ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2022年6月 1日

14件の記事があります。

2022年06月01日環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏

大雪山国立公園 上村 哲也

アクティブ・レンジャー 上村 哲也

「夜明け」

「夜明け」石狩連峰にて 9月石狩連峰にて 9月

 石狩連峰には、ユニ石狩岳三股登山口とシュナイダー登山口があり、山から山へと続く道が表大雪の沼ノ原までつながっています。

 石狩連峰からは、北に石狩川が始まり日本海へ、南に音更川が始まり十勝川に加わって太平洋へ、東に無加川が始まり常呂川に加わってオホーツク海へと流れていきます。北海道の長い川が始まるような遠いところに連なる山々ですから、人々が暮らす街からも遠いところです。山に登る人がテントを張る場所は、日が落ちればたちまち暗くなります。風が木の葉をゆらす音、小川のせせらぎを耳にしながら、夜を過ごします。

 夜明け前、気の早い小鳥たちがさえずり始めます。深く息を吸って雲のない空を見上げると今日の行動に向けて体に力が湧いてきます。

「夏の訪れ」

「夏の訪れ」高根ヶ原にて 7月高根ヶ原にて 7月

 大雪山は、冬が長く雪の多いところです。6月の山開きにも多くの場所で雪の上を歩きながら山登りを楽しみます。9月には黒岳や銀泉台、旭岳周辺などに日本一早い紅葉が訪れ、初雪もやって来ます。

 7月、花々は短い夏を待ちわびたように雪が消えてゆくそばから次々に咲き広がります。高根ヶ原は白雲岳から忠別岳へと緩やかに続く尾根。冬は強い風が吹き、雪が少ないことでかえって地面が冷たく凍りつきます。厳しい気象に堪えた様々な花が開きます。その中で初夏を知らせる花のひとつがホソバウルップソウ(Lagotis yesoensis、環境省レッドリスト2020絶滅危惧IB類)です。栄養の少ない大地にたくましく根を張っています。

ページ先頭へ↑

2022年06月01日環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

アクティブ・レンジャー 渡邉 あゆみ

「Breeze is nice」

黄金ヶ原 7月

 "黄金ヶ原"は、私の担当エリアの中でも特に好きな場所の一つです。広大で平坦な溶岩台地、あたりを埋め尽くす高山植物群落、風景にアクセントを加えるように点在する池塘。大雪山国立公園の山岳地の最深部に位置し、原始性が高く、神秘的な雰囲気が漂う場所です。

***

 暖かな光に包まれ、心地良いそよ風が吹いています。この柔らかな風はお花やハイマツを揺らし、山肌をなで、ヒグマの鼻先をくすぐり、そのさきも漂いながら悠久のときを旅するのでしょう。なんと羨ましい。私も風になりたい。

「秀峰 旭岳」

当麻岳 9月

 すそ野に紅葉をまとった旭岳は重厚感が増し、その堂々たる山容は、北海道最高峰の威厳に満ち、しばし立ち止まり見入ってしまいました。

 大雪山には鋭さや険しさはありませんが、この大きさがあります。山腹には噴煙を上げる活火山、一年中消えない万年雪、長い歳月をかけて作られた複雑な地形やオブジェのような岩、その下で無数に広がる命の営み・・・大雪山に堆積されてきた目には見えない太古からの「時間」の息づかいを感じることができます。

 あらゆるものがめまぐるしいスピードで変わってゆくおぼろげな私たちと、不変で在り続ける自然の強さ。圧倒的な自然を目の前にすると、人間は特別な存在ではなく、自然界の一員で、自然に生かされているのだと気付くことができます。自然を大切にするということは、私たち自身を大切にすることに繋がるのでしょう。

ページ先頭へ↑

2022年06月01日環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

アクティブ・レンジャー 熊谷 文絵

「春うらら」

襟裳岬 4月

 一年を通して風が強いことで有名なえりもですが、その風が一番弱まる春はのどかな季節です。

 "ゼニガタアザラシ"は日本に定住する唯一のアザラシで、その半数以上が襟裳岬周辺に生息しています。雌は、4月後半ごろから始まる出産シーズンを控え過敏な時期ですが、それでもすっかり安心した様子でひなたぼっこ。舌を出すのはご愛嬌!このアザラシは、見に行く度に舌を出した姿を披露してくれます。どうか、母子ともに無事に出産を終えられますように...

「秋への入口」

えりも町 10月

 業務で出かけた"とある森"の入口は、秋への入口でもありました。

 えりも町はとても強い風が吹きますが、特に秋頃からはその強さを増し厳しい季節が始まります。しかし、森へ入れば厳しさ一転、静かに進んだ深まる秋を楽しむことが出来るのです。この先ではどんな動物と出会えるだろう、どんな植物が紅葉しているだろう...そんな、高揚感を感じられる場所です。

ページ先頭へ↑

2022年06月01日環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏

利尻礼文サロベツ国立公園 津田涼夏

アクティブ・レンジャー 津田 涼夏

「花開く」

礼文島 6月

 礼文島北部の岬めぐりコースの途中にあるゴロタ岬は、礼文島の断崖絶壁が連なる西海岸と高山植物の花々を一度に楽しむことができるほか、スコトン岬(礼文島の最北に位置する岬)やトド島、利尻山を一望することができます。

 6月下旬になると、レブンシオガマ(Pedicularis chamissonis var. rebunensis)が咲き始め、歩道の両脇を彩るように咲き続いていて、海まで続いているかのように感じさせてくれます。同じ時期には、エゾカンゾウ(Hemerocallis dumortieri var. esculenta)やチシマフウロ(Geranium erianthum)も咲き始め、カラフルなお花畑が広がり、写真ではなかなか伝えきれない素晴らしい景色を体感出来ます。

「本日の主役」

クッチャロ湖 4月

 3月から4月にかけて、本州で冬を過ごしていたコハクチョウ(Cygnus columbianus)が北へ帰る途中、クッチャロ湖に集結し始めます。春のピーク時には約6000羽が集まり、湖からは合唱が響き渡ります。たくさんのコハクチョウの中の1羽が「主役は私だ!」と主張しているような瞬間に出会いました。クッチャロ湖で休息し、元気に帰っていくことを願いたいです。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