ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園

70件の記事があります。

2016年09月30日「ちょっと川の様子を見に行ってくる」

知床国立公園 ウトロ 桑原 靖則

 まさかもう、9月が......終わる......!?

 今年は台風に次ぐ台風で、雨に降りこめられているうちに夏が終わってしまった感のある知床国立公園・ウトロの高橋です。冬の爆弾低気圧による暴風雪には慣れましたが、夏にこんなに台風が直撃するのは初めてです。北海道は台風来ないんじゃなかったのかー!!!

 

 さて、嵐の日の決まり文句と言えば「ちょっと川の様子を見に行ってくる」ですが、我々も8月から10月にかけ、近隣の河川へ巡視に行きます。何を見に行くかというと......。

 

ウトロの町と知床国立公園の境界を流れる幌別川

ウトロの町と知床国立公園の境界を流れる幌別川

 

 ウトロの町外れにあり、知床国立公園との境界線となる幌別川。その河口では8月中旬頃からカラフトマスが遡上を始めており、マス釣りの人々で連日大盛況です。しかしマスを狙うのは釣り人だけではなく......そうです、ヒグマです。今まで蟻などを舐めてギリギリ口を糊していたヒグマ達ゆえ、マスの遡上は待ちかねた瞬間なのでしょう。人がいようが爆竹を鳴らされようが、退かず、媚びず、省みない、覚悟が完了している個体が居着いて、釣り人とヒグマの接近遭遇トラブル(釣り人が自転車のサドルを壊される、ザックを奪われる、釣ったマスを奪われる等々)が連日発生していました。

 

 環境省や林野庁、北海道、斜里町、知床財団ら行政関係者で構成され、知床におけるヒグマ関連の諸問題に連携して対応にあたっている「知床ヒグマ対策連絡会議」では、今回の事態を重く受け止め、このままエスカレートしていけば人身事故発生待ったなしであるとして遂に「幌別川河口への立ち入りを当面禁止する」という緊急措置を決定したのでした。

 

立入禁止の看板とロープが設置された幌別川河口

立入禁止の看板とロープが設置された幌別川河口

 

 巡視をしていて感じるのは、ベテランから初心者の方まで、知識や意識にだいぶ差があるということです。声をかけると「知ってる知ってる、全部ちゃんと持って帰るから」と魚の残滓が入ったゴミ袋を見せてくれる方がいる一方で、川辺に血のついたエラや内臓が散らばっていたり......。シーズン中は毎日入れ替わり立ち替わり大勢の釣り人が昼夜問わず訪れるわけで(良い釣り場所をとるために深夜1時~2時から河口に向かう方も!)、人によって知識・意識がまちまちなのもしょうがないのかもしれません。

 

釣り人でにぎわう日中の幌別川河口。朝夕のマズメ時には人が倍増する(らしい)

釣り客でにぎわう日中の幌別川河口。朝夕のマズメ時には人が倍増する(らしい)

 

 とはいえ「これぐらい、大丈夫だろう」という行動が積もり積もった結果、ヒグマが人と食べ物を結びつけて学習してしまうと、もはや釣り人だけに限った話ではなくなり、まったく関係のない人々までヒグマに襲われかねません。よって緊急措置として今回の立入禁止になったのですが......。大多数の良識ある釣り人、これまでルールを守って釣りをしてきた皆さんの立場になってみれば、ごく一部の心ない方のためにバッサリ全面立入禁止とは納得いかん!という気持ちは想像に難くありませんし、正直、個人的にも共感してしまうところです。

 

 この立入禁止措置を受けて、地元の方を含む幌別川常連の釣り人達から「今回の立入禁止に関して説明を受け、話をする場を設けてほしい」という声が上がり、去る9月8日、釣り人達との意見交換会が開かれました。

 

地元釣り人と行政関係者間でおこなわれた意見交換会

 

 長年、幌別川で釣りに親しんできた地元釣り人達の思い、現場でヒグマ対応に追われる職員らの葛藤等々、活発かつ建設的な意見が交わされ、最終的に次の3つをおこなうことで幌別川の立入禁止解除を検討する方向で結着したのでした。その3つとは......

