えりも自然保護官事務所
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2017年08月16日ドローン・センサス
えりも自然保護官事務所 近藤武
ハイ!突然ですが、問題です。「この中に、ゼニガタアザラシは何頭いるでしょう?」
毎度おなじみ、襟裳岬のゼニガタ君の登場です。岩の上でひなたぼっこをしているところへ、こっそりおジャマしてみました。 背中のゼニ模様や個々の表情もはっきり見えて、予想を超えるビックリでした。(ビックリしているのは、彼らの方かな??)
当事務所では「ドローンによるゼニガタアザラシの個体数調査(ドローン・センサス)」を実施しています。ド ローンのおかげで、遠くの岩場やその裏側もばっちり観測できるようになりました。テクノロジーの進歩は素晴らしいですね~。
さて、正解は「97頭」でした。
「個体数を調べる」と言っても、そう簡単なことではありません。ドローンの整備から始まり、天候や干潮時間のチェック、風 や波のコンディション、フライト後には写真の確認、などなど。正確で信頼できるデータを集めるためには、毎日の地道な積み重ね が重要になります。相手は自然の生き物なので、妥協はできません。ドローン・センサスによって集められたデータは、科学委員会 の議論で生かされます。詳しくは、私の前回の日記をご覧下さい。
※ドローンの離着陸時には危険が伴いますので、操縦者から離れるようご協力をお願いします。
(航空法に基づく許可を 得て飛行しています)
2017年07月28日えりもの漁業とゼニガタアザラシ
えりも自然保護官事務所 近藤武
報告が遅れてしまいましたが、今年の春も乗船調査を行いました。
毎年、5月から7月に実施される春定置網漁では、えりも名物の「トキ(トキシラズ、春鮭、時鮭)」が獲れます。脂がのったトキは、焼き魚やルイベに絶品。しかし、特産品のトキを狙うのは漁師だけではありません。
襟裳岬の岩場で寝そべる「ゼニガタアザラシ」もまた、トキを狙っているのです。町のシンボルでもあるアザラシですが、漁師が仕掛けた定置網に忍び込み、トキを食い散らかして逃げていきます。かつて、ゼニガタアザラシが少なかった頃は、このような被害は目立つものではありませんでした。しかし、生息数の回復に伴い、トキの被害も目に見えて増え、漁師にとって深刻な問題となってしまいました。
環境省では、漁業被害の調査や防除実験、ゼニガタアザラシの個体群管理などの事業を通じ、漁業とゼニガタアザラシの問題解決を図っています。冒頭で紹介した乗船調査も、その一つとして続けられています。
これらの事業は、漁業やアザラシの専門家で組織された「ゼニガタアザラシ科学委員会」での議論を通じて、具体的なアイデアやアドバイスを得ながら進められています。これまで、委員会は札幌で開催されていましたが、今年の6月は、えりも町で開催することができました。
委員会の前には、実際の定置網漁を見学する機会があり、漁師さんの苦労や現場感覚などを、直接体験していただきました。充実した議論のために、こうした工夫は欠かせません。
苦労は絶えませんが、一歩ずつ、漁業とゼニガタアザラシの共存に向けて進んでいるはず。
その日まで、暗中模索の毎日です。
▼環境省の事業や科学委員会の資料は、こちらで公開しております。
2017年07月05日アクティブ・レンジャー写真展-えりも-開催中
えりも自然保護官事務所 近藤武
えりもにも短い夏が訪れました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
先日、大雪・渡邉ARの日記でも紹介しましたが、アクティブ・レンジャー(AR)写真展についてのお知らせです。写真展は北海道各地で順次開催の予定ですが、現在、えりも町・風の館で開催中(7月1日~23日)です。
開催前日、写真展のセッティングを行っている様子です。作業は一苦労でしたが、創意工夫・試行錯誤の連続で、さながら学校祭の準備のようで楽しかったです。(作業には、町役場の職員さんが駆けつけてくださいました。この場を借りてお礼申し上げます。)
無事作業が終わり、AR12名の渾身の作品が並びました。ぐるりと並ぶ作品に囲まれると圧倒されてしまいそうです。北海道のAR写真展は初めての試みです。不慣れな部分もあるかもしれませんが、我々ARの手作りの写真展が完成しました。えりもにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
★ご観覧の際には、アンケートへのご協力をお願いしております。アンケートご記入の方には、もれなく、特製のポストカードをプレゼントしております。
えりも・近藤AR
2017年03月29日ゼニガタアザラシ学習観察会 in えりも
えりも自然保護官事務所 近藤武
風が暖かくなり、北海道のえりもにも春がやって来ました。
「何もない春」と歌われて久しいですが、えりもの海にはゼニガタアザラシが住んでいます。
昨週、襟裳岬「風の館」にて、「親子で考えよう!ゼニガタアザラシ学習観察会(主催:北海道日高振興局)」が開催されました。
日高管内から合わせて50名の親子にご参加いただきました。
写真は、講師の中岡さん(えりも町郷土資料館館長)です。
私からは、ゼニガタアザラシがかつて絶滅に瀕したこと、近年では個体数が増えて漁業者との間に新たな問題が現れたこと、現在環境省が進めている対策などについて解説いたしました。
えりも町での、人とゼニガタアザラシの関わりから、共存のために何が必要なのか。
親子で考えていただけましたでしょうか?
