ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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苫小牧

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2012年05月10日迷子のアザラシさん

苫小牧 平 尚恵

どうもお久しぶりです。
GWの桜もあっという間に飛んで行き、もうすぐそこに夏がやって来ていますね。
さて、実はこの時期はある生き物の出産期なのです。
ある生き物とは・・・そう! ゼニガタアザラシです!

胆振地方の沿岸部では、ゼニガタアザラシの大群が今まさに出産ピークを迎えているのですが、明るい話題の裏には悲しい現実もあるもので・・・
なんと5月7日~9日にかけて毎日1頭、計3頭の子アザラシが保護されてしまいました。(9日の子は残念ながら搬送途中で死んでしまいました。)
この子達は皆、周辺に親がおらず漁港の陸地でぐったりと衰弱しているところを発見され通報されました。

…….5月7日…午前9時……電話が鳴り保護の一報が入る………..
さぁ、ここでアクティブレンジャーの出番です!!
鳥類や陸生ほ乳類には多少の経験がありましたが、海獣はまったくの初めて!!
さすがに緊張します。
事務所の本棚にあった、ゼニガタアザラシの本をつかみ取り車に乗り込んで気がつきました、運転してたら本が読めない・・・。

いろいろな状況を想像し対処法を考えながら現地に到着。
受け取った赤ちゃんは、ぐったりと寝そべっていて辛そうに呼吸をしていました。

「スー、フー、スー、フー」と荒い呼吸が続き「フーッ」と大きく息を吐きます。
体がぶるぶると震え、私には寒そうに見え自分のジャンパーをかけてみました。
水に濡らしたティッシュを口元に近づけて水を飲ませようとしますが口を開けてくれません。 
とにかく急いで水族館へ搬送しなければ! 赤ちゃんに負担をかけないように慎重に運転しながら、たまに様子をうかがいます。やはり辛そうに息をして震えている。
ハンドルを握る手が汗ばみます。

ようやく小樽市 小樽水族館へ到着し、獣医さんに強心剤や抗生物質の注射を受け、飼育員の方がミルクに浸した魚を与えます。しかし、魚を口の中に押し込んで飲ませようとしますが飲み込んでくれません。体力を回復させるためにはなんとか食べて欲しいのですが・・・。それでもお母さんのミルクには何も敵わないそうです。
どうしても食べてくれないので、次の日からゴムチューブを胃の中まで挿入してミルクを直接流し込み与える事になりました。


オス・体重14.46kg・体温36.8度


「どうか宜しくお願いします。」 獣医さんに今後の治療をお願いし帰路に付きました。

しかし、嫌な出来事は続くもので・・・

…….5月8日…午前9時……またしても電話が鳴り保護の一報が………..

昨日の隣町、同じ状況でへその緒の付いたゼニガタアザラシの赤ちゃんが保護されました。
やはりぐったりしていますが、車に移動すると「コォー、コォー」とお母さんを呼んでいるかのように何度か鳴きました。
よかった、声を出す元気はあるようだ。

体温を素手で確認すると明らかに体が熱く発熱していることがわかりました。
アザラシの平熱は36.8度程度と人間の赤ちゃんくらい、私たち人間の大人としては少し高めな温度です。
(※36度を下回ると低体温で危険だそうです。)
水を与えますが、やはり飲もうとはせず、「フー、フー」と荒く早く呼吸をしています。

搬送途中、今まで静かに寝ていた赤ちゃんがいきなり騒ぎ始め、「コォー、コォー」と鳴きながらごそごそと動き出しました。
一体どうしたのかとバックミラーで覗いたその時!! 
車の中に何とも言えない甘い香りが立ちこめてきました。
そう、う○こをしたようです。 
鳴いて知らせるなんて、やっぱり人間と一緒だなぁと感動していましたが、さすがに密室では厳しい。 
高速のパーキングに止めて様子をみると、まさにお尻がう○こまみれ、さらにオシッコもしたようで体がぐっしょり濡れてしまっていました。
体が濡れたままだと体温が下がるので、オシッコなどを拭き取り乾かしてあげるとすっきりしたのかあくびをしてゴロンと寝返りを打っていました。

