ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園

83件の記事があります。

2020年04月09日動き出す生命

知床国立公園 ウトロ 白石海弥

こんにちは。ウトロ事務所の白石です。4月に入り気温が2桁になる日が徐々に出てきたウトロ。それでもまだ寒いからと布団で怠けている人間界をよそ目に、自然界は着実に春を迎えています。

一面を覆いつくしていた流氷はわずかに残るばかり、海明けです。

氷で埋め尽くされていた港が明け、漁船も着水です。上架(船舶を海から引き上げること)している間に漁師さんたちはせっせと漁船のメンテナンスを行います。

いち早く春を報せるのがアキタブキ(フキノトウ)。根雪が無くなった地面からさっそく顔を出していました。

若いフキノトウは天ぷらにすると美味しいです。もう少ししたらギョウジャニンニクが生えてくるので、こちらはしょう油漬けにしてご飯のおともにしましょうね。きざんで餃子もアリです。

話が逸れましたが、これからエゾノリュウキンカや、フクジュソウといった春の花もほころび始めます。

※ 国立公園の中では、植物の採取が禁止されている場所があります。ご注意ください

動物たちも繁殖・出産シーズンに突入です。

こちらは北海道のみに生息するエゾモモンガ。冬の間はトドマツやカラマツ、シラカバなどの冬芽を食べて栄養を蓄え、2月下旬~3月下旬に交尾し、4月中旬ごろからベイビーが産まれます。

 

       毛づくろい途中                冬芽を食べるエゾモモンガ

オオワシの大半は北へ帰っていきました。知床に残るのは少数のオジロワシだけ。残ったオジロワシは同じ巣を使い繁殖するため、巣を補強しつつ抱卵期を迎えます。ピリピリしている彼らを刺激しないよう、観察する際は双眼鏡等を使い離れた場所から観ましょう。

沖に消えていく流氷とオジロワシ。北へ帰るのか残るのか。

キタキツネはまだ換毛期を迎えていないようです。

夏になると冬毛が抜けかなりみすぼらしい恰好になりますが、痩せ細っているわけではありません。可哀想だからと誤解し、餌をやることは絶対にしないでください。野生動物において人間の食べ物は栄養過多であり、消化できずにその身を弱らせることもありますし、餌を求めたが故に交通事故で命を落とすこともあります。

ヒグマもどうやら冬眠から覚めた様子。まだ私は見ていませんが、足跡がちらほらと発見されています。こちらもお腹が空いてピリピリしているため、見つけても決して車から降りないでくださいね。

流氷が溶けたことを皮切りに動き出す知床。春はもうすぐそこです。

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2020年02月10日鳥好きの祭典

知床国立公園 ウトロ 白石海弥

こんにちは。今回は根室市で開かれた「ねむろバードランドフェスティバル(以下ねむろBLF)」に知床ウトロ海域環境保全協議会の活動として出展してきましたのでご報告します。

根室は「野鳥の宝庫」とも言われ、日本を代表するバードウォッチングフィールドの一つ。イスカやコミミズクなどちょっと珍しい鳥が根室では見られることがあります。

そんな根室で13回目を迎えるねむろBLF、会場はメイン会場と道の駅に分かれており、今回私たちはメイン会場での出展でした。今年のねむろBLFのイチオシはコクガン。私のイチオシはアオバト。

 

知床ウトロ海域環境保全協議会では主にケイマフリについて普及啓発活動をしており、今回の出展でもばっちりアピールをしてきました。手ぬぐいを買って頂いた皆さまありがとうございました。売り上げは海鳥の保全活動に役立てられます。

会場では美麗な写真やイラストコンテスト、コクガンについての講演会や野鳥トークが開かれ終始鳥づくしでした。

鳥図鑑の絵を多数書いている谷口高司氏による「タマゴ式鳥絵塾」に参加しましたが驚きました。

まともに絵を描けない私が鳥の形をしたルリビタキを描けたんです!!

