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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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釧路湿原国立公園 釧路湿原

175件の記事があります。

2008年03月11日温根内木道のリニューアル

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

釧路湿原の西側に位置する温根内には、ビジターセンターを起点に湿原内を散策できるよう木道が整備されています。
同じルート上でヨシ・スゲ湿原からミズゴケ湿原と、タイプの違う湿原を観察できるコース。春から夏にかけては多くの湿原の花が観察できるので特に人気があります(1年を通して利用できます)。
12月よりこの木道の1部区間の掛け替え工事が実施され、先日ついに通行可能となりました。

素材は道産カラマツ。湿原に混入した場合のことを考えて着色料、防腐材等の薬剤は一切使用していません。
真新しい木材の色が掛け替えていない区間とややミスマッチですが、じきに湿原になじんでいくでしょう。

現在の温根内の木道は、実は2代目。
平成4~5年に設置された初代木道の劣化に伴い、平成11年~12年に掛け替えられたものです。
泥炭という不安定な地盤、水位の変動、厳しい寒さによる凍結など、湿原の環境は木道にとってかなり過酷なもの。
支柱を深く埋め込んだり、横木を渡すなどさまざまな工法の工夫が行われてきたものの、数年間湿原のサイクルに翻弄され続けると、歪みや傾き、木材の腐食が生じてしまいます。

(掛け替え工事の途中の様子 2007年12月撮影。支柱を新しいものに交換し、交換前の古い板をのせてある状態)

(撤去された支柱の木材。設置されていた場所によって劣化の程度に差はあるが変色、腐食がみられる)

ベストと思われる工法をもってしても、現状では数年で掛け替えになってしまうのはやむを得ないようです。

湿原の東側、達古武オートキャンプ場の散策路も、劣化に伴い一部区間を平成16年に掛け替えています(補修未完の区域は通行止め)。
ここの散策路は直接湿原の中に分け入っていく温根内とは異なり、湿原と丘陵地との境目にあります。
さて丘陵沿いなら泥炭上より安定感はあるのでしょうが・・・。

2月に巡視した時の様子です。左側の丘陵地から流れ出る湧水が木道を飲み込むように凍結していました。
凍結の厳しい場所では、一面がスケートリンクのよう。

(標識でかろうじて木道の位置でがわかります)
夏はじわじわと湿原を潤すようにしか見えないのですが、湧水の流出量に驚かされました。
湿原に道をつけるということは、やはり一筋縄ではいかないようです。

木道は私たちの足場となり、安全を確保し、植生を踏みつけから保護するなど適正な利用を誘導するルートとして機能し、自然と向き合う機会を与えてくれます。
あたりまえのように歩いていますが、その場の設置、維持管理にはより深く湿原の自然の有り様と向き合うプロセスが係わっています。
リニューアルされた木道もこれまで通りの木道も、湿原を見に来る多くの方に活用されてほしいと願います。

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2008年02月04日釧路湿原の秘境で「ワイズユース」体験

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

釧路湿原で進められる釧路湿原自然再生事業。
事業を検討する「釧路湿原自然再生協議会」の下には、各事業に関する専門的な内容を話し合う小委員会が設置されています。
 釧路湿原と自然再生に関する普及啓発を担当するのは再生普及小委員会、その中に作業部会として「再生普及行動計画ワーキンググループ(以下WG)」があります。検討テーマは釧路湿原の魅力・楽しみ方を伝える方法や、より多くの人に湿原に親しんでもらうにはどうしたらいいか等で、研究者だけでなく実際に湿原に関する普及的な取り組みを行っている様々な方が委員として参加しています。
*参考(リンク)
・釧路湿原自然再生協議会について→ http://www.kushiro-wetland.jp/
・再生普及行動計画WGの活動について→ http://www.kushiro-wetland.jp/wg/

さて先日、このWGの現地研修にお供して参りました。
研修の行き先は座長の一声で決まったとか。
「冬だし、赤沼に行こう」

赤沼の名前を聞いてピンときた方は、相当な釧路湿原通です。
赤沼周辺は釧路湿原では稀少なミズゴケ湿原が発達する重要な地域のため、国立公園の中でも「特別保護地区」に指定され、保護を最優先と位置づけている場所です。そのため遊歩道等の整備はされておらず、散策ポイントとしてガイドブック等に紹介されることもなく、調査許可を得た研究者などしか立ち入ることはありません。(同じような高層湿原の環境を観察できる場所としては、温根内ビジターセンターから木道が整備されています。)
こんな「秘境」を研修場所に提案した座長は、釧路市ウェットランドセンター主幹の新庄さん。釧路湿原のエキスパートです。もちろん、バックグラウンドは熟知されています。
果たして「冬だし」のココロとは?