しかし呼吸は依然として荒く、あくびは酸欠の症状かもしれないので窓を開け空気を入れ換えて再度水族館に向けて走り出しました。

やっと水族館に到着し、昨日のように注射や採血を受けます。
獣医さんが言うには、昨日の子よりもさらに危険な状態だそうで、体全体がむくんでおり、左の顔が全体的に腫れていて化膿していることが気になるとの事でした。



オス・体重12.72kg・体温39.5度(発熱しています) 前足には犬のような爪が。 体温を確かめようとした私の指をギュっと握りました。
 


帰りに昨日の子の様子を見てきましたが、顔を起こせるようになり少し回復してきているとの事でした。しかし、いつ様態が急変してもおかしくないとのことで予断は許さないとの事でした。

環境の仕事をしていると、種単位や群れ単位で生き物を見なければなりません。そうしなければ自然環境という大きなフィールドでのシステムを理解出来ないからです。
しかし、種や群れはたった1つの個体(1匹、1羽など)から成り立っているものであり、個体とは学問では計り知れない生命の原点である存在なのです。

目の前の命に向き合いながら、地球規模で自然環境、生物多様性を考えていかなければと再確認した2日間でした。

3匹のゼニガタアザラシから、忘れかけていた大切な事を思い出させてもらった出来事でした。毎日の生活に流されず、信念を持って生きてゆこうと再決心したのでした。





9日に保護された子は、残念ながら搬送中に死亡してしまいました。

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2012年03月30日救命救急パート2

苫小牧 平 尚恵

みなさんこんにちは。

ウトナイ湖では氷が溶けている面積が多くなり、それに伴って鳥たちの姿もちらほらから、いつの間にか湖の辺り一面にマガンを中心に鳥の群れ群れ群れ!!
といっても昼間は餌場に行っているので、早朝と夕方にしかこの様子は見れないのですが、現在は約5万羽のマガンがウトナイ湖をねぐらにしています。
しかし4月上旬のピーク時には9万羽を超えることでしょう。


さて、今回もまたまた傷病鳥のお話です。
出来れば新しい命の誕生なんて、暖かいお話を伝えたいのですが、それはもう少し待ってくださいね。

先週の3月21日午後に、空知振興局管内でオジロワシが飛べずに道路をウロウロしているところが発見されました。
また時を同じくして、留萌振興局管内でもオジロワシが保護されました。
なぜか傷病鳥の発見は重なることが多いのです。天候の影響か、ただの偶然なのか、統計を取って行くうちに何か見えてくるかもしれません。

今回は同時進行で事が起こりましたので、混乱しないように空知個体をS1、留萌個体をR2と呼ぶことにしましょう。

【S1】
経緯:21日、発見の通報・夕方に捕獲
        ↓
   22日、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターへ収容。その日の内にレントゲン写真撮影・血液検査・鳥インフルエンザ検査(陰性)を実施
容体:左翼のとう骨と尺骨を複雑骨折していた
処置:ピンニング手術という骨にピンを挿入し骨折箇所を固定する術式で手術を行い、創外固定術という方法で外側からも骨を固定した。
現在は骨がつくまで、絶対安静とする。


骨折部位の診察の様子。


鳥類はとう骨の方が尺骨よりも細く人間とは正反対である。


【R2】
経緯:21日、カラスの足をくわえた状態で発見
      ↓
   21日、一晩、羽幌海鳥センターで収容
      ↓
   22日、翌日、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターへ収容。その日の内にレントゲン写真撮影・血液検査・鳥インフルエンザ検査(陰性)を実施
容体:自分の足では立つことが出来ず、羽を広げて体を支えることで起き上がっている状態。(かなり痛々しい姿です)まず考えられる要因は、腰周辺の骨のトラブルや何かしらの中毒症状。
処置:血液検査による鉛中毒の検査を行うも、結果は正常値。何が原因なのか不明。
しかし、25日から自力で立てるようになりケージに移すと、飛べました!!
現在は経過観察中。



