大雪山国立公園
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2021年01月27日アクティブ・レンジャーの休日
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
高気圧に覆われた1月23日(土)~24日(日)、プライベートで美瑛富士に登ってきました。
きれいな写真が撮れたので、冬の大雪山国立公園を紹介したいと思います。
美瑛町白金をスキーで出発。林道を1時間半歩き、登山口に辿り着きました。看板は雪で半分埋まっています。
これから先は夏の登山道ではなく、バックカントリー(整備された区画外のエリア)に突入。尾根伝いに登っていきます。
頑張ってラッセルをして、美しいアカエゾマツとダケカンバの森を抜けた先に待っていたのは・・・
美瑛富士と美瑛岳が正面に見える、開けた台地。
ここは一体何なんでしょう・・・夏はきっとササ原なのでしょうが、用意された舞台のセットのようなドラマチックな展開に思わず感嘆の声が漏れてしまいました。ここは夏の登山道からは離れている場所なので、積雪期しか見ることができない景色。これが冬山の楽しみの一つでもあります。
初日は森林限界1250mにテントを張り、翌朝アタックです。
この日は放射冷却現象で、美瑛町の麓は-23℃。山はもっとしばれています。おかげで美しい夕日が見られました。
星が瞬く夜を越え、しばれた朝を迎えました。意を決してテントから外に出ます。
斜面は凍っているので、スキーではなく、滑落しないで歩くための道具、アイゼンとピッケルに変え、登っていきます。テン場から頂上までの標高差は600mほど。振り返ると、美瑛富士のピラミダルな影が見えました。頂上に着くまでは日が当たらず寒いです。
歩きにくいロックガーデンを越えて、3時間ほどで、頂上に着きました。
やっと陽にあたれましたが、風が強い!よろけないよう、踏ん張って歩きます。
お楽しみの頂上からの景色は・・・
想像では、360℃見渡せる周囲の山々に感動すると思っていたのですが、それ以上に目を奪われたのが、気象の厳しさを物語る、色々な形の風紋やエビの尻尾、スノーモンスターでした。
誰に見せるためでもなく、また誰にも見られることなく消える自然が作り出した造形美は、言葉にしがたく、究極的に美しい全てが詰まっているようで、本当に忘れがたい景色でした。
大雪山のどっしりとした大きな山々は、心のふるさとのような、安心感と癒やしを与えてくれます。
そんな大雪山にも見たことない景色がまだまだたくさんあり、一生通っても知り尽くすことはできないでしょう。大雪山のことをもっと知りたい!大雪山の色んな表情を、自分の足で見に行きたい!生涯大雪山と共にありたい♡と、より愛が深まった一日でした。
*大雪山の冬山登山、特に厳冬期は、あらゆる登山知識と経験を総動員で臨まなければ、大変危険です。*
2021年01月05日環境省アクティブ・レンジャー写真展をオンラインで開催中
大雪山国立公園 上村 哲也
2017年に始まり5年目となるアクティブ・レンジャー写真展です。国立公園や希少な野生生物を守るアクティブ・レンジャーが業務の中で触れた美しい風景や愛らしい生物たちを切り取ってきました。自然の大切さとともに私達の働きについて理解をいただきたいと、業務紹介を添えながら続けて参りました。
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大という災いに揺さぶられた一年でした。近年、年度の締めくくりに札幌地下歩行空間(チカホ)で写真展と野生生物の保護や携帯トイレの普及など啓発のイベントを開催し、1日限りのふれあいを楽しみにしてくださる方もいらっしゃったところですが、残念ながら今回は開催できませんでした。各地のビジターセンターで開催した写真展へも思うように足をお運びいただけなかったのではないでしょうか。
ウイルス感染に気を使うことなくご自宅からお楽しみいただけるよう、オンライン写真展を開催中です。
アクティブ・レンジャー写真展 2020~2021 ~北の自然の舞台裏~
開催場所(URL) http://hokkaido.env.go.jp/post_92.html
開催期間 令和2年12月15日(火)~令和3年1月12日(火)
会場でお配りした解説冊子も御覧いただけるようリンクしています。
