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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ウチダザリガニ

2007年07月02日
上士幌
6月19日?22日の4日間、然別湖でウチダザリガニ(2006年2月特定外来生物指定)防除を行いました。士幌町立西上音更小学校の子供達、名古屋市科学館の方、研究者、などの多くの方々の協力を得ての大イベントでした。
3日間での合計捕獲個体数は1359(♀461、♂898)個体。去年防除した5月末から6月初めより遅い時期に行ったため、水温が高いのと、カゴの数を2倍に増やしたために、去年の防除結果である187個体の約7倍という結果となりました。然別湖のウチダザリガニは、去年1年間で2458個体も防除をしたのになかなか減少せず、去年の春より生息水域が広がっているとのことで、個体数を減少させるのはとても大変です。
 また、以前、然別湖ではニホンザリガニの佃煮が売られていたというほどにニホンザリガニがいたのですが、ウチダザリガニの侵入によって、1匹も見られないほどに減少してしまったのです。ウチダザリガニは最大のものは15cm以上(ニホンザリガニは最大でも7?8cm)で卵の数も100?500個(ニホンザリガニは20?80個)と一度定着してしまうとあっというまに分布を広げてしまうのでニホンザリガニとっては脅威です。

ウチダザリガニがニホンザリガニに与えると懸念される影響
・在来種のニホンザリガニを捕食
・ニホンザリガニと巣穴を巡っての競合
・ニホンザリガニへのザリガニペストの媒介

他にも然別湖にはオショロコマの湖固有亜種であるミヤベイワナが生息しており、生息域の一部は北海道の天然記念物として保護されています。ウチダザリガニの増加はこのミヤベイワナの魚卵も補食される可能性がでてきます。ミヤベイワナの卵が産卵されるヤンベツ川へのウチダザリガニの侵入は避けたいものです。

さて、そのウチダザリガニを、防除終了後にゆでてみなさんで試食しました。
気になるお味は・・・おいしい!!!
参加者のみなさんが美味しそうにザリガニを食べる光景が見られました。怪獣みたいなウチダザリガニを食べるのを怖がっていた子供も、一口食べてみると「ハサミが美味しい!」とにっこり。※なんと、このウチダザリガニ、フランス料理の高級食材としても取り扱われています。
やはり、人間が増やしてしまったものは人間が取り除かなければなりません。駆除するとはいえ命あるもの・・・ただ殺処分してしまうより食べられるものは食べたほうが命の重みが感じられますよね!

外来種はまるで悪者のように感じてしまいますが、真の悪者は持ち込んだ人間なのです。そのためにも、絶対に家で飼っている外来の生物を野外に放したりしないで下さい。 また、特定外来生物に指定されたものは、捕まえて家に持ち帰ったりするのも、特定外来生物の移動が法律で禁じられているので、法律違反になってしまいます。
皆さん、このような例を増やさないためにも、かわいいからといって衝動飼いをせず、飼う前によく考え、飼った以上ペットは責任をもって最後まで面倒見るようにしましょうね。。。




ウチダザリガニ

子供達はウチダザリガニに興味津々

茹でたウチダザリガニはおいしい!