羽を広げて尻もちをついたような姿勢でやっと状態を起こしている。


せめてR2 だけでも渡りに間に合わせてあげたい!!
S1については、骨折の具合からリハビリの長期化が予測されますが最善を尽くして野生復帰につなげられたらと思います。

野生動物の救護には賛否両論はありますが、私はこう考えます。
目の前に消えそうな命があったなら、考えるよりも先に体が動いてしまうもの!! 
命にはそれくらいの力強さがあるのだと思います。


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2012年03月16日オオワシのその後。

苫小牧 平 尚恵

みなさんこんにちは。
いかがお過ごしでしょうか?


さて、今日は前回登場したオオワシについて動きがありましたので、ご報告致します。

なんと!

オオワシちゃん (多分メスです) が釧路のワイルドライフセンターへ旅立ちました。


今回の移送は個体の野生復帰を第一優先に考えた結果でした。
理由その1:骨に異常があり、リハビリが長引く可能性がある。
リハビリが長引くと飛翔能力がどんどん低下していくため、ワイルドライフセンターの広いリハビリケージで長距離の飛翔訓練が必要。
理由その2:個体は約2歳と若いので精神的に多少落ち込みぎみである。
そのため大勢の仲間がいるワイルドライフセンターが環境としてはより良い。 

このような理由から、この度2月25日に無事釧路へ移送されました。
しかし、骨折の具合があまりよくないので今後飛べるようになるかは不明です。


なお、こちらがしょんぼりと落ち込んでいる様子の写真です。
人が近づくと、みるみるうちに姿勢を低くして、こんな姿になってしまいます。




オオワシは本来、状態が悪くても人が近くにいるとシャキッとしていて人が立ち去るとクタっとなるのですが、この個体はまったくの逆です。
予測ですが、人に対してトラウマのようなもので、メンタル的に弱っているのかと思われます。

しかし、これは悪いことばかりではありません。
なぜなら、野生復帰の可能性のある個体は絶対に人に慣れてはいけないからです!!

人に慣れてしまうと野生に戻しても、また人間の生活圏内に必要以上に接近してしまい人由来の事故(交通事故、建物との衝突など)にあう可能性が高くなってしまいます。
ですので、保護された野生動物にはなるべく人間に対して嫌な記憶を残してもらい二度と人間には近寄りたくないと思ってもらって野生に返すことが重要になってきます。

野生動物にとっては、我々レンジャーであろうとも、優しい気持ちで助けてあげようとするみなさんでも関係なく、全員敵!!!  なのです。

保護された個体は、きっとこう思っているでしょう。
「いったいこいつらは、私に何をする気なのだろう。きっと殺されて食べられてしまうのだろう。ならばいっそ楽に死なせてくれ。」※私の勝手な想像によるコメントです。

保護されること、治療を受けること、私たちの好意からくるすべての行動が怖くて怖くてたまらないのです。

そして、それほどの恐怖を与えているんだな。と思うと捕獲時や搬送、治療の時には必要最低限に接触を押さえ、収容中も心配ですがなるべく見て見ぬふりをしてあげたいなと思うのです。

そんなことで、話が少しずれましたがオオワシがワイルドライフセンターでしっかりとリハビリをして、春の渡りの時期に仲間達とロシアの大地へ帰って行くことを願っておわりにしたいとおもいます。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

PS:ハヤブサは今のところ、元気にごはん(ヒヨコ)を食べていますよ!
   骨折していた骨には、手術でピンを入れ骨がうまくつくように安静にしながら様子を見ています。

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2012年02月16日救命救急の現場から~

苫小牧 平 尚恵

こんにちは
今日は、保護された野生動物がどのようにセンターへ収容され、治療を受け、自然界に帰って行くのか、あるいは残念ながら死んでしまうのか、そのような生死を扱う現場からの1ページをご紹介します。

速報!
2012・2・10 午後
野生生物課の電話が鳴った!