アンケートにもご協力ください。
よろしくお願いします。
2021年01月05日大雪山の絶景ベスト3
大雪山国立公園 岩城大洋
突然ですが、私の日記は今回で最終回となります。
2016年4月に当事務所に配属され、4年10ヶ月が経ちました。
大雪山国立公園へはさまざまな業務のため入山し、登山道の巡視を行いました。
在職中どれくらい歩いているかをざっと計算したところ、年間約260㎞。
トータルでは1300km分の軌跡を公園内の登山道に残したことになります。
(たぶんもっと歩いていると思います)笑
その中でもっとも思い出に残っているのは2018年の10月に実施した姿見から愛山渓温泉登山口までのピストン(往復すること)。
その距離なんと21.5km。移動時間9時間。天気は時々雪。
大雪山の圧倒的なスケールに心が折れそうになった唯一の山行。でも辛い巡視であったからこそ、今では良き自慢の思い出となっています。
最後の日記では何を書こうかと悩みましたが、最後は私の1300㎞の景色の中のベスト3を紹介したいと思います。
第3位
「黒岳山頂からの展望」
黒岳7合目から約1時間半登ると大雪山の大パノラマが眼下に。
ここでのんびり雄大な大雪の山々を見ながら食べる昼食が好きでした。
黒岳から足を延ばせばお鉢平展望台があります。
そこからの景色も好きなのでおまけに載せておきますね。
第2位「大雪高原沼めぐり登山コース緑沼の紅葉」
良い紅葉の年の沼めぐりコースは格別です。
緑沼で見た青と赤と白のコントラストは最高でした。
第1位の前にいろんな大雪山。
ニセイカウシュッペから黒岳方面。
ヒサゴ沼付近。
秋の草紅葉。
大雪山の中間地点。
沼ノ原大沼。
銀泉台のナナカマド。
トムラウシ山。
10月中旬の黒岳。
次はいろんな山頂。
黒岳。
化雲岳。
トムラウシ山。
赤岳。
お待たせしましたがいよいよ第1位の発表です。
♪ダラララララ・・・・・♪ジャン♪
第1位「青い南沼」
トムラウシ温泉短縮口から天人峡までを1泊2日の日程で巡視を実施した時の夕日が沈む前の南沼はほんとに神秘的で今でも心に残っています。
以上が私の思い出の大雪山ベスト3です。
みなさんも是非訪れてみてくださいね。
最後に
僕の人生の中で大雪山はいつもそばにありました。
初夏には母と山登りをし、紅葉時期には旭岳ロープウェイで紅葉狩りをし、冬には白金温泉でスキーをするのが毎年の決まりごとでした。
そこにはいつも違う風景があり、未熟だった僕は雄大な大雪山に触れながら成長しました。
大人になり、実際に大雪山国立公園の管理運営に携われたことは僕にとって誇りでした。
今後はこの経験を生かし新たな職場でもチャレンジし成長したいと思っています。
みなさん、長い間ありがとうございました。
また、いつかどこかでお会いしましょう。
2020年12月28日層雲峡の核心部 Part2 to3
大雪山国立公園 岩城大洋
こんにちは。大雪山国立公園管理事務所の岩城です。
前回の日記をUPしてから、随分と月日が経ちました。
続編を楽しみにしていた方々へ、更新が遅くなって「ごめんなさい」。
今回は今年の初夏に実施した小函の現地調査の様子と、現在、環境省で進めている層雲峡再活性化に向けた、小函地域の活用の可能性についてお伝えします。
現地調査は6月下旬に、廃道となった国道を現在管理している上川町に許可を得て実施しました。
まるでジャングルへと探検を行うような格好で総勢5名で出発です。
駐車場に車を停めて準備しいよいよ出発です。みんなが見上げているのは銀河の滝。
それでは小函へとツアーの開始です。
歩き出して15分ほどすると天城岩が姿を見せます。ドローンから撮影した写真と地上からのを紹介しますね。
天城岩を越えると、覆道が。
THE旧道。
覆道を過ぎると羽衣の岩が少し見えてきました。
長年の道路の閉鎖でアスファルトからは雑草が。
木々も背丈くらいに成長していました。
羽衣の岩です。こちら側に若干傾いている影響で押し迫ってくる様な錯覚に陥りそうに。
余りに美しく迫力満点だったので、みんなで記念撮影をしました。
約20年前に閉鎖を決定づけた神削壁の崩落現場。
ものすごい量の岩が道路を埋め尽くしていました。。。
注意しながら先へと進みます。
看板も年代物な雰囲気。
層雲峡方面から進むと神削壁の看板がある場所付近が小函地域の終着点。
私の子どもの頃の思い出だった小函は―――みなさんはいかがでした?