その後、岬の先端まで歩きゼニガタアザラシを観察しました。
天候にも恵まれ、春の風が心地よく流れていました。
岬のゼニガタは、まだあまり上陸していませんでしたが、あと一ヶ月ほどで出産期を迎えます。その頃にはゼニガタの子供達(パップと言います)がたくさん見られるようになります。
参加された皆さんも、そうでない方も、ぜひ、ゼニガタアザラシの観察にいらしてください。
2017年02月09日アザラシ通信 冬の襟裳岬より
えりも自然保護官事務所 近藤武
「えりもの冬」......と聞くだけで寒さを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
えりもはまさに極寒の地。。。。。。かと言うと、実はそんなことはありません。
気象庁のHPで公開されているデータを基に作成した、北海道各地の1月の平均気温(2008-2017年の平均値)です。
えりも岬の1月の平均気温は「-1.9℃」。実は、函館よりも暖かいそうです。
えりもは海が近いからなのか、意外と暖かいのですね。
しかし、えりもの冬をなめてはいけません!!
気象庁HPのデータによれば、2017年1月の「えりも岬の最大瞬間風速」は、「35.5 m/s」だったそうです。
(1月の北海道の観測点の中で最大値でした。天気予報等で用いる用語では、秒速30~40mの風は「何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある。」として紹介されています。侮れない。)
えりもにお越しの際は、安全運転でよろしくお願いします。
さて、えりも岬のゼニガタアザラシは、この時期に何をしているのでしょうか。
気になったので、えりも岬へ見にゆきました。
(左)昨年の秋のえりも岬 (右)今年の冬のえりも岬
えりも岬の様子です。去年の秋と比べてみました。この時期のえりも岬は、岩は白く凍り付き、波も高く荒々しい姿です。岬の先端は特に風が集まるポイントなのですが、冬になるといっそう厳しい環境になります。
さっそく、望遠鏡で岩場の様子を観察しましたが、アザラシはなかなか見つからず。。。
諦めかけたその時!!
一頭だけですが、アザラシを発見できました。
2mはあろうかという、大きなアザラシです。
(若くて小さな個体は、上陸できないのかもしれませんね)
しかし、荒波にもまれて海に転げ落ちてしまい、別のアザラシと一緒に泳いでいきました。
えりも岬の厳しい海の中でも、アザラシたちは必死に生きているのでした。
おわり。
おまけ。
このアザラシの写真を撮るために開発した装置のご紹介。
「フィールドスコープ」に「デジカメ」を縛り付けて、超望遠カメラに改造。
写真が撮れるのはもちろん、デジカメが勝手にピントを合わせてくれるので使い勝手も良くなっている。
電池切れにはご用心。
2016年12月14日【日高山脈】ペラリ山 ~登山調査報告~
えりも自然保護官事務所 近藤武
こんにちは。えりもの近藤アクティブです。今回のAR日記では、ペラリ山での登山調査についてご報告いたします!8月以降、台風の影響もあって予定通りの調査ができなかったこともあり、ご無沙汰してしまいました。今年の登山調査報告はこれで最後となります。さて、ペラリ山という山をご存じでしょうか?ペラリ山は、日高山脈から西に離れたところにそびえる標高718mの低山です。気軽に登れる山でありながら山頂からは日高山脈を一望できるので、日高地方の隠れた名山と言える山かもしれません。
調査当日。風の弱い穏やかな日でしたが、初冬の凍てつく寒さに顔面が凍り付きそうでした。おそらく、氷点下なのでしょう、水たまりも凍っていましたので、防寒対策万全で望みます。駐車場からはしばらく林道を歩くのですが、体を温めるためのちょうどよいウォーミングアップといったところでしょうか。林道の終わりから登山道が続きます。道は不明瞭ですが、踏み跡をたどりササを漕ぎ分けて進みます。歩き始めて1時間少々で山頂に到達です。