上川総合振興局管内にてオオワシが、渡島総合振興局管内にてハヤブサが保護されたとのこと。
※以下、出血を伴う写真がありますのでご注意居下さい。

以下が発見から治療までの流れだ!!

保護個体:オオワシ
1、衰弱しているところを地元のハンターさんが発見・保護収容
2、環境省職員による受け取り・搬送
3、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターへ収容
4、診察:鳥インフルエンザの検査、血液検査、呼吸状態の確認、触診、体重測定等
5、内服薬を投薬し、呼吸管理を行いながら様子を見る
6、自発採餌(自分からエサを食べている)有り
今後は、内服薬の投薬を続けながら、リハビリケージ内にて経過観察とする。



※写真をクリックすると大きくなります。


保護個体:ハヤブサ
1、飛べずに居るところを発見・通報(左翼から出血あり)
2、北海道職員による一時収容
3、環境省職員による受け取り・搬送
4、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターへ収容
5、診察:血液検査、呼吸状態の確認、触診、体重測定 (気管より出血あり)
※明らかな外傷として左翼の骨折があったので鳥インフルエンザの検査は行わず。
6、安静の保持
7、動物病院にて、レントゲン写真による骨折部分の確認、場合によっては骨にピンを通して骨を着ける手術を行う。
今後は、安静を保ち経過観察とする。






と、このように我々が日常の生活を送っている中で、
かたや命の危機に瀕している生き物がいる。
そしてその命を脅かしている要因が、我々の日常生活の中に潜んでいる場合があることも心に留めておいて下さい。
沢山の命の死の上に我々の生があることを忘れてはなりません。

もちろんそれは人間にも同じく言えることで、世界中には我々が普段なら気にもとめないような些細な出来事でさえ、夢のような幸せであるとうい現実の中に生きている人々もいます。
そんな、当たり前のこと「命の大切さ・尊さ」についてこの日記を見て思い出してもらえればと思います。


両個体の今後については、状況が変わり次第みなさんにお伝えしていこうと思います。
元いた自然に帰れるその日まで!!





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2012年01月16日遅ればせながら新年のご挨拶です。

苫小牧 平 尚恵

Happy new year ! Best wishes from lake Utonai :D


明けましておめでとうございます。
今年もウトナイ湖を、どうぞ宜しくお願い致します。

さて、ウトナイ湖は鳥獣保護区ということで、こんなウトナイ湖の住人からの新年のご挨拶はいかがでしょうか。


実際にはハガキ?より少し大きいくらいです 2012年1月11日撮影




みなさん誰だかお分かりですか?



ヨチヨチ歩き? 2012年1月11日撮影

こんな風に少し引きずって歩きます。

雪原に残る生き物達の足跡は、真っ白いキャンパスにダイナミックに描かれていて、どれも著名な芸術家の作品に負けない優美なものばかりです。
足跡写真は一回はまるとかなりのめり込める趣味になりそうですよ。



正解はこのひと

雪の白さを反射して、眩しいくらいにきれいですね 2012年1月11日撮影


そう、ハクチョウです。(オオハクチョウ)




きっとこの二羽はつがいでしょうね。



晴天の中、なんともすがすがしい表情でくつろいでいました。
2012年もウトナイ湖に訪れる多くの鳥達のために、自然環境豊かなウトナイ湖を残して行きたいなと感じた1日でした。

現在ウトナイ湖では、道の駅の湖岸にはオオハクチョウやオナガガモ。
少し辛抱強く対岸を観察しているとオオワシやオジロワシといったダイナミックな猛禽類を見ることが出来ます。
街の中心部近くでワシ類が見られるなんてこれもまた、ウトナイ湖の魅力の1つですね。