自分でもびっくりしました。誰が描いても描けるというのはすごいことです。

イベント中は多数のバードウォッチングツアーが組まれており多くの参加者がいたようです(参加したかった)

鳥まみれの3日間はあっという間に終わり。皆さまお疲れ様でした!

知床世界遺産センターでも鳥の特別展を開催しております。この時期多くやってくる海ワシの展示です。(海ワシとは海岸や水辺に生息し魚を主食とするワシの総称です)

毎年行っているモニタリング調査の速報や、特徴の違い、実寸大のシルエットなどワシだらけの展示をしております。

 

この冬知床に来られる方はぜひ遺産センターに足を運び、ワシについて学んでみてはいかがでしょうか?

スタッフ一同お待ちしております!

オマケ

私のイチオシの鳥、アオバト。新緑のような美しい緑の体と歌うような鳴き声が特徴です。良いですよ、アオバト。

なぜ、緑なのに青なのか。それは名づけられた当時、「緑」という言葉が日本にはなかったため、広い範囲の色を指していた「青」が付けられたからだそうです。信号の色が緑なのに「青信号」といっているのもこれにちなんでいたりします。良いですよ、アオバト。

学名はTreron sieboldii。あのシーボルトの名前が付けられています。博物学者として日本の生き物に関する資料を数多く残した彼に敬意を表して献名されました。他にもオニヤンマやサクラソウなど彼の名前が付いている生物は多いです。

余談がすぎました、ではまた!

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2019年11月18日海ワシ類の越冬調査が始まりました!

知床国立公園 白石海弥

10月下旬から一層冷え込み、木枯らしが吹いているウトロ。

初雪も降り、羅臼への横断道路も通行止め、いよいよ長い冬がはじまりました。

そんな冬と一緒にやってくるのがオオワシ・オジロワシたち。彼らは越冬のためロシアから渡ってきます。

11月からウトロと羅臼、知床国立公園にある二つの自然保護官事務所で毎週、ワシ類のカウント調査を行っています。

この調査は知床半島において、傷病などによる個体の早期発見や、長期にわたり分布情報を蓄積し、渡来数や性年齢の変動から環境変化を把握するために行われています。

また、知床世界自然遺産のモニタリング項目にもなっている大切な調査の一つです。

調査に必要な持ち物はこちら☟

 

       記録表               双眼鏡と望遠鏡(フィールドスコープ)

    鳥インフルエンザ対策キット

あと大事なのは暖かい服装と見つけるぞというやる気と根気。

調査は2人以上一組になり、ラインセンサス(直接観察)法でカウントしていきます。

 

進行方向に対して右側と左側、それぞれ担当を決めて、飛んでいるもしくは木にとまっているオオワシ・オジロワシを探していきます。

   

見通しの良い場所や特にワシ類が集まりやすい場所では、車を停めて一定時間、双眼鏡で探します。本日の気温は4度。冷たい風と「何をやっているんだこの人たちは...」というドライバーの冷たい視線に耐え、ただひたすらに探します。

見つけたら、先ずはオオワシかオジロワシか、成鳥か幼鳥かを識別します。成鳥は羽根の色や体型により、すぐにオオワシとオジロワシの見分けがつきますが、幼鳥は見慣れていないとなかなか分かりづらいです。

識別したら次は記録を行います。飛んでいたらその飛行ルートを、エサを食べていたらそのエサが何かも記録していきます。

今回の調査で確認できたのは、オオワシ10羽、オジロワシ7羽の計17羽。

オオワシ・オジロワシが本格的にやってくるのはもう少し先。1月になって流氷が来ればもっとたくさんのワシたちを確認できます。毎年のことではありますがやはりワクワクしますね!

夏とは全く違う顔を見せてくれる冬の知床。楽しみです。

いた!どこだ!!?

ここだ!!!