 

1. 釣り人らで団体を立ち上げ、ルールの周知・違反者への注意をおこなうこと
釣り人ら有志による団体「幌別の釣りを守る会」を立ち上げ、上記2点を含む幌別川の安全な釣り利用のルールについて、釣り人同士で周知しあう。ルールに違反している場合は注意し、改善を促す。

 

2. サケマスの残滓は投棄せず、回収ボックスに入れること
幌別川河口にサケマス残滓回収ボックスを設置し、さばいた内臓等はすべて臭いが出ないようビニール袋等に入れた上で、このボックス内に保管するなど管理を徹底し、ヒグマを誘引しないようにする。

 

3. 荷物の管理を徹底する
荷物を肌身から離さず管理して、ヒグマに奪われないようにする。

 

 

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 9月16日、幌別川の立入禁止が解除される日が来ました。河口の手前には、ヒグマでも破壊不可能な鋼鉄のサケマス残渣回収ボックス「とれんベア」が設置されています。その隣に新たな幌別川利用ルールを示した大看板が、「幌別川の釣りを守る会」会員らと行政関係者らによって打ち立てられ、立入禁止の立札とロープが回収され、晴れて再び幌別川の釣り利用が解禁となったのでした。

 

幌別川河口に設置された大看板

関係者らによって幌別川河口に設置された大看板と「とれんベア」

 

 「釣り人とヒグマの問題」は、毎年サケマス遡上の時期になると繰り返されてきました。知床では人とヒグマに関わる課題がいくつもあります。あちらを立てればこちらが立たないような難題ばかりの中、今回の一件のように行政だけではなく、利用者も含めたすべての関係者が話し合い、協力しあって建設的な方向に前進したのは、とても素晴らしいことだと感じています。もちろん今回設置された残滓回収ボックス等々も正しく使用されなければ元の木阿弥......ですが今後「ちょっと川の様子を見に行ってくる」のが楽しみになりました。

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2016年08月03日夏の知床峠、目に映るのは外来種

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 ついにやってきました8月!夏真っ盛り!

 皆さん、夏休みのご予定はしっかりと組まれているでしょうか?

 暑苦しい都会の夏とは異なり、知床・羅臼の夏は晴れていても薄らと雲がかかっていることが多く、涼しさを感じる日々が続いております。

 観光目的で沢山の方が訪れるこの時期、ほとんどの方が知床峠に足を運びます。知床峠からは知床最高峰である羅臼岳を目前にすることができ、日によっては大雲海や国後島を一望することができます。さらに、夜は手軽に星空を味わえる絶好の観光スポットとなっています。

眼下に広がる雲海と羅臼岳を望む(2016年7月撮影)                      羅臼岳と雲海

知床峠から眺める満点の星空。天の川もくっきり!(2016年7月撮影)                      夜の知床峠


 この知床峠へ向かう道、知床横断道路では意外と沢山の花が咲いています。エゾノリュウキンカやチシマノキンバイソウ、チシマフウロ、ミヤマキンポゲ、ミズバショウなどです。ウトロ側では湿地が道路沿いにあり、ミズバショウの群落が見られる箇所もあります。

 しかし、それらの花々より多く目にするのが外来種です。フランスギクをはじめ、セイヨウノコギリソウ、コウリンタンポポ、ヒトフサニワゼキショウなどが花の季節になると道路沿いや法面一面に花を咲かせます。

フランスギクによって覆われた法面(2016年7月撮影)                   法面を覆うフランスギク

 今年はヒトフサニワゼキショウの防除を実施しましたが、個体数が非常に多く、根絶が難しい状況です。

ヒトフサニワゼキショウの花と袋いっぱい防除したヒトフサニワゼキショウ(2016年7月撮影)       左)ヒトフサニワゼキショウの花    右)防除した袋いっぱいのヒトフサニワゼキショウ

 アクティブレンジャー2人では人員不足と思いますが、知床横断道路は歩行者用の道が非常に狭いため、安全を確保することが難しいだけでなく、最近では知床横断道でヒグマが頻繁に確認されていることもあり、人を集めて防除活動を行うことが難しい状況です。できる範囲で地道に優先順位をつけながら防除を続けていくしかありません。