センターには大型の望遠鏡もありますので、オオワシが見られるまで粘ってみてはいかがでしょか。

それでは、本年もどうぞ宜しくお願い致します。



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2011年10月14日はるばると

苫小牧 平 尚恵

ウトナイ湖に渡り鳥がやってくる季節になりました。

先月の9/17に”ヒシクイ”を初確認
それに続けと、”マガン”が9/23、”コハクチョウ”が10/1に
続々とやって来ました。

現在、ウトナイ湖では、それぞれ合わせて約5000羽が長旅の疲れを癒しています。


では、写真をいくつか~

こちらは「コハクチョウと大きなウンチ」です。ウンチは白鳥の左右横、と上の黒い太い物です。

10/4撮影
コハクチョウといえどもかなり大きめの糞をします。まるで大型犬の糞みたいですね。


続いては「コハクチョウの昼寝」です。

10/4撮影
立入規制のロープのすぐ目の前で寝ていました。人間が近くにいてもおかまいなしです。



最後に「ヒシクイ第一陣」です。

10/4撮影
ズームでみるとマガンも混ざっていますかねぇ?

これからがぜん賑やかになり、鳥たちの合唱が響き渡るようになってきます。是非、皆さんもウトナイ湖に足を運んでみて下さいね。

ウトナイ湖へお越しの際には、ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(道の駅隣)へお寄り下さい。
センターで最新情報を入手されると、よりウトナイ湖の自然と野鳥観察を満喫して頂けると思います。



※鳥の観察では、人と鳥の気持ちの良い距離を保ちましょう。




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2011年08月09日ハヤブサのリリースから思うこと

苫小牧 平 尚恵

8月8日にハヤブサのリリース(自然界に返すこと)がウトナイ湖野生鳥獣保護センターにて行われました。






最終チェックを受けるハヤブサ




この個体は、2009年3月30日函館市内で保護されました。
保護当時は、脱水症状があり腕の骨(尺骨)が骨折していましたが手術をして、2年半のリハビリの末に今回のリリースに至りました。


※ハヤブサは、"国内希少野生動植物種に指定されレッドリスト絶滅危惧Ⅱ類"に位置しています。
簡単に言うと、絶滅の危機が増大している動物ということです。

例えば、北海道を代表する大型のフクロウ「シマフクロウ」は、国内希少野生動植物種に指定されており、レッドリスト絶滅危惧ⅠA類に位置しています。
この絶滅危惧ⅠA類とは、近い将来に絶滅の危機が極めて高いという意味です。
もっと簡単に言うと、シマフクロウは北海道に約130羽~150羽しかいません。 これは、人間の人口を考えると容易にどれだけ少ないのか感じられると思います。
詳しいレッドリストの対象種については環境省ホームページを参照ください。http://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html

今回リリースしたハヤブサは、無事に草むら奥の木の方へ飛んで行きましたが、1年半も保護されていたので長い時間飛べる体力や、生きた餌を捕ることができるかどうか心配なところです。




元気に飛んで行きました。




しかし、本来は野生動物は人間に触られたくもなければ、ましてや狭い部屋で飼われるなんてもってのほかです。 本人達に聞いたわけではありませんが、自分が野生動物なら、自然界で自由に生きていたいです。


なので、この放鳥個体も再保護されることなく、自力で生きて行き、自由を勝ち取ることを願っています。


野生動植物や飼育動物の保護や管理については常に賛否両論がありますが、「もしも、自分が野生動物や植物、飼育動物だったら」と考えると簡単に答えが見つかるんじゃないかな?? と、思っています。 
そこには、難しい学問的な研究や、道徳的思想、はたまた難しい法律などじゃなく、「相手の気持ちになって考える」その事が一番最初にくる一番大切なことなんじゃないかなー。