その圧倒的迫力の柱状節理をみなさんも見に行きたくなったのではないでしょうか。
しかし、現時点では立入りは禁止されていますので、くれぐれも無断での立入りはしないでくださいね。
この素晴らしい景観が再び日の目を見る日はくるのでしょうか。
私はきっとくると思います。
現状では自由な立入りには崩落のリスクが限りなく大きいなハードルとなっています。
そこで、ある一定のルールを設け、人数制限の中でのツアーの実施が立入り可能な有力な手段になると私は考えています。
令和2年度の環境省の事業で実施している「層雲峡再整備再活性化検討会」の中でも小函地域の活用は提案され、現在議論中です。
リスクを全く取らずこの素晴らしい景観をこのままお蔵入りにするのか。
それとも、リスク管理の中で感動を体験させるのか。
私は、後記の展開がなされることに期待しています。
今回の日記はここまで。
良いお年を。
2020年12月25日世界一の雪質、旭岳。
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
旭岳スキーコースは、大雪山国立公園の中にあり、スキーコースの下地は、夏は高山植物が咲いていたり、"天女ヶ原湿原"という高層湿原の一体となっており、それらの希少な自然環境が圧雪車やスキーヤーによって損なわれないよう、一定以上の積雪がなければオープンできません。
【積雪量検査中】
今年は順調に雪が降り積もり、昨日、東川町・北海道上川総合振興局南部森林室・旭岳ロープウェイを運行するワカサリゾートと環境省で積雪量チェックを行い、無事に本日12月25日(金)にオープンすることとなりました。
旭岳は「雪質世界一」と呼ばれるパウダースノー。近年では、その雪を求めて、日本中はもとより、欧米からもたくさんのスキーヤー、スノーボーダーが訪れ、冬の観光資源ともなっていますが、今年は新型コロナウィルスのため、欧米からのお客様がほとんどおらず、観光業の方にとって大打撃となります。
「雪質世界一」と呼ばれる理由は、日本海の湿った空気を含んだ雪雲が日本海沿岸の山にあたると日本海地方は豪雪となり、その雲は水分を落としながら移動し、大雪山に到着する頃には、雲に水分はなくなり、乾燥した空気と寒冷な気温がぶつかり、大雪山にとても乾いた雪(結晶)を降らせます。
旭岳はロープウェイで一気に標高1600mまで上がることができるので、大雪山の中でも最も身近に、
超!軽い雪に出会うことができます。
その雪はまるでホイップクリームの上を滑り降りているかのような浮遊感を味わえる、とても珍しく希少な雪質で、はじめて滑ったときの感覚、驚きは今も覚えています。
東川町が誇る、世界一の雪質旭岳。国内・道内の方、感染状況が落ち着いたら滑りに来てください。
美しい冬山の側面には、厳しい自然環境があります。
大雪山は毎冬、雪崩事故や、視界不良・悪天候による道迷いが多発しています。
自分の身を守るのはもちろん、仲間を守るための装備、知識、経験をフルに活用し、長いようで短い冬山を満喫しましょう。
良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします!
2020年12月07日アクティブ・レンジャー写真展inチカホ中止とオンライン写真展開催について
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ
お久しぶりです。東川管理官事務所の渡邉です。
この時期は雪が積もったり溶けたり、本物の冬将軍が来るまで、じらされながら、今年の冬はどの山に登ろうかと妄想を膨らませる日々です。
毎年1月にアクティブ・レンジャー写真展inチカホと題し、札幌市地下歩行空間でアクティブ・レンジャー12名が集結し、写真解説や業務紹介など行っていましたが、今年は新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、チカホでの写真展は中止とすることにしました。
今回のチカホ展を楽しみにしてくださっていた皆様、いつも駆けつけて激励をくださっていた皆様、大変申し訳ありません。
その代わりとして、ご自宅で楽しんでいただけるようオンラインでの写真展を開催することにしました♪