東の方。秋も終わりを迎えた北海道。手前に見えるのはピセナイ山です。遠くに見える日高山脈の主稜線には真っ白な雪を見ることができます。ダケカンバの枝で若干見晴らしは悪いですが、白く輝く初冬の日高山脈に感動です。
西の方。太平洋の青い海がまぶしく乱反射しています。水平線の向こうには、樽前山も見えていました。山も海も楽しめるペラリ山。さすがです。
下山途中。静内御園に広がる牧場の景色を楽しみながらの下山です。ペラリ山は抜群の眺望にお手軽に巡り会える山でした。この景色を楽しむためには、葉をつける前か落葉の後の登山がオススメですね。以上、登山調査報告でした。ではではみなさま、また来年の報告をお楽しみに!
最後に
以上、AR日記の場をお借りして、えりも自然保護官事務所が行った登山調査についてご報告いたしました。ところで、当事務所が行う「調査」は他の事務所で行う「巡視」とは、何が違うのかと疑問を持った方がいらっしゃるかもしれません。そこで、私達が日高山脈で行っている「調査」について、その背景を説明いたします。長文になります。
<自然公園>-----------------------------------------------------------------------------------------------------
国立公園、国定公園および都道府県立自然公園の3種類を併せて「自然公園」と呼び、これらは自然公園法という法律や都道府県の条例に基づいて指定されています。北海道には、6箇所の国立公園、5箇所の国定公園および12箇所の道立自然公園があり、日高山脈は襟裳岬周辺地域とともに「日高山脈襟裳国定公園」に指定されています。
≪北海道の自然公園の区分≫
国立公園 |
国定公園 |
都道府県立自然公園 |
我が国の風景を代表するに 足りる傑出した自然の風景地 |
国立公園に準ずる 優れた自然の風景地 |
優れた自然の風景地 |
・利尻礼文サロベツ ・支笏洞爺 ・釧路湿原 ・知床 ・阿寒 ・大雪山 |
・大沼 ・網走 ・日高山脈襟裳 ・暑寒別天売焼尻 ・ニセコ積丹小樽海岸 |
・野付風蓮 ・松前矢越 ・厚岸 ・檜山 ・朱鞠内 ・天塩岳 ・斜里岳 ・恵山 ・狩場茂津多 ・北オホーツク ・野幌森林公園 ・富良野芦別 |
国立公園や国定公園では、「特別地域」内での樹木の伐採や工作物の建設などの行為が規制されています。これらの規制は、公園の最深部である「特別保護地区」で最も厳しくなっており、人里に近づくにつれて徐々に緩和されます。これらの地種区分は、「公園計画」によって定められています。よく、「国立公園は、国定公園よりもルールが厳しいんじゃないの?」という質問を受けることがありますが、国立公園と国定公園での行為許可の基準は、地種区分によって決まっており、同じ地種区分であれば基準は同じになります(都道府県立自然公園では、各都道府県の条例に従います)。国立公園の公園計画図は、こちら(自然公園財団HP)から確認できます。
<国立・国定公園総点検事業>-----------------------------------------------------------------------------------
平成19~21年度(2007~2009年度)にかけて実施された国立・国定公園総点検事業(環境省)(以下、総点検事業)では、生態系・地形地質の観点で重要な335の地域を抽出し、国立・国定公園の指定状況との相対的な比較(ギャップ分析)を実施しました。最終的には、18の地域が「国立・国定公園の新規指定」や「公園区域拡張」の候補地として選定されました。その後、いくつかの候補地では区域の拡張や新規指定などが行われました。以下に、例を挙げます。
■候補地(地域) |
■選定後の動向(年/月) |
慶良間諸島沿岸海域(沖縄) | 沖縄海岸国定公園の一部を編入し、慶良間諸島国立公園を新規指定 (2014/3) |