当日はお天気も良く、絶好のハイキング日和。
防寒装備を調えて、普段は歩道の上から眺めるだけの湿原にいざ突入です。


植物の専門家でもある新庄座長が、ハンノキ、ホザキシモツケ群落、ヨシ、スゲと移り変わる植物を目の前に、植生と湿原の水位・水脈の関係をわかりやすく解説して下さいました。

湿原を潤す豊富な水。
そのため夏の湿原はぬかるみ、簡単に分け入ることを許してくれません。
しかし冬の厳しい寒さで凍りついた水は、私たちに足場を与えてくれます。

凍った川の上は平坦で歩きやすく(滑りますが)、水上であることをついつい忘れてしまいそうです(・・・と思った矢先、どこかでピシっと不安な音が!やはり自然は侮れない)。
不思議なことに、辿っていた川が突然途切れたりします。湿原の中を通る水脈は、表に出たり、地中に潜ったりしながら大きな河川へと集合していくそうです。
(赤沼の水の出入り口も地中に潜っているとのこと)


水の路が断たれると、ハンノキ林を、ヨシ原を、シモツケのブッシュを、盛り上がったミズゴケとミズゴケの間を、掻き分け縫い縫い進むことに。ぬかるみこそしないものの、地面はでこぼこで歩きにくく、油断すると足下から水がしみ出していてひやり。

ストックでつつくとぼこっと穴が空いて湧き水が!凍りついた冬の湿原でもやっぱり水は湧き、流れ、動いている証拠です。(湿原の底なし沼「ヤチマナコ」じゃなくてよかった・・・でもみんなどんどんつついて水を出す)
もう緊張感といい体力勝負感といい、まさにバックカントリートレッキング。


辿りついた赤沼は白く凍り、青空とのコントラストが見事(思わず空を仰ぎ見る委員も)。

湖面には美しい氷紋ができていました。

厳冬期以外の湿原は、ぬかるんでいて物理的に(安全に、手軽に)歩くことができません。また歩けるとしても、デリケートな湿原植生を踏みつけることになり、大きなダメージを与えてしまうことになります。このような事情から、赤沼に限らず、湿原全般的に遊歩道などから外れて歩く機会が提供されることはなかなかありません。湿原全体が私たちにとって「秘境」なのです。
しかし、実際に湿原に降り立ち、ヨシ原を掻き分け、ちょっとしたスリルと隣り合わせながら「探検」しなければ見ること、感じることができない湿原の一面が確かにあります。

このような歩き方は、「誰でも」「いつでも」「どこでも」「より大勢で」という訳にはいかないでしょう。
「ここはよく水が氾濫する所」
「こういう環境はヤチマナコが多い所」
どこが歩きやすくてどこが歩きにくいか、どこが安全か危険か、どこが強いか脆いか、知り尽くした案内人がいてこそ可能な取り組みだったと思います。
自然を壊すことなく、持続的にその魅力を体験しながら利用する「ワイズユース」という考え方。
植生に影響が少なく、歩きやすくなる冬を選び、フィールドをよく知る案内人が配慮を行いながらの立ち入りは、ワイズユースの一例と言えます。



WG委員の中にも、歩道が整備された場所以外の湿原を今回初めて歩いた方もおいでだったようです。ハードなトレッキングの末たどり着いた赤沼で飲んだコーヒーは、思わぬ味だったよう。色々な意味で「ああこんな楽しみもあるんだね」という感想が漏れていました。
今回の体験が検討に活かされ、ワイズユースの概念とともに湿原の楽しみ方がひろがるとよいですね。

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2007年12月13日御神渡り出現

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

釧路湿原の東側には、かつて海であった名残の湖が点在します。
この季節、凍った湖面に「御神渡り(おみわたり)」が出現しはじめます。

御神渡りは、湖の氷が寒暖の差で収縮と膨張を繰り返し割れ目から隆起していく現象です。
塘路湖に例年より10日ほど早く出現したと情報が入り、早速確認しに行きました。が・・・


