アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
新ビジターセンターのトド剥製
2007年03月27日
羅臼
3月末、展示工事中の新羅臼ビジターセンターにトドの剥製が納品されました。よく見かけるような上陸姿勢の剥製ではなく、水中へ潜っていく時の姿勢をしており、頑丈な鉄の棒に載せられています。メスのトドとしては最大サイズ(死亡時の体重約370kg)だけに、すぐ近くから見上げるとかなり大きく、なかなかの迫力です。正直、完成品が来るまではシャチに比べたら大したことなかろうとタカをくくっていたのですが、これなら新ビジターセンターの目玉展示として、お客さんの目を楽しませてくれるのではないかと期待しています。
ところでこのトドの剥製、右側面になにやら目立つ傷があります。この傷は剥製加工中についたものではありません。実はこのトド、まだ子どもの時に出生地の無人島で、ロシアやアメリカの研究者に標識を付けられた個体だったのです。標識の文字はどうやら“Б141”(1文字目はベー:ロシア語のB)と読めるようです。標識の位置と文字から、このトドは羅臼から約500 km離れた中部千島のブラット・チルポエフ島(知理保以南島)で、1989年に生まれたことがわかりました。おそらくこの17年間、彼女は知床を含む北海道とロシア海域との間を、何度も往来していたのでしょう。目をつむると、数年前に調査で訪れた千島列島の風景が脳裏によみがえって来ます。皆さんも、新・羅臼ビジターセンターにお越しの際は彼女の巨体を見上げながら、北洋を泳ぎ回るトドの旅路に思いを馳せてみてください。
ちなみに新ビジターセンターのオープンは、5月下旬の予定です。
納品されたトドの剥製
3月12日に羅臼町沿岸で撮影したトドの群れ
ところでこのトドの剥製、右側面になにやら目立つ傷があります。この傷は剥製加工中についたものではありません。実はこのトド、まだ子どもの時に出生地の無人島で、ロシアやアメリカの研究者に標識を付けられた個体だったのです。標識の文字はどうやら“Б141”(1文字目はベー:ロシア語のB)と読めるようです。標識の位置と文字から、このトドは羅臼から約500 km離れた中部千島のブラット・チルポエフ島(知理保以南島)で、1989年に生まれたことがわかりました。おそらくこの17年間、彼女は知床を含む北海道とロシア海域との間を、何度も往来していたのでしょう。目をつむると、数年前に調査で訪れた千島列島の風景が脳裏によみがえって来ます。皆さんも、新・羅臼ビジターセンターにお越しの際は彼女の巨体を見上げながら、北洋を泳ぎ回るトドの旅路に思いを馳せてみてください。
ちなみに新ビジターセンターのオープンは、5月下旬の予定です。
納品されたトドの剥製
3月12日に羅臼町沿岸で撮影したトドの群れ