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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

オオヒラウスユキソウに出会う!

2007年08月09日
洞爺湖
 8月5日、 狩場茂津多道立自然公園 大平山へ2回目のパトロール登山を行いました。大平山(標高1191m)一帯は、道南地方には珍しい石灰岩露出地帯が広がり、日本の北限となる豊かなブナの天然林と共に、オオヒラウスユキソウなどの希少な石灰岩植生が数多く分布する地帯です。環境省では「自然環境保全地域」として指定しています。
 最初から傾斜のある小さな沢沿いを歩き、標高を上げていくと次第にブナの天然林が現れ始めます。登り始め、天候はあいにくの雨でしたが、その雨をとっても喜んでいるのはカドバリヒメマイマイというカタツムリです。前回のアクティブレンジャー日記にも写真が掲載されましたが、カタツムリの進化する過程で特に原始的な状態の殻を持ち石灰岩を養分として生きているそうです。稜線に出ると、視界も開けて谷が入り込み、山深い山並みを望むことができます。雨も上がり初め、雲が徐々に上がっていき墨絵の様な景色でした。第1ピーク(810m付近)からは狩場山が見え、天気が良ければこれから登る大平山の第2ピークが目の前に現れます。花は第1ピーク手前から徐々に見ることができます。6月初めにあったオオヒラタンポポが少なくなり、第1ピークから第2ピークまでの間にある岩場には大平山固有のオオヒラウスユキソウが多く咲き乱れていました。ウスユキソウは歌でも有名なエーデルワイス。白い花に見えるのは実は葉が綿毛に被われて白いからで、本当の花は真ん中の黄色い部分です。他にイブキノトラノオ、イワオウギ、ヨツバヒヨドリ、ハイオトギリ、ヒメエゾネギ、ヤマルリトラノオ、ツリガネニンジン、タカネナデシコ、カラフトマンテマ、ミヤマアキノキリンソウなどが咲いていました。第2ピーク手前にある岩場はもろく常に危険な状況で、6月に登った時よりもまた少し岩が崩れてしまったようです。落石が多く、いつ来てもはらはらどきどきの場所です。第2ピークから頂上までは背丈くらいある笹藪が多く雨で濡れた笹をもがきながらやっとピークに着きました。特別展望がいいところではありませんが、ハードな登山道なだけに感慨ひとしおです。昔は?測量のためのやぐらが建っていたようです。帰路は、滑りやすく傾斜のある岩場をひたすら下りながら注意し頑張って下ります。その頃空には青空も見え始め、登ってきたルートを見ることができました。最後に、木々から差し込む太陽の光に照らされ地面からの蒸気がきらきらと輝き幻想的なブナ林の中を歩くことができました。
 北海道百名山にも大平山は紹介はされていますが、登山口にある大平山のパンフレットには「体力に自信のない方はご遠慮ください!」と記載されているように登山道はかなりハードで、傾斜のきつい場所や岩場もあり、ヒグマの生息地でもあるので十分に注意してください。

可憐なオオヒラウスユキソウ

急峻な岩場を登る

ブナ林に注ぎ込む太陽の光