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2019年09月13日アメリカオニアザミ駆除作業を行いました

知床国立公園 白石海弥

こんにちは。秋の匂いがし始めると同時にサケマスが美味しい時期になったウトロです。

さて、今回はちょっと(いやかなり)遅いアメリカオニアザミの駆除作業報告です。

場所はフレペの滝遊歩道。夏の巡視の時は「今年はほとんどないなぁ、よかったよかった」なんて呑気なことを考えていましたが、8月末日、キオンやハンゴンソウに隠れるようにスッと立つ背丈ほどのオニアザミを発見。

油断しました。

急遽、行政機関や関係者の皆さんに声をかけ遅めの駆除作業に入りました。

本来は花を咲かせる前の6月に行うのがベストなのですが、今は9月。綿毛になってしまっているものもあります。

綿毛が飛んでしまうと種を拡散させてしまうため、先に綿毛部分を切り落とし、飛び散らないよう回収してから茎・根の駆除を行います。こういった手間・リスクがあるのでまだ花を付けない6月に行うのが良いのです。

そもそもアメリカオニアザミとは。

 

キク科アザミ属の道端や田んぼの周辺でよく見られる花です。

原産地はヨーロッパで、トゲトゲしい見た目が特徴の外来植物。

環境省・農林水産省による「生態系被害防止外来種リスト2018」に掲載されていて、国内の様々なところで駆除の取り組みが行われています。

北海道では1960年代に確認され、北アメリカからの輸入穀物や牧草に混じり入ってきたと考えられています。

2年目に花を咲かせタンポポのように綿毛に乗せて種子を飛ばす2年草という分類になり、生えたての頃はロゼット葉(※)です。

※「ロゼット葉」・・・地表に葉を平らにならべた植物の状態を表す言葉。

大きな特徴である鋭いトゲ、一見あまり痛くなさそうに見えますが薄い皮手袋ぐらいならいとも簡単に突き破ってきます。今回はゴム手袋in皮手袋で勝負です。

道端沿いには数本しかありませんでしたが、普段足を踏み入れない草原部にはこんもりありました。

駆除した背丈ほどあるアメリカオニアザミ。綿毛が怖いので先に花の部分を切り落とします。

今回特に多かったのはウトロ灯台へ続く道です。この道も普段は誰も歩かない場所。咲いているかもなと思いながら立ち入ると山ほどのロゼット葉が!!

      山ほどのロゼット葉       鍬やツルハシを駆使して根を残さないよう慎重に駆除します。

ロゼット葉だけでもかなりの量に。

花をつける前に多く駆除出来てホッとしました。

今回は土嚢袋20袋分のアメリカオニアザミを駆除できました。皆さまありがとうございました!

ここからは余談ですが・・・

スコットランドの国花は「アザミ」。敵から国を守ったとされ、王家の紋章にもなっています。

一説によりますが、夜闇に紛れて攻撃しようと裸足で身を潜めていた敵国兵士がアザミのトゲを踏み、その痛さから思わず声をあげたことによって、スコットランドの人々が攻撃を察知できたのだとか。

その言い伝えからスコットランドでは国の守護者としてアザミを称えています。

世界にアザミ属は250種類以上。どのアザミがスコットランドを守ったのかは誰もわかりませんが、アメリカオニアザミもそうかもしれないと考えるとただ嫌ってしまうのももったいないなと思うのでした。

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2019年09月04日どうか気を付けて

知床国立公園 ウトロ 白石海弥

先日、こんな連絡が入りました。

「シマフクロウの死体が運ばれたので回収をお願いします」

またか、、、と悲しい気持ちを抱えながら電話を受けました。

シマフクロウは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律にて国内希少野生動植物種に指定されていることに加え、環境省レッドリストにて絶滅危惧種ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に分類されています。現在確認されているのはわずか165羽。その少なさから環境省では保護増殖事業という取り組みを行い保護を図っています。