道路沿いに現れたヒグマ。車との距離は10mほど。(2016年7月撮影)                   防除活動中に現れたヒグマ

     注意)大変危険ですので、写真の様にヒグマと遭遇しても車両を停車しないでください。


 羅臼岳や知床連山の登山道等に外来種が大量に入り込む様な事態は生じていませんが、海岸線など、人の利用が多い場所では外来種の侵入が多数、確認されています。

 知床の自然が次世代に受け継がれていくためにも、一人一人の行動が自然にどれだけ影響を与えるのか、考え、責任をもって利用していただけたらと思います。

 靴の裏をきちんと洗うことで、外来種の拡散、侵入の予防になります。できるところから心掛けていただければ幸いです。

※余談ですが、知床横断道路の知床峠から羅臼湖入口間においてスミレやシロスミレ、ヒオウギアヤメ、

 ホザキシモツケ等の在来種が確認されています。本来、この周辺はハイマツ、ダケカンバが群落を形成して

 おり、林床はササが繁茂している地帯であることから、彼らが生育するにはあまり好ましい環境とは思えま

 せん。もしかすると、彼らも外来種(地域移入種)なのかもしれません。

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生態系被害防止外来種リスト(環境省)↓

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/files/gairai_panf_a4.pdf


環境省が実施している防除活動↓

http://www.env.go.jp/nature/intro/4control/bojokankyo.html

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2016年07月19日これからどうなる?野付の花々

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 7月を迎え、いよいよ夏本番。知床の山々でも花が美しく咲き乱れております。今回は、道東でも一二を争うほどのお花畑、野付半島の状況をご紹介します。

 野付半島は長さ28km、日本最大の砂嘴であり、ラムサール条約湿地の一つです。コクガンやオオハクチョウ、沢山のカモ類などが見られる場所として有名ですが、エゾカンゾウやセンダイハギ、ハマナスが咲き乱れるお花畑としても名高い場所です。

 例えば、エゾカンゾウ。およそ6月の中旬頃から7月前半にかけて、エゾカンゾウが砂丘一面を覆いつくし、黄色い絨毯が敷かれた様な景色を作り出してくれます。

黄色い絨毯の様に一面に広がるエゾカンゾウの群落とエゾカンゾウ個体(2016年6月撮影)左)エゾカンゾウの群落 右)エゾカンゾウ

毎年私たちを楽しませてくれる花々ですが、近付いてよく見てみると・・・


花茎が食べられているエゾカンゾウ(2016年6月撮影) ぽっきりと花をつけていた茎(花茎)の先が無くなっているものがありました。こんなことをするのは誰でしょう。それは北海道ではお馴染みの生きもの、そう、エゾシカです!

 エゾカンゾウは昔からエゾシカに食べられていたと思われますが、近年、急激にエゾシカが増えたことにより、影響が懸念されるようになりました。羅臼羅自然保護官事務所では、その影響を見るために、毎年被食状況(食べられているエゾカンゾウの状況)を調べています。調査地点を幾つか定めて実施しているのですが、場所によって花が咲く前にほとんどが食べられてしまっていたり、そもそも花茎がほとんど確認されなかったという状況が確認されています。

通常通りエゾカンゾウガ咲き乱れている調査地点(2016年6月、7月撮影)                       調査地点

  1. 左)2016年6月撮影 右)2016年7月撮影

通常だと、このようにエゾカンゾウガ咲き乱れるのですが・・・

シカの影響を受けてエゾカンゾウの花茎ほとんどが被食されていた調査地点(2016年6月、7月撮影)                       調査地点
               左)2016年6月撮影 右)2016年7月撮影

場所によってはほとんど花が確認されませんでした。
※どちらもエゾカンゾウの群落に調査地点を設置しています。

 まだ、野付半島では目に見えて大きな影響が出ていない状況かもしれません。しかし、なんらかの手立てをしないと、今後、貴重な植生がなくなるかもしれません。また、植物が影響を大きく受けると、それを食べていた昆虫などの他の生きもの、ノサップマルハナバチ等の希少野生生物が姿を消すことにつながることも考えられます。

 人にとっても、野生生物にとっても憩いの場であるお花畑を、今後も注意して観察していきたいと思います。

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2016年07月13日海鳥WEEK2016!7/16(土)~7/31(日)

知床国立公園 ウトロ 笠井 憲子

 夏です!海鳥です!ウトロの夏イベント海鳥WEEKです!