人間生活においても同じことですよね。

簡単な事を簡単にできる人間がいっぱい増えたら地球はきっと、もっといい所になると思うんですよね。

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2011年07月12日傷病鳥獣の救護講座に参加しました

苫小牧 平 尚恵

先週の土曜日にウトナイ湖野生鳥獣保護センターにて開催された 
 ”平成23年度 第1回傷病鳥獣救護ボランティア入門 技術講座” に参加してきました。


この講座は、野生鳥獣が人為的な要因で保護された。または、保護を必要とす
る傷病鳥獣について、一般救護と重油汚染救護に内容をわけて行われます。
次回の講座は ”平成23年度 第2回 傷病鳥獣救護ボランティア養成講座”と題して、1月21日(土)を予定しています。


今回の講座では、重油汚染にあってしまった海鳥の体から、油を洗い落とす方法を教わりました。

午前中は座学にて、専門家の方から
・海鳥とは?
・センターの役割について
・油の洗浄方法につて

といった流れで学びました。 かなり専門的な内容も含んでいて
一緒に講義を受けていた小学生達も真剣に聞き入っていました。




午後からは実際に鳥の死体(保護されたが残念ながら助からなかった個体、すでに死んでしまっていた個体)を使って、保護個体と治療者の安全確保のための保定方法(個体の動きを制限すること)を学び、その後 
洗浄→すすぎ→乾燥までを行いました。

海鳥の羽は、他の陸の鳥に比べると、ダウン(羽軸がないフワフワした羽)
が密に生えています。
このことから、空気の層がしっかりできて、”水に浮ける、保温、撥水”の効果がとても高いのです。

なので、洗浄するときに逆立てるように洗ったり、擦りつけると空気の層が作れなくなり水に浮くことが出来なくなったり、水が肌に直接触れて体温が下がってしまいます。

そのため、参加者の皆さんも真剣な表情で実技に取り組んでいました。





最後に、質疑応答の時間があり、参加者の皆さんも積極的に質問していました。



いつ何時、自分の身近に助けを必要とする生き物達がいるかもしれません。
そんなとき、今回のような救護の知識や技術を存分に発揮できるように勤めていきたいと感じました。

また、今回の参加者の皆さんが救護の最前線となって活躍されることを願っています。


さて、もう少し野生鳥獣の救護についてお話させてください。

救護が必要な生き物とそうでない生き物がいます。

人の手が必要な生き物:人為的要因でケガをした(人工物への衝突など)
       油汚染や科学薬品汚染にあった固体

人の手が必要ない生き物:巣立ち直後でうまく飛べない
            野生動物同士の争いでケガをした固体
        
なぜ、救護を必要としないのか??
それは、野生下(人間が関わらない世界や生活の中で起きることは、自然なことなので、人間か関わるべきではない。自然界の自然な出来事に人間はお邪魔してはならないのです。

でも、数の少ない生き物は人間が助けなきゃならないんじゃないの??
それは、なぜ数が減ってしまったのかを考えると見えてきます。

人間が森の木を切り、川や海を汚し、空に有毒ガスをまき散らす。
毛皮や食料として捕まえて殺してしまう。
こうしたことで、住む場所や命そのものを失い数が減ってしまった生き物が
地球上にはたくさんいます。
そういう生き物に対しては、人間が責任をもって手を貸し、助けてあげなければならないのではないかなぁと、私は思います。

皆さんはどう思いますか??




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2011年06月06日ウトナイ湖 湖畔道が一部開通!!

苫小牧 平 尚恵

新聞などでご覧になった方も居るかと思いますが、先週の3日金曜に今までウトナイ湖 湖畔と道の駅の間に設置されていたフェンスが一部分取り外されました!!