この保護増殖事業とは、自然状態で安定的に存続できるような状態を目指し、給餌や巣箱の設置、標識調査等により個体数を増やそうという取り組みです。

翼を失ってしまった等の理由で野生復帰が難しい個体に関しても、動物園での飼育下繁殖に協力してもらったりと、様々な努力をしている矢先の悲しい連絡でした。

一時保管して頂いていた施設に到着し、死亡個体を見ればまだ若そう。脚も両翼もきれいで一見、あまり怪我をしているような印象は受けませんでしたが、その個体は息絶えていました。

 

左翼                   右翼

尾羽

頭部を見ると出血の跡、交通事故によるものだと推測できました。

後にわかりましたが、今年生まれたばかりの幼鳥でした。

毎年のように起こる野生動物との交通事故。彼らはいつどこから飛び出してくるか分からず、気を付けてほしいと言われたところで気を付けようがないかもしれません。ですが、車のスピードを出し過ぎない等、運転には気を付けてほしいです。道東の道は広く、車も少ないためか、もの凄いスピードで走っている車をよく見かけます。道東は北海道内でもシカなどの飛び出しが多い地域。

どうかそのことを念頭に置いて運転してください。

国交省ではヒヤリハットマップというものを作成し、動物の飛び出しが多い地域などを掲載しています。

犠牲になる野生動物をこれ以上増やさないために、是非、ご参考ください。

https://www.hkd.mlit.go.jp/ks/douro_keikaku/qgmend0000000420.html

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2019年08月23日2泊3日南岳登山道整備作業

知床国立公園 ウトロ 小泉尚也

 はじめまして。6月からウトロ自然保護官事務所に着任致しました、小泉尚也と申します。

 サケ・マスが大好きで、秋に一生懸命遡上する姿が今から楽しみで仕方ありません。知床のウトロ側の自然を皆様に発信できるよう努めていきたいと思います。よろしくお願い致します。

 さて、去る728日から30日の間、23日の行程で南岳の登山道整備を行いました。南岳とは知床連山にある標高1,459mの山になります。私はほとんど登山経験がありません。そこへキャンプ泊を伴う登山ですので、右も左もわからぬままのスタートでした。

 今回の作業は、登山道を歩く妨げになるようなハイマツの枝やササなどを刈り払い、安全を確保するためのもので、地元の山岳ガイドの方を始め、林野庁職員、環境省職員が作業にあたりました。

 登山道幅は限りがあり、荷物を背負ったままでの作業ということもあって、数メートル進むのも一苦労でした。

南岳のコル手前

南岳から風衝地地点

 しっかり足下が見え、ザックへの引っかかりが気にならなくなる程度まで整備することが出来ました。

上から見てもくっきりと登山道が見えます。関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。

 今回の作業中に見つけた山の植物のたちです。

 登山道沿いにたくさん見られたので、登山道から足を踏み外さないように気をつけて歩きました。

とてもきれいに咲いていていました。

 他にも、山で気をつけてほしいことがあります。

 ヒグマです。

 最近、北海道でヒグマ目撃のニュースをよく耳にしますが、知床連山でも多くの目撃情報があります。

ヒグマも人間と同じように歩きやすい登山道を利用しているようです。

 登山道では視界が悪いところもあるので、ヒグマとばったり出会わないように、クマ鈴や声を出して歩くなど事前に自分の存在を知らせてあげることが重要です。

                    

 ハードな巡視でしたが、疲労よりもここまで登ったという達成感の方が上回り、山の魅力にはまりつつあります。私はまだ羅臼岳・硫黄山ともに頂上を踏んでいないので、いつ踏みに行くか模索しております。

 是非皆さんも知床の山に挑戦してみてはいかがでしょうか?

尾根に立ち喜ぶ小泉です。

それではまた!