収縮と膨張を繰り返すということは、いつも盛り上がっているとは限らない・・・。
私が行った時は氷が緩んで水面がのぞいていました。
高さは今ひとつでしたが、対岸まで見事に一筋に続いている様子がうかがえました。
辺りには氷がぶつかりあう「ミシミシ」「パキン」という音に混じり、これも氷が動くことで出るものなのでしょうか?
音叉のような、あるいは動物が啼いているような、何とも表現しようのない微かな音が響いていました。
この音も「御神渡り」と表現される理由かと思う神秘的な印象を受けましたが、人によって感想は異なるようです。
あなたの耳にはどう響くのでしょう?
氷の織りなす湿原の世界を堪能しに、是非足を運んでみて下さい。

御神渡りは寒さが厳しくなるにつれ高く盛り上がり、その表情を刻々と変え見応えも増していきます。
塘路湖エコミュージアムセンターのスタッフによると、塘路湖で御神渡りができる場所は今回の地点を含め3カ所ほど。
但し、御神渡りの見やすい場所がわかりにくい場合や、見に行く際に私有地を通らせてもらう場合もあるとのことです。
エコミュージアムセンターに立ち寄り、詳しい情報を確認してから見に行くことをおすすめします。

同じ湿原東側のシラルトロ湖、達古武湖も御神渡りができはじめているので、そちらに足を伸ばして観察することもできます。
いずれの湖もまだ氷が不安定なので、必ず岸から観察して下さい。


エコミュージアムは現在改装中ですが、通常どおり開館しています。
映像展示などもリニューアルしたので、是非お立ち寄り下さい。
冬期開館時間 10:00~16:00 
休館日 毎週水曜日 及び 年末年始(12月29日~1月3日)


湖の氷の状態が水鳥の行動を左右することも。
シラルトロ湖では奥のほうで羽を休めていることが多いヒシクイ。
この日は国道沿いから観察できるわずかな開氷面に集中していた。
全面が氷で覆われる日が続くようになると南へ渡るため、姿が見られなくなるのもそろそろ。

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2007年11月07日ウチダザリガニ調査体験会を実施しました

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

釧路湿原国立公園では今年、温根内ビジターセンター周辺でパークボランティアさん達と共にウチダザリガニ侵入防除を目的とした捕獲調査を行っていました。
10月28日は6月から行ってきた調査の最終日、そこで一般から参加者を募って「ウチダザリガニ調査体験会」として実施しました。
好天に恵まれた中、25名の参加者と多くのボランティアさん達と共に、前日3ヵ所に仕掛けておいたカゴ罠を確認してまわりました。

1ヵ所目の湿原内を通る木道の下、2ヵ所目の温根内ビジターセンターから2kmちょっと離れた大島川に仕掛けたカゴ罠には、ウチダザリガニの姿はなく、代わりにかかった(?)ヤチウグイやエゾアカガエルなど在来の生物の観察しました。

そして3ヵ所目は温根内ビジターセンターからすぐ近くの右岸堤防。
ここは、堤防をはさんでビジターセンターに近い側に池が、反対側に釧路川水系の温根内川支流があります。隣り合っていても堤防を挟むので池と支流は水路で直接つながっていません。

池は、ウチダザリガニの捕獲ゼロ。
対して支流では・・・

「うわー!」と歓声が!(←本当は喜ばしくない)
支流に仕掛けた8個のカゴ網全てにウチダザリガニがかかっていました。

数えたところ全部で252匹!かなり大漁です。

カゴから出して、ボランティアさん指導のもとみんなで計測しました。
体長(はさみを除いた長さ)が8~10㎝のものが中心で、最大でも11㎝程度でした。

釧路湿原の主な河川には、広くウチダザリガニが分布しています。
今年温根内の周辺では、この日の分を含め計1,793匹のウチダザリガニを捕獲しました。うち99%が温根内川支流での捕獲。その他は大島川(但し28日に回った地点よりもずっと下流)での捕獲です。
調査した範囲では、湿地や堤防で隔離された池などでウチダザリガニの確認はありませんでした。
このことから、今のところ、侵入経路となり得るこの2つの流路をウチダザリガニが独力ではい出て侵入する可能性は少ない印象をうけています。

堤防を隔てての近接した2つの水辺の捕獲数。0:252。
参加者の一人から、近接した「いない場所」と「いる場所」の両方を見て、「何故生きたまま移動させてはいけないかやっとわかった」、という感想をいただきました。
湖などと異なり、解放水系である河川に入り込んだウチダザリガニの数を減らすのは困難です。
それでも人為的な移動をしないことで自然には侵入し得ない場所への分散は防げます。
今回参加いただいた方をはじめ、一人でも多くの方がこのことを知り、周りの方に伝えていただければと思いました。

さて体験会の最後は、調査だけではなく味も体験ということで、希望者でウチダザリガニを茹でて味見しました。

もともと食用として持ち込まれただけあり、おいしいと大好評!

