ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2013年4月30日

2件の記事があります。

2013年04月30日礼文島の花シーズン開幕です

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 長かった冬も終わり、礼文島にようやく春がやってきました。今年の礼文島は記録的な豪雪に見舞われた昨年と比べると雪解けは順調で、低地では雪が残っている場所はほとんど見られません。そして雪解けとともに春の植物が芽吹き始め、久種湖では春の訪れを告げる花であるミズバショウやザゼンソウ(ともにサトイモ科)が開花しています。
 例年礼文島の花シーズンは島の北部に位置する久種湖のミズバショウやザゼンソウ、同じく北部ゴロタ岬付近のエゾエンゴサク(ケシ科)やキバナノアマナ(ユリ科)の開花から始まります。今年もゴロタ岬付近ではすでにエゾエンゴサクが見ごろを迎えており、キバナノアマナも少しずつ咲き始めました。さらに久種湖のミズバショウも見ごろを迎えつつあります。


上段左:エゾエンゴサク(4/20 ゴロタ岬) 上段右:キバナノアマナ(4/20 ゴロタ岬)
下段左:ミズバショウ(4/28 久種湖)  下段右:ザゼンソウ(4/28 久種湖)

 その一方で島の南部では桃岩歩道一帯ですでに見ごろを迎えているフキノトウ(キク科)の他はエゾエンゴサク、ザゼンソウ、キバナノアマナ、ヒメイチゲ(キンポウゲ科)が少しずつ咲き始めているものの、まだ開花している個体はあまり多くありません。また、標高が高い南部の礼文林道ではまだ一部に多くの雪が残っています。日本では桜前線や梅雨前線のようなある季節の訪れを知らせる便りは南から北へ移動していくのが普通ですが、礼文島では春の訪れを知らせる便りは北から南へ移動するようです。


まだ雪が残る礼文林道(4/28)

 現在の礼文島は枯れ色が目立ち、色彩豊かな夏と比べるとまだまだ寂しい感じがしますが、よく観察しながら歩道を歩くと開花を待つ花の芽やつぼみをたくさん見つけることができます。夏になると周りの植物の陰に隠れてしまったり、すでに開花している色とりどりの花に目を奪われたりして開花を待つ花の芽やつぼみに注目することは少なくなりがちですが、裏を返せば雪解け直後のこの時期は植物の芽やつぼみをじっくり観察するチャンスと言えるのです。


開花を待つつぼみ
上段左:レブンコザクラ(サクラソウ科 4/28 桃岩歩道) 
上段右:エゾノリュウキンカ(キンポウゲ科 4/27 ゴロタ岬)
下段左:キジムシロ(バラ科 4/21 桃岩歩道)
下段右:ナニワズ(ジンチョウゲ科 4/21 礼文林道)

 礼文島の春、枯れ野の中に咲く花を探すのはもちろん楽しいですが、それに加えて開花を待つ花の芽やつぼみにも注目するとさらに楽しみの幅が広がると思います。この時期ならではのおススメですよ。

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2013年04月30日知っていますか?ロードキル

知床国立公園 羅臼 上村 文望

 巡視中に遭遇した、ある出来事をご紹介します。


 道路上で、にらみ合うオオセグロカモメ(左)と、ハシブトガラス(右)。
なにやらピリピリした雰囲気。

車で近づいても、二羽ともにらみ合ったまま動きません。



近くで見てみると、オオセグロカモメの足下には
・・・おいしそうな魚!

お昼時という事もあり、彼ら(彼女たち?)は魚に夢中。

そのとき、猛スピードで車がやってきました。

危機一髪、スレスレで車をよける2羽の鳥。
このままでは危険と判断し、取り合っていた魚を回収しました。

野生動物が、道路で交通事故などにより死んでしまうことを「ロードキル」と呼びます。
動物の死は悲しいものです。しかし、ロードキルはそれ以上の問題を含んでいます。


(((もし、今回オオセグロカモメが車にはねられていたら・・・)))


カモメの死骸を食べにキツネなどが訪れ、そのキツネも車に跳ねられてしまう恐れがあります。

交通事故死した動物を食べるために、新たな野生動物が被害にあってしまうのです。

希少種であるオジロワシ、夜間だとシマフクロウが道路に降りてくる可能性も否定できません。

命の繋がりがマイナス効果にならないために・・・


・野生動物への餌付けをしない。
・餌付けにつながる生ゴミなどの投棄をしない。
・安全運転を心がける。


これらの注意だけでも、たくさんの野生動物を守る事につながります。


●海上のオオセグロカモメとその幼鳥

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