ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年3月23日

2件の記事があります。

2020年03月23日パークボランティア 今までとこれからと

利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

利尻礼文サロベツ国立公園には、現在、パークボランティア(PV)さんが36名登録してくださっています。

肌寒い春に行う海岸清掃から始まり、真冬の鳥調査まで、年間様々な活動を一緒に行っています。

そんな活動を10年、15年と続けてくださっている方へ、感謝の意を表し、環境省より感謝状が贈られるのですが、今年度、利尻礼文サロベツ国立公園PVからは、継続10年が5名、15年が6名とたくさんの受賞者がおりました。

そのため、感謝状の伝達式を10/26(土)に行いました。

当日は、受賞者5名、お祝いに駆けつけてくれたPV5名おりました。

保護官から感謝状が手渡され、それぞれの思いを少しお話頂きました。

「自然に関わるようになり、自分自身成長できた」、「PVになり、良い所に住んでいることが実感できた」、「今できることを少しずつ長く続けていきたい」などなど、皆さんの想いを知ることができました。

更に今年は、PVとして30年活動して下さっている方が、『自然環境功労者環境大臣表彰』を受賞されました。4月に行われたその受賞式の様子などを、基調講演として報告して頂きました。

PVさんの発言は、PVの活動の歴史そのものでした。

10年、15年、30年と長年ご協力頂いている方々の思いの強さが、私たちを、利尻礼文サロベツ国立公園を、支えてくれていることを実感しました。

そして今年は更に、新規のPV募集も行いました。

3/14(土)には、サロベツ地区での養成研修会を行い、6名の方が参加して下さいました。

新型コロナウイルスの影響もあり、開催するのかどうかを直前まで検討しましたが、できうる限りの対策を行った上で、参加者の皆さんにもご理解とご協力を頂き、開催することができました

室内での環境省による講義と、地元のNPOサロベツ・エコ・ネットワークの方に講師をお願いし、講義+木道散策(ちょこっとスノーシュー散策含む)にて、サロベツを体験して頂きました。

4月から、新規の方を含む新体制となり、PV活動が始まります。

ベテランPVさんの情熱に、更なる新規PVさんの情熱が加わって、どんな活動になっていくのか、今からとても楽しみです。

ベテランPVさんも、これから1年目のPVさんも、

利尻礼文サロベツ国立公園での新たな1年、どうぞよろしくお願いします!

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2020年03月23日スノーモビルを使った荷上の調査

大雪山国立公園 忠鉢伸一

登山道を直すための道具や材料を運ぶ荷上には大変な労力と時間がかかります。

長い登山道を重い荷物を背負って数時間歩き、そこから整備して日没までには下山する。

登山口から近い場所なら可能かもしれませんが、登山口から遠く、アプローチに数時間かかる場所での登山道整備は困難を極めます。

(荷上イメージ図)

「じゃあヘリで運べば良いじゃないか」と思うかもしれませんが、ヘリはコストがかかりすぎて現実的ではありません。特に最近はヘリコプターのチャーター代も高騰し、1日数百万円とも言われています。

秋から冬の時期に次の年の準備をして、夏場の登山道の補修を効率よく進められないだろうか?夏季の登山道整備に使う資材の運搬を雪がある時期にスノーモビルで運べないだろうか?

そういう思いから314日にスノーモビルによる荷上が可能なルートがあるか調査を行いました。

今回は上川地区登山道補修業務の一部として、請負者がスノーモビル技術者の協力を得て行いました。旭川市ぺーパン地区から入林して、当麻乗越まで行けるかどうか、

目的地まで安全に資材を運搬できるルートを探すという調査ミッションです。

距離は約30km、植物が混んでいないなるべく傾斜の少ないルートを地図やドローンを使って探しながら行きました。

(この調査にあたり、環境省が道有林の入林申請を行い、また国立公園内の乗り入れ規制区域でのスノーモビル使用手続きをとりました。許可無く国立公園内にスノーモビルの乗入れ規制区域に入ることは禁止されています。レジャー目的では許可はできません)

機動力のあるスノーバイクが偵察して、無線で連絡をとりながらスノーモビルが続き、牽引力のあるバギーが後ろからついていくという形で走行しました。

埋まったモビルを救出したり、斜面が氷結していて登れず引き返したり、時間的な活動限界を迎えた為、あと一歩の所で目的地には到達できませんでしたが、時期や走行ルートを見直せば行ける可能性は高いことがわかり、試していく価値は十分あると感じました。

(ピウケナイ展望台から国立公園区域方面を望む)

冬季のスノーモビルによる運搬が可能になれば、いままでヘリに頼っていた山小屋のトイレの問題も、今までより少ないコストで解決できるようになるなど、さまざまな維持管理の問題を解決する切り札になるかもしれません。

今年は暖冬の影響で、3月の例年の積雪量から比べると約半分程しかなく、雪のコンディションも良いとはいえませんでしたが、十分可能性を感じられる試みだったのではないかと思いました。今後もベストな方法を探っていきたいと思います。

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