小さなお子さんもむしゃむしゃ食べていました。
この分だと湿原のウチダザリガニが参加者の食卓へと有効活用されるは・・・近い?

*釧路湿原では「ウチダザリガニを移動させないで」リーフレットを作成し、配布しています。
こちらからPDF版をダウンロードできます。
http://c-hokkaido.env.go.jp/kushiro/pre_2007/0730a.html

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2007年11月02日釧路湿原野生生物保護センター(WLC)

釧路湿原国立公園 釧路湿原 森永 太一

釧路湿原野生生物保護センター(WLC)の庭に生えているオンコ(イチイ)の木には、今年たくさんの赤い実がなりました。

そこへ少し前から、小鳥の群れが毎日せっせと通ってきています。
職員入口近くに生えているため、朝、出勤すると慌てて奥のハンノキ林へ飛び去ります。
それでも、しばらくするとまた戻ってきます。
 
事務所の窓からそっと覗いてみました。



あまり上手に写りませんでしたが、シメが嘴の周りに赤いオンコの実を付けて食べていました。
冬に向け栄養をつけているのでしょうか?
 

センターの裏側を覗くと、大きな池があります。
展示室2階から観察することができます。
その池にカモが姿を現すようになりました。


まだエクリプス(※1)なのでなかなか見分けが難しい種もあります。
これはスズガモです。

これから全面結氷してしまうまで、たくさんのカモが見られるようになります。

是非、ご来館下さい。

※1.エクリプス
カモの仲間は雄雌で体色の違う種類が多く、繁殖期にはオスが派手な色になる。繁殖期以外の時期は、メスに近い地味な色となり、この時期のオスのことを指す。

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2007年10月23日総合学習

釧路湿原国立公園 釧路湿原 森永 太一

釧路市内の中学1年生5名が釧路湿原野生生物保護センター(WLC)へ希少野生動物種について学びに来ました。
「自分達で公共交通機関を使って目的地まで行き学ぶ」という、総合学習の授業でした。

事前に知らされていた時刻になっても生徒達が現れないので心配していると、10分程遅れて現れました。
聞くと、バス停の位置がわからずに通り過ぎてしまい、歩いて戻ってきたとのことでした。
そんなことも、仲間達との良き思い出となるのでしょうか?

どの生徒も初めてWLCを訪れたようで、展示室に興味津々。
講義よりも館内を見て回りたいという感じでした。そんな気持ちをぐっと堪えて、まずはパワーポイントを見ながら希少野生動物種について学びました。

講義の中では、ヒトは地球上に生息する生物全体約30,000,000種のうちのたった1種でしかないことから学び、ヒトの様々な活動により数を減らしてしまった鳥類のうち、道東でみられる国内希少種の紹介があり、また実例として、?天売島における水鳥の問題と対策、?私達の地域に生息するタンチョウに起きている問題とその対策を学びました。

その後、釧路地域と密接に関係しているタンチョウをテーマにして、「タンチョウの抱えている問題」、「私たちにできること」、「周りの人や観光客に呼びかけること」を1人5枚ずつ考えてもらいました。

出してもらった問題と対策を分類していくつかのグループに分け、一人一テーマずつ担当を決め、まとめてもらいました。
最終的に一人一枚の紙になりました。

完成したものは、WLCに展示しています。
是非見に来て下さい。

今回は、身近に生息しているタンチョウの問題を知り、自分達に出来ることを考えてもらいました。
この日感じたこと、考えたことを少しずつでも行動に移してもらえたらうれしいです。

私個人としては、午前中の講義での野生課課長補佐 小野さんからの最初の問いかけ

「なぜ、野生動物を守らないといけないのか?」

が、すごく印象に残りました。

かわいそうだから?
ヒトと同じように他の生物にも権利があるから?
野生生物が住めない環境は、人も住めない環境だから?
・・・・・
 
 皆さんはどう思いますか?

