊に俳句を書いてまとめましたので、年明けに支笏湖ビジターセンターに飾る予定です。楽しみにしていてくださいね。

午後からは、「レンジャーの仕事体験!」ということで、各グループに分かれて
・湖畔の清掃活動
・ビジターセンターの展示物修繕
・自然保護官事務所の見学
を行いました。




展示物修繕の様子

支笏湖ビジターセンターの展示物の修繕や、水槽の清掃などを楽しく行いました。



事務所見学の様子


自然保護官事務所の見学では、支笏洞爺国立公園の地図を見ながら「この色は何ですか?」「この線はどういう意味があるの?」などとても意欲的に質問が飛び交っていました。

雪の降る寒い一日でしたが、みんなとても楽しそうに取り組んでくれました。
今回の体感!!パークレンジャーの活動を通して、少しでも国立公園や自然に興味をもってくれたら嬉しいです。
そして、将来この中から国立公園で働く人が出てくれば・・・


今後も様々な人に支笏湖の魅力を伝えられるよう、そして今ある豊かな自然を後世に残していけるように精力的に活動していきたいと思います。


ページ先頭へ↑

ページ先頭へ