 今年も海鳥WEEKの季節がきました。

 絶滅危惧種のケイマフリをはじめとした海鳥を通して、知床の海の環境保全と適正利用を考えていく海鳥WEEK2016が開催されます。

 海鳥WEEKは、知床ウトロ海域環境保全協議会が実施しており、当ウトロ自然保護官事務所も参画しているイベントです。

 海鳥WEEKの期間は、7/16(土)~7/31(日)。イベントが盛りだくさんです。

 ・海鳥サンセットクルーズ(夕暮れ時に出航する海鳥WEEK限定ツアー)

 【日時】7/30(土)17:40出航~18:40帰港

 【参加費】3,000円(要予約)

 【申込先】知床小型船協議会 事務局TEL:0152-24-3231

 【特典】海鳥ハンドブックプレゼント!双眼鏡レンタル無料。

     海鳥の観察がゆっくりできます。

 ・うみどりトーク(海鳥の専門家による解説トーク)

 ≪大型観光船おーろら号船内にて≫」

 【日時】7/22(金)・7/27(水)硫黄山航路8:15出航~9:45帰港(乗船料3,100円)

     7/24(日)・7/26(火)知床岬航路10:00出航~13:45帰港(乗船料6,500円)

 ※観光船おーろら号に乗船した方が対象となります。

 ≪ウトロのホテルにて≫

 【日時】7/21(木)20:00~21:00 知床グランドホテル 北こぶし

     7/23(土)20:30~21:30 知床第一ホテル

     7/25(月)20:00~21:00 知床プリンスホテル

     7/26(火)20:00~21:00 ホテル知床

 【入場料】無料

  ※宿泊者以外の方も、自由に参加できます。

 ・企画展「知られざる海の鳥たち」

 【日時】4/20(水)~9月末 8:00~17:30

 【場所】知床自然センター

 【入場料】無料

 ・知床海の写真展

 【日時】7/16(土)~8/10(水) 8:30~17:30

 【場所】知床世界遺産センター

 【入場料】無料

 http://dc.shiretoko-whc.com/keimafuri/panf/index.html

 知床で海の環境について考えてみませんか?

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2016年06月01日ダニにご注意を

知床国立公園 高橋法人

 最近はここ羅臼町でも気温が20度を上回るようになりました。

 屋外に出て、自然散策や登山ができる機会が増え素晴らしいことではあるのですが、野外には多くの危険があります。

 その一つがヒグマです。知床ではヒグマとの接触が多く、巡視中でもたびたび目にします。


 ヒグマは大きいもので体重300kg以上もあり、また時速50km以上で走行が可能と言われており、確かに、その身体能力は人間にとって脅威です。できるだけ野外では接触したくないものです。


 しかし、それ以上に接触する機会があるのが、


 こちらのマダニです。

 北海道の山野ではヤマビルに咬まれたということは聞きませんが、ダニに咬まれたということはよく耳にします。ダニは疾病を感染(ライム病など)させるおそれもあり、微小な生物ですが侮ることはできません。


 通常、マダニは茂みの中にひそみシカやクマなどの哺乳類が通過した際にとびうつり吸血します。

(エゾシカの目のまわりの赤い点やできものが、「マダニ」です。目の周りの柔らかいところに

 寄生する傾向があります。)

 しかし、そうした環境を人が利用するとダニが付いてしまうことがあります。それはマダニが哺乳類の二酸化炭素や熱を感知して宿主を探りあてるためです。


 個人的な経験では、素肌をさらして野外を歩かない、特に笹などの植物に触れたらすぐに接触した箇所を調べたりはたいたりする、といったことでダニに咬まれる確率を減らせていると感じています。



 ちなみにダニは水中にもいます。

(アカミズダニ属の一種)

(ヨロイミズダニ属の一種)

 こちらも水生のダニです。


 いずれにしても「ダニ」なので、生物に寄生し体液を吸入することで栄養を摂取します。

 こうした水中のダニは主に水生昆虫等に寄生しているようです。

(水生ダニに寄生されるクロカワゲラ)