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2007年10月01日秋の気配

釧路湿原国立公園 釧路湿原 森永 太一

釧路湿原野生生物保護センターが閉館する午後5時、少し前までは外はまだまだ夕方という雰囲気で、「さて、仕事が終わったら今日も釣りに行くぞ」っと、張り切っていたのですが、最近ではもう暗くなり始めています。

仕事を終えて外に出ると、肌寒さに身震いしつつ秋の訪れを感じました。
小走りで車に乗り込んで駐車場からセンターの入口へ向かうと、茶色の小石のようなものがヘッドライトに照らされアスファルトの上にたくさん落ちているのが目に入りました。小石でもないし、枯れ葉でもないようです。気になって停まってみると、ピョンピョン跳ねています。どうやら、エゾアカガエルのようです。

夏の暑い時期、雨が降った日にたくさんのエゾアカガエルが出てきているのは見たことがありましたが、この時期にこんなに出てきているのを見るのは初めてでした。(ただ単に今まで気付いていなかっただけかもしれませんが・・・。)

冬眠のための場所と普段生活する場所が違うため移動しているのでしょうか?
移動するのであれば、?規則性など無く、個々が好き勝手な方向へ移動し、冬眠に具合の良さそうな場所を見付けて落ち着くのか、?臭いなどの人が判別できない何らかの刺激を頼りに目標に向かって移動しているのか、はたまた?毎年自分の場所を覚えていてそこへ何らかの能力を使って戻っていくのか。もしそうだとしても、今年生まれた個体は?か?の方法を使って場所を見付けなくてはならないのでしょう・・・。

また、どのような外的環境変化そして体内変化によって行動が起こるのでしょうか?
・・・・

自然というのは観察すればするほどいろいろな発見、そして謎がうかんできます。
常に判らないことだらけです。
だから、もっともっと観察したくなるんでしょうね。



エゾアカガエル

■環境省からの連絡■
カエルなど両生類に感染するカエルツボカビについて
http://www.env.go.jp/nature/info/tsubokabi.html
 

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2007年09月25日「はたち祭り」でクイズラリー実施

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

釧路湿原は今年、国立公園指定20周年を迎えました。
最後の大きな20周年記念イベント「はたち祭り」が9月23日に実施されました。
これは釧路湿原に関連する各団体によるネットワーク型のイベントで、環境省は2つの催しを実施しました。
航空写真の床面パネルの展示「釧路湿原を写真でかっぽ」、そして温根内ビジターセンター周辺の木道での「秋の湿原クイズラリー」です。

「秋の湿原クイズラリー」は、5ヵ所のスポットを回って解説&クイズを受けたらスタンプをもらえる仕組みとし、全て集めた方には「エコバック」などをプレゼントしました。
何よりこの企画は、パークボランティアさん達(釧路湿原ボランティア・レンジャーの会)の全面的な協力によって実現しました。
釧路湿原のパークボランティアさんの中には、ほぼ公園指定当時から活動されている方も多く、様々な知識やノウハウを持っておられます。
今回は短い準備期間の中、解説やクイズの内容などを各担当で用意して頂くことになりましたが、お得意のプログラムを披露して頂いた方、解説初チャレンジで一からがんばって頂いた方、裏方に徹して頂いた方と、それぞれにご活躍頂きました。
改めてマンパワーのすばらしさ、実感です。
ではここで、ボランティアさんによるプログラムの一部をご紹介。

「やちまなこ」(=湿原の水たまり)の深さを調べてみよう!
何メートルあるかな?
実際に棒を入れて確かめてみる。

木道に「タヌキ」出現!

実は湿原の食虫植物「タヌキモ」の解説でした。

10時から2時までの間で、100人近い方が参加され、子供から大人まで「楽しかった」と好評でした。特にタヌキやタンチョウのコスチュームは大いに受けていました。
ボランティアの皆さんにとっても、地元の方、観光でいらした方と湿原のお話を通して交流し、楽しいひとときだったようです。

ボランティアの皆さんそれぞれがお忙しい中で、今回のようなプログラムは頻繁には実施できませんが、熱いリクエストがあれば復活もあるかも?

