2022年3月31日
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2022年03月31日春の訪れ
利尻礼文サロベツ国立公園 津田涼夏
道路に残っていた雪もほとんどなくなり、少しずつ春らしさが感じられるようになりました。
早速ですが、皆さんは春と言えば何を思い浮かべますか?
桜、菜の花、卒業式、入学式、桜餅など、様々なことを思い浮かべたり、感じることがあると思います。
私は最近"春の訪れ"を身近に感じることがありました。
先日、浜頓別クッチャロ湖水鳥観察館へ維持管理を行ってきました。今回は約10年振りに、水鳥観察館の床のワックス塗布を行い、汚れていた床は綺麗になり、水鳥観察館全体が明るくなりました。ピカピカの床が見ることで気持ちも心機一転されます。
また、水鳥観察館からはクッチャロ湖に集結したハクチョウたちの姿を観察することができます。3月24日現在、約400羽のハクチョウで賑わっていました。
まだピークにはほど遠いですが、本州から北上してきたハクチョウたちに出会え、春を感じることができました。
また、宗谷岬(日本最北端)では、この時期にオオワシが北に向かっていく様子を観察することができます。以前観察した時には、元気に北に渡って行くと見せかけて、戻ってくるオオワシがいました。もう少し稚内に残りたい気持ちが強かったのかも知れません。
この景色を見始めて3年が立ちますが、毎年に複数のオオワシが去って行く姿に感動します。
みなさんも身近な自然から春の訪れを感じみてはいかがでしょうか。
2022年03月31日帰ってきてくれたハクガンとシジュウカラガン
帯広自然保護官事務所 丸岡梨紗
こんにちは。帯広自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーの丸岡です。
今回は天馬街道方面に巡視に行った際に、出会った鳥についてご紹介したいと思います。新ひだか町三石の鳧舞地区で数少ない渡り鳥であるハクガン(※絶滅危惧1A類)に出会えました。
ハクガンは、浦幌町の三日月沼方面で見られることが知られており、数年前にハクガンを見に行ったことがあるのですが、今年はプライベートでの観察も含めて2回見に行ったのにも関わらず、浦幌では会えませんでした。
最近浦幌町に見に行った方からも、ハクガンが見られなかったというお話を伺いましたが、浦幌町の3月末の探鳥会ではあちこち探してやっと2カ所で合計30羽ほどのハクガンに会えたという記事が新聞に掲載されていました。沢山飛来する年もあるのですが、今年は渡りの状況が例年と違うのかもしれません。
通常よりかなり早い時期である1月頭に、鳧舞地区の海岸で上陸したばかりのハクガンの確認情報が新聞に掲載されていましたし、同じく1月頭に浦幌でもハクガンの確認情報があったようです。
他の鳥の例でも、休日にぬかびらビジターセンターに行った際に、今年はまだ渡り鳥のアトリが来ていないと伺いました。
しかしこのアトリ、天馬街道で、少数の群れが飛翔する様子を確認することができました。漢字で書くと花鳥と書く美しい鳥ですが、動きが速くて写真に撮れなかったため、お見せできないのが残念です。
その年の気象条件や、その日の天候や、越冬地や群れの状況などいろいろな条件で渡り鳥の行動は変わってくることもあると思うので、こういう年もあるのでしょうね。
ハクガンは見れなかったものの、三日月沼から十勝川河口までの水辺の多いエリアには、沢山のマガン(※準絶滅危惧)、オオヒシクイ(※準絶滅危惧)、ヒシクイ(※絶滅危惧1B類)、シジュウカラガン(※絶滅危惧1A類)、オオハクチョウがいて、北の繁殖地への移動にむけて鋭気を養うための賑やかに採餌する様子が目を和ませてくれました。
☆マガンとオオヒシクイの見分け方☆
※カテゴリーの詳細は下記の環境省レッドリストのホームページへのリンクをご覧ください。
https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/rank.html
この中でも特にシジュウカラガンは、絶滅寸前まで追い込まれましたが、近年の国際的な保護増殖活動の成果でいち早く数が増え始め、今では計5000羽以上の群れが日本に渡来していると言われており、浦幌・三石でもシジュウカラガンだけの群れを確認することができました。
かなり個体数が減っていたハクガンも14年間はなかなか飛来数が増えなかったようですが、2019年に27年かかってようやく飛来数が1000羽を越えたそうです。
※ハクガンとシジュウカラガンの絶滅寸前から個体数が回復するまでの40年以上における保護活動の詳細についてはサントリーの愛鳥活動のサイト
―日本の空に復活したシジュウカラガンとハクガン@宮城県・伊豆沼、蕪栗沼―
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/fund/message/vol06/
で知ることができます。
このように多くの渡り鳥を確認することが出来るのも繁殖地と越冬地の国際協力と大変な保護活動の成果だと思うと、感謝の思いをいだきました。
来年も元気に十勝と日髙エリアにきてくれることを願います。
えりも自然保護官事務所の熊谷です。
三寒四温の季節柄、日に日に寒さも和らいできました。
とはいえこの辺りの最高気温は2~4℃程度の日が続き、まだまだ防寒が必要です。日中、射す陽が暖かくふきのとうが芽吹いたところを見ていると、もう春だ~と実際以上に暖かくなったようで防寒に対して気が緩みます。こういったことが、この季節に体調を崩しやすいと云われる要因のひとつなのかもしれません。
季節の変わり目、みなさまもどうぞご自愛ください。
さて、えりも自然保護官事務所では通年ドローンを用いた襟裳岬に生息するゼニガタアザラシのセンサス(個体数調査)をしていますが、12~2月は調査していませんでした。
というより、出来なかったのです。通年風の強いえりもですが、その風は12~2月にとりわけ強くなります。強いなんてもんじゃない、それはそれは暴風です。普段ドローンを飛ばしているポイントに近づくことすら危険なことや、強風やうねりにより波が高くアザラシも見えなかったため調査を控えていました。
しかし、3月に入り強風の中でも少し弱まる時間が増えてきています。
今だ!と思うタイミングでやろうにも、途中、強風に見舞われたり厚い雲が迫ってきて中断せざるを得ないという状況を繰り返していました。
そんな中、今日は最後まで完遂することが出来ました。
〇その時の写真の一部がこちらです↓
アザラシいないな~
潮の満ち引きがあるのでおおよそですが、海面から60m程度の高さを保ってアザラシが休息に利用している岩礁上空を飛ばします。
...アザラシいた!
どれがアザラシか分かりましたか?画像の右半分に移っている、やや白っぽい米粒のような形をしたもの、これがアザラシです。ここに見えている大きなアザラシはすでに大人(成獣)で、大きい個体だと体長は180㎝・体重は200㎏近くもあり大迫力です。
アザラシは外見から雌雄差を完全に見極めることは出来ません。ましてやこれだけ上空からだと見慣れていても分かりません。しかし、ゼニガタアザラシは4~6月に出産・子育てシーズンを迎えるため、お腹の大きなメスが多く休息しているのではないかな~と推測します。
やっとドローンを飛ばせる季節になりました。
ドローンの飛行する音に驚き海中に降りてしまうこともあるので、"風を読みながら"ということを頭の片隅におき、今シーズンスタートとします。
間もなく可愛らしい赤ちゃんアザラシが産まれます!もちろんこのアクティブ・レンジャー日記でも紹介したいと思っていますので、お楽しみに☆