 ダニも色々な種類があり興味がつきませんが、皮膚の上をマダニが歩いているとどうしても慌てて取り除いてしまいます。

 昆虫や動物と異なり、細かな作業ができる手をもつ人間は、ダニがついても取り払える余地があるといえます。



 皆様も外出の際はお気をつけ下さい。

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2016年05月16日白樺、青空、南風

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太


満開のエゾヤマザクラ

 灰褐色だった山肌に新緑が芽吹き、枯野が青々と草花で覆われ、これはまぎれもなく......春到来!!!!と思ったらゴールデンウィークは大雪でした。車の冬タイヤはGW明けまで換えない知床国立公園・ウトロの高橋です。

 

 4月20日の知床五湖開園を皮切りに、今年も知床の観光シーズンがスタートした感があります。

 

知床五湖・地上遊歩道の除雪

知床五湖の一年は除雪から始まる

 

 毎年知床五湖の開園日に先だって実施しているのが、遊歩道の除雪作業です。地元のネイチャーガイドの皆さんや、園内の運営を担う知床財団の皆さん、斜里町役場・北海道庁・環境省といった各行政機関関係者らが総出で、冬の眠りについている知床五湖を叩き起こすが如く除雪をおこなうのが慣例になっています。

 

 この冬は降雪が少なかったため、「今年は除雪が楽でいいね」などと言っていたのですが、帳尻を合わせるように連休初日から季節外れの大雪が降り、道路が閉鎖され、これに伴って五湖も連休前半は生憎の閉園続きでした。

 

白銀の知床連山

大雪のおかげで白銀の輝きを回復した知床連山

 

 知床五湖に続いて開くのが「知床横断道路」です。その名の通り、知床峠を越えて半島を横断しウトロと羅臼を繋ぐこの道路。冬の間、車で2時間半かかっていたウトロ~羅臼間をその5分の1、30分の距離に短縮してくれます。

 

知床横断道路開通式

今年も無事開通を記念して開通式がおこなわれました

 

残雪の羅臼岳

知床横断道路から知床峠に登り、残雪の羅臼岳を望む

 

 知床峠は暖かい日差しにウグイスの鳴き声が響き、なんとものどかな雰囲気。ですが残雪の上を吹き渡ってくる風は冷え冷えとして、冬の名残を感じさせます。峠から見える羅臼岳・南西ルンゼの広大な雪渓には、春のザラメ雪を楽しむバックカントリースキーヤー/ボーダー達の姿が......(うらやましい)。

 

海に向かって続くオープンバーン

山腹から海に向かってオープンバーンが続く

 

 日一日と暖かさを増していく知床はこの後、6月にカムイワッカ湯の滝への道路が開通、7月に羅臼岳の山開き、と続いていよいよ夏のハイシーズンに突入します!知床の夏はとても短いものですが、動物も植物も長い冬を堪え忍んだ分一気に燃え上がるかのような、濃密な夏......それはまるで、儚い一夏の恋にも似た――今年の夏休みは是非、知床でアバンチュールを体験してみませんか!!!!

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2016年03月07日May the ice be with you.

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太

 今年は暖冬と聞いていますがここ知床ウトロも然り。例年に比べて降雪が少なく、晴天の日が続いています。昨年のドカ雪(ウトロの観測史上最高となる積雪200cmを記録)を思えば、生活しやすさの点では暖冬はありがたいのですが、重大な問題が一つ―流氷が来ないッ!!!来ないと困る知床国立公園・ウトロの高橋です。

 

沖合に見える流氷

来そうで来ない流氷(画像中央)

 

 網走地方気象台が発表した今年の「流氷接岸初日」は2月22日と、1959年の統計開始以来最も遅いものとなりました。例年ならば1月下旬には接岸している印象があるのですが、今年はウトロの海が流氷に覆われたのは2月に入ってからでした。

 

流氷に覆われたウトロ近海

流氷にガッツリ覆われたウトロ近海

 

 なかなか来ない流氷に対し、来なくていいのにきっちり来るのがそう、暴風雪です。今年も2月29日・3月1日と道東沿岸を大型の低気圧が通過して、最大瞬間風速30mの吹雪&1m先すら見えないホワイトアウト、追突事故多発、道路閉鎖、そして陸の孤島――。

 

閉鎖された道路

閉鎖されたウトロ唯一の出入口

 

 とは言うものの、もはや冬の低気圧で道東が大変なことになるのは毎年恒例なので、良いのか悪いのかすっかり慣れてしまいました。

 そんな暴風雪で外に出られない時に何をしているのかというと......

