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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年9月27日

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2020年09月27日アメリカオニアザミの生命力

支笏洞爺国立公園 小松瑠菜

こんにちは!洞爺湖アクティブ・レンジャーの小松 瑠菜です!

外来生物・アメリカオニアザミ をご存じでしょうか・・・?

 最近、住宅地でも見かけるようになったこちらの植物。

夏から秋にかけてピンクの花をつけ、葉や茎には鋭いトゲを持っています。

ご存じの方も多いと思いますが、そもそも外来生物とは、

「もともとその地域にいなかったが、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のこと」を指します。

中でもアメリカオニアザミは、生態系被害防止外来種リストに記載されており、

生態系に悪影響を及ぼす可能性があることから、利用に関わる個人や事業者等に対し、

適切な取扱いについて理解と協力をお願いしています。

 ※詳しくは環境省公式HPより生態系被害防止外来種リストをご覧ください。

 残念なことに、支笏洞爺国立公園でも、こちらの植物は生息しています。

洞爺湖管理官事務所では、毎年、洞爺湖地区パークボランティアさんとともに、

洞爺湖・中島でアメリカオニアザミの防除を行っています。

しかし、その帰り道、洞爺湖ビジターセンターの敷地内で突然足に痛みを感じ、

足下を見ると、なんとアメリカオニアザミを2株見つけてしまったのです・・・!

(少し触れただけでトゲがいくつも刺さり、とても痛いのです・・・)

1つ(個体A)は砂利の上に、もう1つ(個体B)は草地の上に生育しており、早速、根元から切断しました。

すると1ヶ月後・・・

あろうことか、バッチリ花をつけているではありませんか・・・!

「刈り取ったのに何故?」と思い、よーく観察してみると、以下の特徴に気づきました↓

【刈り取り後の茎の経過】

個体A、Bともに、刈り取り後の茎についていた蕾は、その後花をつけ、種もつけた。

【刈り取り後の母体(地中に根を張らせている茎)の経過】

個体A:葉を全て刈り取られた個体は、生育できなかった。 ※根は生きているかもしれない。

個体B:葉を残した個体は、また新たな茎を伸ばし、花を咲かせている。

※現在は全て回収し、処分しています。

つまり、根ごと引き抜くことがベストであることに変わりはないですが、

刈り取り作業のみ行う際は、下記の点に注意すべきではないかと推測しました。

1. できるだけ蕾をつける前に実施する。

2. 蕾をつけている時期に実施する場合は、刈り取った茎を持ち帰り、焼却処分する。

   ※その際、刈り取った個体から種を飛ばさないように注意する。

これだけの生命力を持つ外来種の完全な駆除は、非常に難しいことですが、

駆除対象の特徴や協力者の労力等を複合的に考慮し、

引き続きより良い防除方法を考案したいと考えさせられました。

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