由良川及び桂川上中流域(近畿) | 京都丹波高原国定公園を、新規指定 (2016/2) |
西表島及びその沿岸海域(沖縄) | 西表石垣国立公園の、公園区域拡張 (2016/4) |
やんばる(沖縄) | 沖縄海岸国定公園の一部を編入し、やんばる国立公園を新規指定 (2016/9) |
・出典 - 国立・国定公園の公園区域及び公園計画の見直し(環境省)
<日高山脈襟裳国定公園>----------------------------------------------------------------------------------------
総点検事業では日高山脈は以下のように評価され、夕張山地とともに、「日高山脈・夕張山地」として、候補地のひとつに選定されました。総点検事業では、以下のようにあります。
≪日高山脈の評価≫
日高山脈は、日本列島の形成過程を反映して形成された雄大な山脈に加えて、氷河時代に形成された地形など、傑出した地形地質が集中して分布する。これらの地形地質や歴史を反映して、植物や高山蝶等に固有種・遺存種が多数みられる。また、高山から山麓部にかけて広がる自然性が高くまとまりがある国内最大規模の森林は、哺乳類や鳥類等の野生生物の重要な生息環境となっている。これらのことから、現在の国定公園区域と一体性のある傑出性の高い地域である。
-国立・国定公園総点検事業(環境省)
以上のように、日高山脈は特徴的な氷河地形とその豊かな森林生態系が評価され、今後の方向性として「国立公園の新規指定(現在の国定公園を含む)又は国定公園の拡張」を見据えて、「候補地における自然環境や利用状況の調査、保護や公園利用に関する計画の検討、関係者との調整等を行い、具体的な区域の指定」を検討することとなっています。現在、環境省では情報収集を行っている段階であり、その一環として、当事務所では日高中部~南部での「登山調査」を行っています。以上が、当事務所が「巡視」ではなく、「調査」を行っている理由となります。うまく伝わったでしょうか?
今すぐにということはありませんが、日高山脈の将来のありかたについて何らかの結論を出すことが必要です。そのためには、山に親しみ・山の恩恵を受ける全ての方々と共に時間をかけて考えていくことが必要だと私は思います。この日記が、みなさまが日高山脈の将来について考えるための一助になりましたら幸いです。
参考HP
環境省HP
外部リンク
2016年11月08日出張授業 えりも町東洋小学校(第2回)
えりも自然保護官事務所 近藤武
ついに、11月がやって参りました。私、各地から届く初雪・初冠雪の便りに心を躍らせております。
「えりもの冬、早く来い!」と、白銀の日高山脈に思いを寄せる今日この頃です。
さて、今回の授業は前回の続きで、テーマは「ゼニガタアザラシと漁業の関わり」です。前回は「アザラシの生態」にフォーカスしましたが、今回は「野生生物と人間の衝突」について理解を深め、皆で考えようという趣旨でした。発展的な内容だったので、専門用語や科学的な考え方なども説明しつつで、難しい授業内容になってしまいました。しかし、5・6年生の生徒3名は、積極的に質問をするなど、しっかり集中していました。
「定置網に装着した格子網」アザラシに開けられた穴について説明中
「定置網内部の撮影に使用した水中カメラのケース」このあと、生徒達が触ってみた
授業の最後では、これからのえりもの海での「ゼニガタアザラシと人間の共存」について考えました。アザラシも人間も、えりもの海に頼って生きる同じ生き物です。未来のえりもを担うかもしれない東洋小学校の生徒たちが、海のことやアザラシのことを、自分のこととして考えるきっかけになればいいなと思います。
2016年10月12日出張授業 えりも町東洋小学校
えりも自然保護官事務所 近藤武
えりものアクティブ・レンジャー近藤です。みなさん、いかがお過ごしですか?