 

スタイロフォームを削る高橋

「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!」

 

遠目から見たスタイロフォームを削る高橋

(スタイロフォームを削っています)

 

スタイロフォームを削る笠井AR

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

 

遠目から見たスタイロフォームを削る笠井AR

(スタイロフォームを削っています)

 

と、主にスタイロフォーム(※発泡スチロールに似た建築資材)を削っています。

 

 削るとどうなるのか?上の私、高橋が削っているものは海鳥ケイマフリの巣の模型に、下の笠井ARが削っているものは知床半島のジオラマになります。これは当ウトロ自然保護官事務所も参加する「知床ウトロ海域環境保全協議会」の活動の一環で、ウトロの海についての展示物を制作しているところなのです!4月20日、新装オープンする知床自然センターで公開されますので、乞うご期待!

 

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 ここ数日で異様に気温が上がったところに雨まで降り、もの凄い勢いで雪解けが進みました。折角やってきた流氷も、早々に海の藻屑となってしまうのでは......と一抹の寂しさを覚えますがしかし、流氷が解け、海中に植物プランクトンが解き放たれることは、知床の豊かな生態系を育む最初のステップでもあります。流氷は消えてなくなるのではなく、姿形を変え、知床に生きる動植物達の胸の中に......May the ice be with you.

 

 知床の新たな一年がまた、始まろうとしています。

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2016年02月01日ワレカラの姿は見えぬ

知床国立公園 高橋法人

 ワレカラというのは、軟甲綱端脚目に分類される生物で、海中の藻の中に生息しており、世界中に様々な種類がいます。


(ワレカラ属の一種、羅臼沖産)


 名前の由来は、食用の藻を乾燥させると表面にワレカラの死骸が残ることがあり、それが割れた殻に見えたので、ワレカラと呼ばれるようになりました。

 また、古くから和歌の題材とされ「我から」という言葉にかけて秋の季語として詠まれていたそうです。




     ワレカラの 姿は見えぬ 冬の海

 と一句詠んでみましたが、海中の藻の中にいるわけですからどんな季節だろうとその姿を地上から見ることはできません。


 ただ先日海中から引き上げられたロープを見る機会があり、そこにはおびただしい量のワレカラがくっついていました。


(ロープの中でうごめく無数のワレカラ。海藻と同系色)


 おそらくはこの無数の命が支えとなり海洋の生態系が保たれているのでしょう。

 こうした微生物から魚類へ、魚類からそれらを餌とする海洋性哺乳類や海鳥に命のリレーはつながれていきます。豊かな漁場であり、また希少なワシ類や鯨類が訪れる羅臼の海においてもそれは変わることはありません。


(ワレカラをつつくカモメ)


(鷲も海産物をよく食べます)



ここで締めの一句

          我知らず うみを育む われたから

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2016年01月29日海ワシ展開催中!

知床国立公園 笠井 憲子

 冬です。知床への流氷の接岸はもう少しですが、ワシたちは来ましたよ。

 ワシたちが来たことに併せて、知床世界遺産センターでは『海ワシ展』を開催中です。

 入口をくぐると、オオワシのハンズオン(触れる展示)がお出迎えしてくれます。

 オオワシとオジロワシの見分け方が学習できるコーナー。

 尾の形や滑空する翼の見え方で見分けて下さい。

 昨年に引き続き『あなたはどっちが好き?オオワシ対オジロワシ』も行っております。

 皆さんの投票により、人気のワシがわかる参加型の企画。どんなとこが好きなのか。ワシ愛を語っちゃって下さい。投票は始まったばかり、スペースはまだまだあります。1月29日現在、10対11でオジロワシが僅差で優勢となっております。