(立入禁止の頃)




(フェンスカット)



と言うのも、先月に行ったカモ類とハクチョウ類の糞の調査結果が、鳥インフルエンザ陰性で、警戒レベルも2から1へと下がったからです。(^0^)


これで、道の駅やウトナイ湖野生鳥獣保護センターにいらした方も、より近くでハクチョウなどの水鳥を観察出来るようになりました。







しかーし!!! 私はとても心配しています(><)

何がそんなに心配かというと・・・


水鳥と人の距離が近くなったことで、どうしても鳥にエサをあげてしまう人がいるからです。

基本的に野生動物には、食べ物を与えてはいけません!!

なぜか???


その1:
 野生動物にエサをあげると、彼らは「人間からエサを貰ったほうが自分でエサを採るより楽じゃーん。もう自分でエサ探すのやーめた。」と言う感じに、自分でエサを探して食べるという、野生の中で生きるために最も必要な能力を失ってしまうのです。


その2:
 人と野生動物の距離が近くなりすぎてしまうから。
 この問題は、日光のニホンザルの問題が有名ですね。観光客から、食べ物を奪い取り時には人を傷つけてしまうこともあります。
 これは人が、野生動物を私達の身近なペットと混同してしまい、安易に野生動物に食べ物を与てしまい、ほんうの野生の怖さを引き出してしまったことによるものです。野生動物は、ペットとは違うのです。

  
その3:
 これは特にウトナイ湖での話ですが、以前に人が与えた食パンを喉に詰まらせ窒息死したハクチョウが居ました。 
 基本的に野生動物は、人間とは違い、彼ら独自のお気に入りの食べ物があります。
 それは、今に至るまで長い年月をかけて、体をその食べ物に合わせて進化させ適応してきたからなのです。 そうすることで、他の生き物と同じ食べ物で争わなくてすむんですね。すべてに共通するわけではないですが。 なので、慣れない食べ物では体がびっくりしちゃうんですね。
 


他にも、野生動物にエサを与えてはいけない理由がありますが、これからウトナイ湖に行かれる方には、このことを十二分に理解していただいて、エサをあげたい気持ちを抑えいただければと思います。

野生動物とは、適切な距離を保ちつつ彼らの生活を尊重して見守ってあげましょう。


さて、今回はもう一つちょっと気持ち悪い写真をUPします。





この子達は、エゾシロチョウという蝶の子供達です。
彼らは、みんなで仲良く自分たちの家を造って暮らしています。

家というのは、この真っ白な布団。 

自分たちで糸を吐いて一生懸命造りました。

彼らはとっても寂しがりやで、一匹にすると寂しくて死んでしまいます。
可愛いでしょう。

そんな彼らは、敵が近づくと、とっても可愛い威嚇ダンスをします。

頭を左右に”フリフリ””と全く怖くない。。。 

写真を撮る私に、必死に威嚇していました。 笑


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2011年05月17日ご挨拶

苫小牧 平 尚恵

はじめまして。 H23年5月付けで着任しました、平 尚恵です。

担当は、苫小牧市のウトナイ湖、美唄市の宮島沼です。
ただ、自然保護官事務所に勤務している他のARさんとは少し違い、普段は北海道地方環境事務所野生生物課(札幌)に席を頂いています。

とはいえ、現在までの外勤と内勤の割合は、ほぼ半々。

かなり、アクティブに北海道内の素敵ポイントを渡り歩いています。
走っているかも・・・



これからどんどん現地のステキ写真&ステキ自然情報をお伝えできるよう頑張りますので、よろしくお願いします。







写真は4/5の夕暮れにウトナイ湖 湖畔で撮影したオオハクチョウです。


??オオハクチョウとコハクチョウの違いは??
外見:オオハクチョウはコハクチョウよりも、くちばしの黄色部分が大きく鼻孔まで切れ込んでいて、頸も長い。
声:両者共に「コー」と鳴くが、オオハクチョウはコハクチョウよりも高い声で鳴く。

こんなふうに違いや特徴がわかるといっそう可愛く見えますよね。

どんな生き物にも愛情を持って、同じ地球の住人として尊重し合いながら生きていきたいですね。

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