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2019年08月19日羅臼湖は彼らの園

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

お盆が過ぎ、人の出入りが少し落ち着いたように思える知床・羅臼。最高気温が20℃を越えない日が多くなり、すでに秋の雰囲気が漂っております。

羅臼湖遊歩道沿いにある3の沼展望台にて沼に映る羅臼岳を撮ろうとして雲がとれるのを待つガイドと利用者(2019年8月撮影)大小様々な湖沼群を見ながら知床最大の面積を誇る羅臼湖へ向かう羅臼湖遊歩道。こちらでもお盆には沢山の方が訪れているのを目にしました。

皆さんは一体何を目的に羅臼湖へと足を運ばれていたのでしょうか。まだ見ぬ景観を見るためでしょうか、生きもの観察でしょうか、息抜きでしょうか、それとも日頃の運動不足解消のためでしょうか。
私はもっぱら植物を見に足を運んでいます。

8月にてすでに赤く彩るナナカマドの葉(2019年8月撮影)羅臼湖遊歩道でも秋の雰囲気が漂いはじめ、THE花の季節は終わりを迎えております。(ウメバチソウやエゾリンドウ、サワギキョウなど秋の花々は咲いております。)
そんなときには何を見ればよいのか。こんな植物たちは如何でしょう。

カヤツリグサ科スゲ属の紹介1(ミタケスゲ、ヤチスゲ、トマリスゲ、オニナルコスゲ)(2019年7月及び8月撮影)左上:キタノカワズスゲ 右上:ヤチスゲ
左下:トマリスゲ 右下:オニナルコスゲ

カヤツリグサ科スゲ属の紹介2(ミタケスゲ、ムジナスゲ、タカネハリスゲ、ラウススゲ)(2019年7月及び8月撮影)左上:ミタケスゲ   右上:ムジナスゲ
左下:タカネハリスゲ 右下:ラウススゲ

こちらはカヤツリグサ科スゲ属の植物たちです。羅臼湖遊歩道は様々なスゲに出会えるスゲロード。ここに足を踏み入れたならば幾らでも目に入ってくる彼らを通して、美しい花々とは異なる、植物の幾何学的な世界を堪能してみては如何でしょうか。

秋はすぐそこ。彼らが枯れる前にお越しください。

※こんなのも一緒に見られます。

白い透明感のあるひし形をした種を花が咲くように生らせたミカヅキグサ(2019年8月撮影)ミカヅキグサ(カヤツリグサ科ミカヅキグサ属)

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・今回は羅臼湖遊歩道沿いで見かけやすいスゲたちを紹介しています。
・羅臼湖をご利用の際は「羅臼湖ルール」をご確認いただくとともに、ご協力をお願いたします。
・特に遊歩道外を踏まないため、後悔しないために長靴を履いてください。

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2019年08月02日1人の命を救うため

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

北海道で最も辿り着くのが難しいと思われる岬、知床岬。
到達するには道が一切ない海岸線を天候、潮位、地形、ヒグマ等に細心の注意を払いながら進まなければなりません。

海に面する岩礁地帯を進むトレッカー(2019年8月撮影)

そんな沢山の苦労を重ねつつ、知床岬に足を運ぶ人たち。
決して多くはありませんが、時として自然に飲み込まれてしまうことがあります。

知床岬方面の海岸線にある波止場にて搭載艇に乗り移る救助訓練参加者(2019年7月撮影)

その様な事態が起きた際に迅速な対応を行うため、羅臼海上保安署をはじめとする官公庁、羅臼山岳会等の地元関係団体の方々と共同で捜索救助訓練が実施されました。

波止場周辺からドローンを飛ばし、岩陰に隠れた遭難者役を探す(2019年7月撮影)
搭載艇を使用した人員の移送、ドローンによる救助訓練が行われ、今後関係団体とどのような連携が組めるのか話し合われました。1人の命を救うため、多くの人員、時間、物資等が使われることを身にしみて感じた訓練でした。

知床岬へ近付けば近付くほど、拠点となる人の利用が多い場所から離れ、救助が辿り着くまでの時間は延びます。また岬まで続く石浜、岩礁、複雑な地形等救助を困難にする場所が増えていきます。利用される際はそういった場所であることを認識し、常に引き返すことを1つの選択肢として、状況判断をしていただければと思います。悲しい事故が起こらないために。

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知床岬方面をご利用の際は情報サイト「シレココ」をご確認いただくと共に、ルサフィールドハウスにて情報を収集していただければと思います。

潮が引いた知床岬へ続く広い海岸を青空の下歩んでい行く(2019年6月撮影)

地の果てへ

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2019年04月19日知床五湖開園します!