えりも町も肌寒い日が増えてきました。ストーブの恋しい季節です。
豊似岳の山肌も、冬に備えて紅葉が始まりました。
さて、9月のことになりますが、えりも町の東洋小学校の児童3名に出張授業を行いました。
テーマは「ゼニガタアザラシの分類と生態」です。
当日は新聞社の取材も入ってやや緊張したスタートでしたが、クイズを出題すると児童(先生も含めて)が積極的にリアクションしてくれたので、しだいに和やかな雰囲気になりました。難しい問題もありましたが、しっかりと理解してくれたようで、スムーズに進みました。
ゼニガタアザラシの性別の見分け方を、本物の剥製を使って説明しました。特別ゲストの登場に興味津々です。ちなみに、ゼニガタアザラシはおなかの穴(生殖孔)の位置で性別を見分けることができます。
10月には、第二弾「ゼニガタアザラシと漁業の関わり」のテーマで授業を行う予定です。
AR日記でもご紹介したいと思いますので、お楽しみに。
2016年09月05日【日高山脈】十勝幌尻岳 ~登山調査報告~
えりも自然保護官事務所 近藤武
えりも自然保護官事務所の近藤です。みなさん「山の日」はいかがお過ごしでしたか?山にでかけましたか?北海道は典型的な夏空模様となり、すばらしい登山日和となりました。今回の日記では、「十勝幌尻岳」で行った登山調査について報告いたします。
十勝幌尻岳(1,846m)は百名山の幌尻岳(2,052m)と区別するために、通称「カチポロ」と呼ばれています。どちらの山も「ポロシリ」という山名を持っていますが、これは「ポロ・シㇼ」=「大きい・山」というアイヌ語に由来しているそうです。その名に恥じず、十勝平野から望む十勝幌尻岳の姿は雄大で優美。そして、山頂から見渡す日高山脈と十勝平野の大展望は圧巻です。カチポロは、眺めて良し登って良しのステキな山です。
日高の山は沢登りから始まりますが、十勝幌尻岳の沢は随所に写真のような丸太橋がかけられていますので、山頂までは登山靴で登ることができます。沢沿いは涼しく、快適でした。
沢から離れると、日高の名物「急登」が待ち受けています。斜度はきついながらも、ササの刈払いが行き届いているので、一歩一歩に集中して黙々と登ります。山頂に近づくと日射が強くなり、暑くなってきました。
山頂に到着すると、十勝平野に広がる大雲海と南北に連なる日高山脈を望むことができました。しばらくすると、地元の中学生達が登ってきました。3年に1度の学校の行事だそうです。百名山の幌尻岳は、一般ルートでも2泊3日必要でハードルが高い経験者向きの山です。一方で十勝幌尻岳は、日帰りで登れるので登山初心者でも挑戦できる山です。初夏には登山道が雪渓に覆われていることもあるようですが、10月頃の紅葉が素晴らしい時期に登ってもいいかもしれませんね。
(追記:8/29)
※台風の影響により登山道が利用できない場合があります。入山される際は最新の情報を確認してください。※
北海道に短い秋がやってきました。日高山脈の山々も秋色に染れば、白一面に染まるまであっという間です。
さて、幾分前のことになりますが、日高山脈・神威岳へ登山調査に行って来ましたのでご報告いたします。
<p神威岳は日高山脈の中央部に聳える標高1600mの山です。日本300名山の一つに数えられており、毎年多くの登山者が訪れています。その神威岳を知るべく、日高山脈の懐に飛び込んできました。
序盤の徒渉箇所にはピンクテープで誘導された巻き道がついており、簡単には迷いませんが慎重な行動が求められます。徒渉は登山靴よりもゴムやフェルトのついた専用のシューズを使うべきでしょう。調査日はまさに「夏真っ盛り」な天気だったので、沢沿いは涼しくてちょうど良かったですね。あっという間に尾根取り付きに到着しましたが、ここからは山頂への直登斜面がまっています。
直登はあり得ないくらい急で、ササやハイマツの枝に頼りながら全身で登っていきます。8月の暑い日差しの中、大粒の汗が止まりません。特に展望もない我慢の時間が続きますが、ペテカリやソエマツが見えてきたら神威岳はもうすぐそこです。
さて、山頂からはずらっと並ぶ日高山脈をぐるりと見渡すことができました。さらに、十勝平野から流れる滝の様な雲「雲瀑」も観察できました。これぞ絶景、と言った感じですね。
神威岳の登山道は一本しかなく、前半は沢の徒渉、後半は直登斜面と、その山頂には簡単にたどり着けません。事前の準備と当日の好天が必要になります。また2017年8月より、林道の補修のため一般車両通行止めとなっています。詳しくは林野庁ホームページをご覧下さい。神威岳に興味のある方は、来年以降にぜひチャレンジしてみて下さい。