期間は、2020年12月15日(火)~2021年1月12日(火)まで。
ご覧いただけるサイトは北海道地方環境事務所のHPとインスタグラムを予定しています。オンライン写真展に関する続報はアクティブ・レンジャー日記でお知らせしますので、お楽しみに。
また、札幌第一合同庁舎でも2021年1月13日(水)~1月20日(水)13時まで、写真のみの展示を予定しています。合庁に来られた際は写真展をご覧になっていってください。
普段、私たちは全道各地で業務にあたっているので、今回のことはオンライン会議を開催し、みんなで意見を出し合い、この形でまとまりました。いっそ代替え展もしないか、別の会場を探すか、オンラインはどのページにしようか・・・チカホ展は残念ながら中止になってしまいましたが、なんとか別の形でご覧いただけるようになり、一同安心しています。
前代未聞のコロナ禍の写真展も最善の策で一丸となって乗り越えるようAR一同で準備中をしています。お楽しみに☆
モンベル大雪ひがしかわ店2階でも、12月2日(水)~12月24日(木)までアクティブ・レンジャー写真展を開催しています。東川町に来られた際は、お立ち寄りください。
2020年10月23日エゾシカの香箱座り
大雪山国立公園 上村 哲也
然別湖周辺の森の中で、エゾシカの寝床らしい痕跡を見つけました。
写真の左上を頭の方向にして前足の肘を折ってたたみ腹を地面に押しつけていたようです。両肘が深く地面に押し込まれています。その後方には立ち上がったときに付いた蹄の跡も残っていました。
肘を折ってたたむのは、リラックスした家猫が見せる香箱座りという姿です。猫が香箱座りをしてうとうとと目をつむっているとたいへん可愛らしいものですが、警戒心の強い野生のエゾシカが寝姿を見せてくれることはありません。
日が落ちれば真っ暗になる針葉樹の森の中、周囲にはほかに痕跡は見当たりませんでしたから、オスジカが独りで夜を過ごしたのかもしれません。
痕跡から想像してみました。
2020年10月13日生まれ変わった白雲岳避難小屋
大雪山国立公園 忠鉢伸一
こんにちは。
大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
今年の6月から建替工事が行われていた白雲避難小屋は、10月8日に工事が終わりました。
9月29日に工事の最終チェックをする為、北海道地方環境事務所と大雪山国立公園の各管理事務所で白雲岳避難小屋へ行った時の様子をお伝えしようと思います。
9月26日に初冠雪となった大雪山は所々に雪が積もっていて、晴天ではありましたが冬のような冷たい空気でした。
【 9月29日 赤岳から白雲岳分岐 】
白雲岳避難小屋は建て替え工事中のため利用が自粛となり、寂しい思いをした方もたくさんおられると思います。
まだ片付けは完全に終わっていませんが、新しく生まれ変わった白雲岳避難小屋を紹介します。
【 9月29日 白雲岳分岐から白雲岳避難小屋へ降りる途中から 】
1階部分は管理人室の場所が変わりました。前の避難小屋1階よりも広い感じがします。
入口も建物の東側になりました。
2階部分はあまり変わっていませんが、窓が増えて明るいです。屋根、床、壁には断熱材が入り、以前よりも暖かく快適になるのではないでしょうか。
冬用の入口は変わらず建物の東側2階です。
【 建物外観、2階部分、1階部分写真 】
歴代の白雲岳避難小屋の看板です。
一番下が一番古く、新しい看板は前回の看板の文字をモデルに作られました。
大雪山の短い夏山シーズンは終わり、いつ雪が積もっても不思議はない季節になりました。
白雲岳避難小屋は来年の春からの運用になりますので、今期は一般登山者の宿泊はできません。
白雲岳避難小屋は夏山シーズンである6月~9月は管理人が常駐するので、周辺の状況などは管理人から最新の情報が得られると思います。
大雪山縦走の中継地点として重要な場所にあるため、この避難小屋が利用できることによって色々なルートを使って山歩きできるようになります。
来年の春は白雲避難小屋に泊まって、日帰り登山では見ることのできない太陽や星空や山を楽しめたらいいですね!