 生息状況調査の結果も速報が掲示されています。私たち、アクティブレンジャーが調査しているデータの公開です。

 これから2月に向かって、ワシたちの数はどんどん増えてくるはずです。

 今年の新しい企画『ワシをさがせ!』は、アクティブレンジャーが行っている調査を疑似体験できます。

 写真のどこかにワシがいます。探してみて下さい。難しい問題もありますよ。ぜひ、挑戦してみて下さい。

 開催期間:平成28年1月16日(土)~平成28年4月上旬ごろまで

 開館時間:9時00分~16時30分(毎週火曜日休館)

 知床にお越しの際は、知床世界遺産センターにもお立ち寄り下さい。

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2015年12月04日知床・羅臼の海岸線ゴミ回収調査報告

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 11月24日(火)に全道で記録的な雪が舞い降りた日を境に、知床・羅臼でも雪を目にしない日が、終わりを告げました。今回のアクティブレンジャー日記は、そんな羅臼にやってきて1年目、降り積もる雪にめげまいと奮闘中の宮奈がお送りいたします。

 私が勤めております羅臼自然保護官事務所では、毎年10月から11月にかけて、1週間に1回の頻度で羅臼から知床岬方面へ向かう海岸線において、ゴミ回収調査を実施しています。知床の陸と海をつなぐ海岸線がどのような状況にあるのか、今年度の調査状況とその結果を紹介させていただきます。

 調査は大きく分けて2区間で行っています。両区間とも世界自然遺産地域に含まれています。

 1区間目は、国立公園の境目、ルサフィールドハウスから道路が途切れる相泊までの国道沿いです。ここは羅臼昆布を浜で干しているなど、漁業活動が活発に行われており、瀬石温泉や相泊温泉といった観光スポットもあるため、シーズン中は人の出入りが多い場所です。

 2区間目は、相泊から海岸線を歩いて2時間ほどで到着する観音岩までの区間です。知床岬へ続くトレッキングコースの一部で、道路はなく、年間を通して漁業関係者以外の出入りが少ない場所です。ただ、サケ・マスのシーズンには釣り人が多く訪れる場所であり、昆布番屋も数多く残っていることから、漁業利用も活発に行われいます。

 今回は、1区間目の調査について紹介していきます。

ゴミ回収調査地、海岸線をはしる国道沿いの様子(2014年11月撮影)

調査地の様子(左手に見えるのがルサフィールドハウス)

 世界自然遺産地域。その名に恥じぬよう、ゴミはほとんど見られないはず。しかし、実際に調査をしてみると...

調査中に回収された缶ゴミなど(2015年10月撮影)

あ・・・

調査中に回収された煙草の吸殻などのゴミ(2015年10月撮影)

うーん・・・

海岸線で見られたビニール袋などのゴミ(2015年10月撮影) おお・・・

 思っていたよりもかなりのゴミが放置されていました。

 どのくらいかといいますと・・・

一度の調査で回収された200ℓ以上のゴミ(2015年10月撮影)

 このぐらいです。

 多い時で200ℓを越えるゴミが一度の調査で回収されました。

 (実際、1度で回収できるゴミの量は限りがあるため、回収しきれないゴミも多々あります。)

 最も多く回収されたゴミは缶やペットボトルでした。そのほとんどが清涼飲料水の入っていたものです。次いで多かったのが発砲スチロールでした。これは主に漁業由来のゴミではないかと思われます。また量こそ少ないのですが、数が多かったのが煙草の吸殻です。道路脇に放置されていることが多く、缶に詰めて放置されていることもありました。

 ゴミを回収していて気が付いたことは、多く回収されるゴミのほとんどが、持ち帰ることのできるゴミだということです。また、ゴミの量や劣化の状態から、誤って落としてしまったというより、特に気にもせずゴミを放置している様子が伺えました。

 私たちから出るゴミは、現代においてそのほとんどが自然に発生しえないものです。自然の中に放置してしまえば、それを壊す原因になるのも当然と言ってもよいものです。

知床の陸と海、自然の営みをつなぐ海岸線が、これ以上ゴミで溢れないように、ゴミが減っていくように、知床を利用する全ての方々に今一度、ゴミに対して正しい認識をもつことが求められていると思います。

 ゴミも人が作り出したものですから、人が責任をもって扱う必要があることを、私たちが意識して自然と向き合うことが大切なのではないでしょうか。

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