知床国立公園 白石海弥

こんにちは。ようやく春の香りがし始め、シカより早くギョウジャニンニクを手に入れんと意気込んでいる白石です。山菜はシカとの競争です。去年は敗北したので今年こそは...!

さて、4/20に開園予定の知床五湖では着々と開園の準備が進められています。

駐車場や施設周りの除雪も大方終わり、あとは細かい作業だけという時に雪が降りました。

こちら4月16日現在の高架木道です。10㎝ほどでしたが積雪しました。翌日気温が上がってくれたので溶けましたが、まさかまだ雪が降るとは...。4月、5月に知床五湖を訪れる予定の方は長靴と防寒着を忘れずに持ってきてくださいね。

自然公園財団スタッフと協力して遊歩道上にロープを張り、看板のブルーシートを剥がしお披露目です。無事冬を越せたみたいですね。良かった。

そして、毎年恒例小ループの除雪作業です。こちらは毎年すべて手作業で雪かきをしていて、関係機関とガイドさんがボランティアで行っているものです。今年は総勢30名ほどが参加しました。

4/18現在の積雪状況です。深いところで80㎝ほどありました。道産子魂が燃えます。

 

ザックザック掘っていって30分でこの通り。人数が多いのであっという間ですね。

木道の両サイドはくぼみになっており、踏み抜くのでご注意ください。

4月20日11:00 いよいよ知床五湖開園です!一般の方は高架木道と小ループのみ利用可能です。大ループは雪が解けるまでもう少しお待ちくださいね。

ヒグマも冬眠から目覚め活動を始めているので、知床に来る方はクマ鈴などを携帯して遭遇しないように注意し、見かけても決して近づいたり車から降りないようにしてください。

自然いっぱいの知床をぜひ満喫していってください!

雪化粧した知床連山 美しいです

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2019年04月15日今年も羅臼で花を見る

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 日本各地で桜の開花が騒がれ春を感じるこの季節、まだまだ地上の大半を雪が覆う知床・羅臼はようやくフクジュソウが顔を出し始めたかなといったところです。

 花恋しいこの季節、その思いを少しでも和らげることができたらと羅臼ビジターセンターでは4月7日(日)まで知床半島で見られる植物、その花を紹介しておりました。今回は展示中に紹介した花々と、「問いかけ」と題して集めた来観された方々の花に関する思いを幾つかご紹介させていただきます。

1年間知床半島を歩き回って見付けた色彩、形が様々な花たち(2018年4月-10月撮影)               

         左                     右
      コヨウラクツツジ              イトキンポウゲ
      ジムカデ                  エゾモメンヅル
      エゾクロクモソウ              シコタンハコベ
      エゾトリカブト               アケボノシュスラン

 まずはこちら。紹介した植物たちです。海岸から高山帯にいたる多種多様な環境がモザイク状に凝縮されて存在する知床半島。そこで見られる様々な植物、その姿形から知床の多様性、生物の多様性について少しでも味わっていただけたらと思い、1年間知床半島を歩き回って見付けた植物、その花を紹介しました。

展示中に花に関する問いかけに対する来観者の回答(2018年12月-2019年4月)

 ※回答はいただいたものをそのまま記載しています。

 続きまして「問いかけ」とその回答を幾つかご紹介させていただきます。皆さんは同じことを聞かれたらどのようなことを思い浮かべますか。花のみならず生きものを見て自分が何を感じるのか考えてみては如何でしょうか。きっと面白い発見があると思います。

 これから破竹の勢いで季節が移り変わっていく知床。そこで咲き誇る植物、うごめく動物たちを見逃さないように気を引き締めて新たな季節を迎えていきたいと思います。

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