【 9月29日 白雲岳避難小屋から見た高根ヶ原方面 】
2020年09月25日いつかはトムラウシ
大雪山国立公園 上士幌 上村 哲也
アクティブ・レンジャーは、国立公園の自然保護官事務所や管理官事務所などに1名または複数名が配置され、業務に励んでいます。大雪山国立公園のように山岳が中心となるところもあれば、支笏洞爺国立公園のように湖を、えりも自然保護官事務所などのように特定の野生生物を保護管理するところもあります。フィールドや業務の内容に違いはありますが、アクティブ・レンジャー同士のつながりが互いの助けになることもあります。
そんな絆を深めようと「登山会」を始めました。リクエストも受けながら年に1座か2座を企画しています。ニペソツ山、富良野岳、白雲岳とその周辺の山など大雪山を中心に、後方羊蹄山や暑寒別岳にも登りました。始まった当初から「いつかはトムラウシ」が合い言葉になりました。
9月の連休、道北に低気圧が停滞し空気の不安定な状態が伝えられながらも北十勝はまずまず好天の予報に、テント泊にてトムラウシ山登頂を目指しました。
1日目は適切な歩調を整えられず、休憩が多くなって後半に失速。15時過ぎに南沼野営指定地に到着、山頂に雲がかかって来たこともあり、この日の登頂を諦めテントの設営に取り掛かりました。設営を終えた頃から予報にはなかった雨が降りだし2、3時間でしたでしょうか、なかなかの強さで叩かれました。強く降る前にテントには入れて幸運でした。後から調べてみると新得やぬかびら源泉郷のアメダスではまったく観測されていません、降ったのは山の上だけのようでした。
夜遅くに雨は止み、2日目、雲の多い朝を迎えました。朝食を済ませ軽装備で山頂を踏みます。十勝岳では噴煙が東へと長くたなびいていました。山頂は秋らしいやや冷たい風が吹いていましたが、30分ほど粘り十勝岳連峰や黄金ヶ原、東大雪の山々などまずまずの展望を楽しみました。
カバが黄葉することなく葉が傷んでいます。ナナカマドも赤には程遠いと感じながら、イワイチョウやウラシマツツジらが秋の彩りを描いてくれています。山頂を振り返り彼らの色づきを楽しみながら下山しました。
山頂から十勝岳連峰方面を望む。
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
3月に入りました。日増しに日が長く、降る雪が重たくなり、春が近いことを感じます。今頃、ヒグマの巣穴では赤ちゃんが誕生し、母グマのお乳を飲みながら本物の春を待っているのでしょう。
さて、2月27日(土)に旭岳ビジターセンターで、「ドングリで草木染め」ワークショップを開催したので、その様子をご報告します。
新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、今回は町民限定とイベントさせていただきました。町外からも参加したいとご反響をいくつかいただきましたが、お応えできず申し訳ありませんでした。
イベントを開催した経緯は、冬季の旭岳ビジターセンター利用促進、そして昨年使い捨てレジ袋が廃止になったので、草木染めで世界で一つだけのエコバッグを作って末永く愛用してもらいたい、と考えついたのがはじまりでした。
染めるバッグは、令和元年度に旭岳ビジターセンター開館記念で作成したノベルティーのトートバッグにしました。
草木染めは「藍染め」が有名。なぜ、今回ドングリかと言うと、秋に採取して冬まで保存が利くもの・・・と考えついた結果がドングリでした。
ちなみに、北海道に藍は自生していません。アイヌの人々は「蝦夷大葉(エゾタイセイ)」を使って、アイヌ衣装を染めていたそうです。
草木染めは日本では縄文時代から、海外では動物の血液や貝殻、昆虫でも染めていた染め文化で、1800年代終わりに合成染料(化学染料)が開発されてから、手間とコストのかかる草木染めは衰退していったそうです。
草木染めの工程をザックリ説明すると・・・ドングリを煮る⇒ドングリ液にバッグを分浸ける⇒媒染する(色落ち止めの作業)⇒またドングリ液にバッグ浸ける⇒水洗い、で終了です。
ドングリを煮出すと、お湯の色がどんどん赤茶色に変わって、良い香りもしてきます。
漬け込んでいる最中は色ムラができないように、よく布をひっくり返し、布全体にドングリ液が染み渡るようにしていきます。
作業の合間には、ビジターセンターを見学してもらったり、草木染めの基礎知識や、ドングリやナラの説明、ナラクイズ、VR鑑賞など・・・順調に作業は進み、できあがったバッグがこちら。
ドングリの深みのある優しい赤茶色が入っています♪
草木染めのおもしろいところが、一つとして同じ色に染まらないこと。同量のドングリで染めたのに、少しずつ色が違ってきます。これから使い込んだり、洗濯していく上でも、風合いが変わってくるでしょう。お楽しみに♪
私自身も、今回草木染めを調べていく中で、普段自分が着ている洋服や持ち物が地球にどんな影響を与えているか、合成染料での染色がどれだけ負荷をかけているかを知るきっかけになりました。
私にできることは、使い捨てじゃないものを選択する。必要なものだけを手に取り、大切に使っていく。作れる物はなるべく作って、壊れたらなおして使う。手作りの物は愛着が持てるので、長く使うことに繋がると思います。
参加者の皆さんの染め終わった後の喜んでくださった顔を見て安心しました。
身近な物で草木染め、またしてみたいと思います。第二弾は何で染めようか考えるとワクワクしてきます。お楽しみに♪
参加された皆さん、旭岳ビジターセンタースタッフの髙橋さん、ありがとうございました。