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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

氷河期の落とし子(ウスバキチョウ)

2007年07月04日
上川
羽の色が黄色っぽい半透明で、後ろ羽には黒で縁取られた3個の赤い紋が、美しく、日の光を浴びると鮮やかなあまり、足を止め舞う姿を目で追ってしまう、高山蝶のウスバキチョウ。

今から約1万年前の最終氷河期には、当時陸続きだった大陸から多くの生物が日本にやってきたと考えられています。氷河期が終わり、温暖化が進むにつれ、冷涼な気候を好む高山蝶は、寒冷地を求めて高山に登っていきました。比較的標高が高くて、広大な高山帯を有する大雪山は高山蝶の格好の避難場所として残されました。

今、こうして残された氷河期の落とし子たちは、絶滅が危惧されています。この貴重な高山蝶は、温暖化という自然現象だけではなく、容姿の美しさから、コレクション等をする人たちに追い求められ、人の手によって絶滅させられそうです。

何万年の歴史を伝えてくれ、今なお舞い続ける、氷河期の落とし子たちを、今この時代で終わらせるのは、なんとも悲しいことです。環境省やパークボランティア活動では、その姿を長く見続けられるよう、環境を守り、パトロールをしていきます。


羽の模様が美しい、ウスバキチョウ。

ウスバキチョウの交尾。
いつまでも大雪山で舞っている姿を見ていたいですね。