ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年8月11日

2件の記事があります。

2021年08月11日 知床連山巡視へ!準備は万全に安全第一!

知床国立公園 羅臼 吉田恵人

皆さん初めまして。

4月に羅臼自然保護官事務所のアクティブレンジャーとして着任した吉田です。

知床羅臼の自然や文化、漁業など幅広く発信できるよう努めていきたいと思います!

さて、713日~15日の日程で、数ある巡視の中でもハードな知床連山の巡視へ行ってきました。

行程は、硫黄山→知西別岳→二ツ池→サシルイ岳→三ツ峰→羅臼岳→知床羅臼ビジターセンター(羅臼温泉登山口)という流れで全長約20kmもの登山道を歩き、登山道の状況確認、利用状況の確認、自然情報の収集を行ってきました。全日天候に恵まれ、汗だくになりながらも何とか怪我なく巡視を終えることができました。

【ハイマツ帯を越え知円別岳へ向かう様子】

そんな天候に恵まれた7月でしたが、羅臼岳周辺では遭難・事故が多発しています。

7月中に発生した遭難・事故情報は、以下のとおりとなっています。

・2021年7月5日:硫黄山で滑落負傷、救助隊により救出。

・2021年7月12日:羅臼岳頂上付近にて転落負傷、ヘリにて収容。

・2021年7月20日:知床連山縦走路にて負傷、二つ池でヘリにて収容。

・2021年7月21日:斜里岳下二股付近にて体調不良、ヘリにて収容。

・2021年7月23日:知床連山縦走路にて滑落負傷、ヘリにて収容。

・2021年7月24日:知床連山縦走路にて負傷、ヘリにて収容。

このように、7月だけでも6件もの事案が発生しています。警察の方は、最近の暑さとコロナ禍での安易な登山利用が増えていることの両方が要因となっているのではないかとのことで、今年の事故発生頻度は異常と話していました。

【チングルマの群落から見える三ツ峰、羅臼岳】

最後に、登山に訪れる際は準備をしっかりとすることはもちろん、自分の体力と技術と相談し、無理のない行程で楽しめるよう心がけていただければと思います。また、気温の高い日が続いており、熱中症になるリスクも高くなっていますので、水分補給とミネラル補給は忘れずに行ってください。

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2021年08月11日セイヨウオオマルハナバチの憂鬱

大雪山国立公園 忠鉢伸一

こんにちは

大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

先日パークボランティアの皆さんと、赤岳と緑岳の花畑でセイヨウオオマルハナバチの防除活動を行いました。

在来種のマルハナバチ達が花から花へ蜜や花粉を集めて飛び回っていました。

   

 8/5 赤岳にて撮影               8/6 緑岳にて撮影

今回はセイヨウオオマルハナバチは確認されませんでした。

しかしながら、今シーズンに大雪山の高山帯でセイヨウオオマルハナバチが発見された事例もあり引き続きモニタリングを行っていきます。

7/13 高根ヶ原で捕獲されたセイヨウオオマルハナバチ

人為的に本来の生息地から別の地域へ移入された生物を外来生物と言います(北海道では本州からの生物も外来生物にあたります)外来生物であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものと指定されたものを特定外来生物といいます。

セイヨウオオマルハナバチはこの特定外来生物にあたります。

元はトマトなどの野菜の受粉をさせるのが目的でオランダやベルギーから輸入されたそうです。なぜそのセイヨウオオマルハナバチは特定外来生物に指定され、駆除対象となっているのか?

それにはこんな理由があります。

●盗蜜

在来マルハナバチに比べ中舌が短いセイヨウオオマルハナバチは

花の根元に穴を空けて蜜だけを盗む行為(盗蜜)を頻繁に行う。

花粉に触れることなく蜜だけを取られた花は受粉できず種を残せなくなります。

●在来マルハナバチへの影響

在来マルハナバチの女王を殺し、巣を乗っ取る事例が確認されています。セイヨウオオマルハナバチは増殖能力が高く、花蜜資源や営巣場所をめぐる競争力が強い為、野生化したセイヨウオオマルハナバチが在来種の生活環境を破壊するおそれがあります。

●在来種との交雑

在来マルハナバチの女王とセイヨウマルハナバチの雄と交尾することは確認されていますが、雑種が生まれることはありません。本来であれば産まれてくるはずだった在来マルハナバチは子孫を残せなくなります。

●病気の蔓延

輸入されたセイヨウオオマルハナバチから内部寄生性の「マルハナバチポリプダニ」という寄生虫が発見されたと報告があり、これらが在来種に感染していくおそれがあります。

セイヨウオオマルハナバチは増殖能力が高く、野生化することによって在来マルハナバチや、植物の種子繁殖へ悪影響を及ぼすことが懸念されています。

毎年パークボランティアと連携して、花の時期に在来マルハナバチのモニタリングをしつつ、セイヨウオオマルハナバチが高山帯に入り込まないよう監視活動をしています。

外来生物を持ち込むのは人間であり、外来生物自身には何の罪もありません。

人間の都合で勝手に連れてこられたのに、駆除されるのだから、セイヨウオオマルハナバチもたまったものではないでしょう。

しかし、在来の生態系を外来生物から守るためには、外来生物に対して正しい知識を持って人間が責任をもって外来生物を管理していかなければなりません。

セイヨウオオマルハナバチの見分け方を知りたい、防除活動に参加したいという方は下記のホームページを参照してください。

セイヨウ情勢

セイヨウオオマルハナバチバスターズ

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