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2007年08月27日オニクワガタ

釧路湿原国立公園 釧路湿原 森永 太一

温根内ビジターセンターの休館日対応に行ってきました。

以前にこのアクティブレンジャー日記で紹介していますように(06/7/20 磯野AR)、7月中旬から8月末まで(概ね本州の夏休み期間)、温根内VC・塘路湖エコミュージアムセンターを無休で開館しています。
その対応で週一回ずつ、アクティブレンジャーとボランティアレンジャーが各センターを開館しています。

さすがに本州ではまだまだ夏休み中とあって、たくさんの観光バスがたくさんのお客さんを運んできました。時折、センター内が人でごった返すこともあります。

昼頃に来られたお客さんは、木道の奥(高層湿原)でタンチョウを観たと教えてくれました。センターで借りた双眼鏡が大活躍だったようです。
そんな中、珍客もありました。


オニクワガタです。
体長2.5cmと小型ですが、これでオスです。
よく見ると意外と立派なアゴを持っています。

僕は長野で生まれ育ったので、夏休みは毎日カブトムシやクワガタを採りに行きました。
ラジオ体操を終えてから。夕食後の暗くなってから。
一日二回、近所の友達と共に自分達で見付けた秘密の場所へ通っていました。他の人が採りに来ることのない、まさに秘密の場所。知っているのは見付けた僕達の仲間数人だけ。
レジャーシートと、夜は懐中電灯を持って集合し、自転車で向かいました。木の下にレジャーシートを敷き、思いっきり木を蹴って揺らすと、ボトッボトッと音を立てて、シートの上にたくさんのカブトムシ、クワガタが落ちてきました。
懐かしい思い出です。

話が逸れましたが、当時は見たことが無いばかりか、その存在すら知らなかったオニクワガタ。
初めて見付けたのは、昨夏でした。

調べてみると、全国に分布しているようです。
樹液に集まらないらしく、それ故、僕らのような採集方法では捕まらなかったのかもしれません。
灯火に集まり、朽ち木などで見られる種類で、あまり生きた樹木では見られないようですが、今回は撮影のために樹木に掴まってもらいました(不勉強でした・・・)。
撮影の後は、もちろん元の場所に戻しておきました。

※温根内木道を訪れる方へ一言アドバイス
木道をまわる前に、センターに寄っていきましょう!!


今咲いている花情報、タンチョウやシマリス、シマヘビなどの目撃場所などが、自然伝言板や職員から得られます。
また、双眼鏡を貸し出ししている他、木道の地図もあります。
もっと詳しく知りたい方には、温根内木道のガイドブックも販売しています。

ビジターセンターで準備を整えてから、短い夏の終わりを惜しむように賑わう木道へ出発しましょう。

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2007年08月22日ヤチボウズはどこに?

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

夏は「ヤチボウズはどこに行ったら見られますか?」という質問をよく受けます。
旺盛に茂る植物がヤチボウズを覆い隠してしまい、わかりにくくなってしまうからでしょう。初めて湿原を訪れた方には、豊かな緑の下にヤチボウズがぽこぽこ並んでいるとは想像がつきにくいと思います。

湿原の地面からボール状に高く盛り上がるヤチボウズ。その正体は、カブスゲなどのスゲ類が前の年までの根の上に新しい根をはって年々株を成長させたものです。
湿原の至る所で見られるシンボル的存在です。

1枚目の写真は5月中旬、2枚目は本日(8月22日)、ほぼ同じ場所から撮影したもの。
5月はヤチボウズ(スゲ)一辺倒ですが、今は紫色の鮮やかなサワギキョウを筆頭に、モザイク状に様々な植物が見られます。
地面から隆起したヤチボウズは、ちょっと湿地が苦手な植物にとってはよい足場となるので、宿主以外の植物も「寄せ植え」のように便乗することがあります。逆にヤチボウズ同士の谷間は水が溜まりやすく、水位の高い場所が好きな植物にとっては天国となりえます。
ヤチボウズの生み出す微妙な地形は、湿原の花々の配置を決める要素の一つとなっているのです。

サワギキョウは今が盛りで、8月いっぱいは楽しめます。
さてサワギキョウが生えているのはヤチボウズの上?それとも谷間の方でしょうか?
植物の生え方から想像してゆくと、隠された坊主姿が見えてくるかもしれませんよ。

5月中旬のヤチボウズ芽吹きのころ

今の状態:たくさんの花が咲き、ヤチボウズの面影はないように見えますが・・・

サワギキョウ:今の釧路湿原はこの紫色とセリ科の白い花とのコントラストが見事。

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