2021年9月14日
3件の記事があります。
2021年09月14日自然公園クリーンデー
支笏洞爺国立公園 荒川真吾
支笏湖アクティブ・レンジャーの荒川です。
環境省では毎年8月の第1日曜日を「自然公園クリーンデー」として、全国の自然公園を対象に、利用者の集中する地区を中心にゴミ持ち帰りを呼びかけるとともに関係機関の協力を得て、大規模な美化清掃活動を展開しています。
支笏湖地区でも、地域や関係機関の皆さんのご協力の下、8月中旬に※1清掃活動を実施しました。コロナウイルス感染症拡大対策のため、今年度も昨年度に引き続き参加人数を大幅に減らし、規模を縮小しての開催となりました。
支笏湖エリアは札幌圏や新千歳空港からのアクセスが良く、特に夏期間の週末は多くの利用者が訪れる国立公園です。多くの方々に手軽に自然の魅力を感じていただける一方、残念ながら駐車場や道路脇などに、ごみが捨てられているのも目につきます。大部分の来園者の皆さんにごみの持ち帰りにご協力いただいているものの、ほんの一部の方がごみを捨ててしまっている状況です。
今回はごみの清掃と休暇村付近の側溝の清掃を行い、約38.3kgのごみを回収することができました。ご参加いただいた地域の皆さん、関係機関の皆さんどうもありがとうございました。皆さんのおかげで支笏湖周辺をとても綺麗にする事ができました。こうした清掃活動などを通じてより多くの方に自然の魅力を感じていただき、「自然を守るためにごみのポイ捨てはやめよう」という意識を持っていただくきっかけに繋がっていけばと感じています。
作業の様子
近年、海洋プラスチックごみが地球規模での問題となっていますが、陸と海の生態系は繋がっていて、陸域で捨てられたごみは川を下ってやがて海へ流れていきます。海に到達する過程で、周囲に生息する野生動物や周辺の生態系に悪影響を与えてしまう可能性もあります。
地球規模のスケールの環境問題も、私たちの身近な行動の積み重ねで貢献できることが多くあります。今後もごみの持ち帰りはもちろん、皆さんの普段の生活の中でもご協力をよろしくお願いいたします。
●海洋プラスチックごみ問題について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
環境省「プラスチックを含む海洋ごみ(漂流・漂着・海底ごみ)対策」
http://www.env.go.jp/water/marine_litter/index.html
※1 北海道への緊急事態宣言発令前に実施された活動です。
2021年09月14日乗船調査、キックオフ!
えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵
みなさん、こんにちは。
最近のえりもは、各地でススキがそよそよと揺れていて紅葉も始まりました。風もひんやり、すっかり秋になりました。
こんな風に季節の移り変わりを感じたとき、えりものアクティブ・レンジャーならではの職業病でしょうか。私の中でどこかソワソワし始めます。
それは、秋サケ定置網漁が解禁するから〇 春に続き、秋にも定置網漁が行われているえりも町。
立派なサケを期待したいところですが、水揚げ初日となった9月2日、そのほとんどはサケではなく、立派なブリでした。その後も、サケよりブリが多く水揚げされています。要因の一つとして、近海の水温が高く推移しているためと考えられます。
ブリは成長過程によって名前が変わる「出世魚」として有名です。ここ3~4年、えりもでもブリがあがるようになりましたが、9月中旬ごろまでフクラギ(~40㎝程度)がほとんどでしたが今年は立派なブリ(60㎝以上)且つずっしりと重さもある特大サイズばかりです‼
漁が開始される季節は毎年同じです。
魚の種類は同じでも、獲れる時の成長過程に変化が見られました。何が影響しているのでしょうか。今後、水温や他の魚の漁獲状況を見守りながら考えてみたいと思います。
▼網のあるポイントに移動中 朝陽がキレイ~!
現状はサケよりもブリが多く揚がっている状況ですが、秋サケ定置網漁は11月20日までと約3ヵ月続きます。この間、さらに季節が進み水温が下がったこの海に多くの秋サケが来遊してくれることを願います。
私たちえりも自然保護官事務所の職員は、この定置網漁の期間中、襟裳岬周辺海域に生息するゼニガタアザラシとそのアザラシがもたらす漁業被害調査のため、地元漁師みなさんの協力を得て乗船調査を実施します。
今はまだ、穏やかな海況が続いているえりもですが、この先はそうも言っていられません。10月になれば猛烈な突風や高波も増えます。
■危険と隣り合わせということをよく理解する
■必要な準備はぬかりなく
■"慣れ"を理由に気を抜かず、緊張感を持って長期戦の調査に臨む
これらを改めて意識し、気持ちを整えたところです。
映したいところをしっかりと捉えられるよう、紐の長さや結び方を整えます。
結び方には「こういう状況や場所にはこの結び方がよい」という適性があります。私たち職員がこれでいいかな、と思うものでやったとしても海中でのうねりが強かったり潮の流れが早かったりで解けてしまうこともあるので、漁師さんに良き結び方を教わります。
このように、準備に不足はないか、今期の業務が上手く進むか...
今年は豊漁となるのか、水温や潮の流れはどうか、いつ頃から気をつけなければいけない風が吹き始めるか(秋ごろから、下からかと思えば上から...複雑かつ突風が吹き始めます)...これら自然環境は私にコントロール出来なるものではありませんが、業務の進捗に大きく関わります。これから起きる色んな場面を想定してソワソワソワソワ。
長い漁期、またタイミングを見て経過報告等ご紹介します!
この季節の楽しみはコレ!早起きしていてよかったと思える瞬間です。
美しい朝焼けは絶景✨
上士幌管理官事務所では、大雪山国立公園の特別地域において特定外来生物「オオハンゴンソウ」の駆除を行っています。国立公園利用者の目に留まりやすい道路脇から堀取りを行っています。主に国道273号糠平国道と道道718号忠別清水線の道路脇に生育しています。オオハンゴンソウは、寒冷な気候にも対応でき、根を張り葉を広げ土の中で根茎を太らせると、やがて茎を伸ばし花を咲かせるようです。埋土種子の寿命や発芽率など詳しい生態はわかっていませんが、根茎を残さず掘り取り種を落とす前に駆除することで、徐々に生育数が減っていくはずです。
駆除の効果を確かめるため、2019年からは掘り取った開花茎を数えながら進めています。なかなか思うように減っていってはくれません。全体としては減少させていると言えますが、年々半減ということにはなっていません。
189
フキやササ、イラクサの混在する茂みからオオハンゴンソウを根茎ごと掘り取るのは辛い作業です。次の写真は糠平国道の道路脇を見下ろした様子です。乗用車の運転席からは一部しか見えないかもしれませんが、大型バスからは黄色い花が広がる生育地全体が見えるに違いありません。写真の範囲の124本を駆除するのに1時間以上かかりました。土壌に石が混じっていたり、フキの根に癒着していたり、ササの根と絡み合ったりしているととても厄介です。
駆除前(黄色い花を咲かせているのがオオハンゴンソウ)
駆除後
もう3年ぐらい駆除を続けた結果として約100本以下になれば、計画的に日付や時間を割り振らなくても、目に付いたときに掘り取っていけば生育数を抑制した状態が保っていけるのではないでしょうか。